転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



COVID-19(新型コロナウイルス感染症)については、
まだまだ完全に解明されたとは到底いえないが、
これまでわかっている範囲では、およそ、
「高齢・基礎疾患あり・喫煙者」が重症化に関するリスク要因らしい。
死者数では男性のほうが女性を上回っているという統計も見た。
主人(=58歳・脂肪肝・血糖値基準値上限)と私(=55歳・降圧剤服用中)も
さすがに無頓着という訳には行かず、
自ら感染の危険を冒さないよう、ひととおりの注意はするようにしている。
主人は毎朝行っていたジムを控えて、自宅での運動に替えているし、
私も宴会や映画や演奏会等、人の集まる閉鎖空間には行かないよう、
出来うる限り予定を空けておくように心がけている。
そして今後は、ふたりとも、もし風邪症状になったときは、
熱がなくともその日から即、仕事は休む、と決めている。
……私などはクビになるかもしれないがね(^_^;。
とにかく「手洗い励行」と「出歩かない・集まらない」が鉄則だろう。

目下、およそ半月ごとに、体感としてのフェーズが変わる、という気がしている。
1月10日頃にはまだ、新型コロナの話題は中国の、対岸の火事であった。
それが、武漢封鎖があって、間無しに日本国内での感染者が報告され始め、
1月25日頃には私は、ポゴレリチが来日できるかどうか心配するようになった。
30日にQueenでナゴヤドームに行ったときには、私は頭の片隅でチラリと、
「運が悪かったら、例の新型のヤツ、ここでウツるかもな(^_^;」
と思っていた。
……あれから3週間以上経つし、あそこに行った人たちの間で発病が続いている、
という報道もないので、多分、大丈夫だったのだろうと思うが。

次に2月9日から東京に行った頃は、劇場でマスク姿の人が増えたのを感じ、
マスクなしで咳き込む人と電車で乗り合わせたときには、
私の側も、ハッキリとした不快感を覚えるようになった。
1月の頃よりずっと「自分も感染する」という恐れが現実のものになっていたのだ。
それから更に半月経った今は、実際に各地で催し物の延期が散見され、
広島市内でも人が集まるのはよろしくない、と皆が感じるところまで来た。
もう感覚的に、COVID-19は日常生活の中に普通にある問題になったのだ。
例えば本日の、マツダスタジアムの抽選券配布にしても今年は、
スタッフはマスク・手袋着用、配布希望者の待機列は互いの距離を空ける、
できれば間隔2メートルずつ、等の対策が取られている。
(本当にそんなに間を空けて並んだら、列が琵琶湖まで届くという説も……)


統計上の致死率を見る限り、このウイルスで皆がバタバタ死ぬとか、
そういう恐れ方までは私はしていないのだが、
自分のリスク因子を省みると自信満々という気分でもない。
なにしろ、1月半ば頃から自分なりに観察していて、
この感染症が、どうも一概に「軽い」とも「重い」とも
言い切れない感じがするので、微かな気色悪さがあるのだ。
大部分の人にとっては多分、一般的な感冒か悪化しないインフルエンザ、
くらいのものだと思うのだが、
特定の体質?の人だけが重症化するような漠然とした印象がある。
5~7日の感冒様の症状のあと、治癒する人と肺炎に移行する人の分岐点には
冒頭に書いたリスク因子が関与しているようなのだが、
このウイルス特有の機序みたいなものがあるのかないのか?
センセーショナルな事例ばかり取り上げる、報道の内容が偏っているだけ??

感染力についても、「弱い」のか「強い」のかもうひとつわからない。
厚労省のデータを見る限り、
最初に奈良で感染のわかった運転手さんとかガイドさんとか、
或いは武漢から帰国した方々の、
御家族等、濃厚接触者100名超に感染がなかった一方で、
経路の全くわからない市中感染も既に各地にある。
といって、患者数が爆発的に増えていれば、遺伝子検査をしようがしまいが、
あちこちで謎の肺炎が多発している筈だが、見聞きする範囲にそういう人は居ない。
2009年の新型インフルのときは、自分の周囲でも娘の学校でも
次々と欠勤・欠席者が増えたものだったが、今回はあのような勢いが感じられない。
……飽くまで体感というか個人的な印象に過ぎないが(汗)。

新型肺炎「ウイルスに二面性、正体見えず」大安研の奥野理事長(産経新聞)

また、そういう病原性とか感染力の問題を抜きにしても、
一般論として、患者が次々に増えて、大勢が一度に医療機関に押しかけると
巷のクリニック、ひいては総合病院にいたるまでパンクして
大変なことになるというのが容易に予想でき、今回はウイルスが新型であるだけに、
そうなったときのパニックの度合いは、インフルの上を行くと思う。
もしも重症になってしまったとき、医療機関が機能麻痺に陥っていたら、
我々は十分な医療を受けることができなくなってしまう。
それを避けるためには、我々のような一般人ひとりひとりが、
自分たちでとにかく出来ることはやって、予防に努めるべきだと思うのだ。
免疫のない感染症なのだし、どこかでいずれ罹るとしても仕方ないが、
短期間に皆の間で一斉にウツりまくり、
という事態だけは、せめて回避したい(大汗)。

しばらくは、手をきちんと洗って、大勢が閉鎖空間に集まる場は避けて、
早く寝て、栄養取って、自由時間はできるだけ家に籠もって、
楽しい本を読んで、良い音楽を聴くようにして、おばさん、頑張る(汗)。

……なんか、それって結局「自宅でサボっているだけ」感もあるけど(逃)。

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感謝  


COVID-19(新型コロナウイルス感染症)がアジアに広がったこの時期に、
ポゴレリチは日本・韓国あわせて6公演を敢行してくれた。
感謝しかない。本当によく来てくれたと思っている。

中国武漢でのアウトブレイク以来、先月から既に、ヨーロッパ各地では、
東洋人に対するあからさまな差別や偏見のあることが報じられていた。
マスク使用の習慣のない地域では、マスク姿の東洋人が感染者と見なされ、
理不尽に暴行された事件もあった。
この時期のアジアなど、新型伝染病の肺炎がウツりそうで、
海のむこうの一般的な欧米人なら、寄りつきたくもない場所だっただろう。
特に、クルーズ船ダイヤモンドプリンセスの寄港と検疫の報道も連日あり、
地名しかわからない人なら、横浜など危険地域としか思えなかった筈だ。

そのような状況下でポゴレリチは来日したのだ。
職業演奏家である彼にしてみれば、契約を履行したに過ぎないかもしれない。
自己都合で来日をキャンセルし契約上の問題を発生させれば、
自身の不利益になるのだから、極力、そのような事態を避けたかったのではあろう。
しかしそれにしても、演奏会のみならず、ポゴレリチはどの公演地でも、
終演後にはサイン会も行い、長蛇の列をつくったファンに快くサインをし、
ファンからの声かけに応じ、ときに写真撮影まで行ってくれたのだ。
まことに、彼は勇敢なる「愛の人」であった(涙)。
改めて、心からお礼を申し上げたい。ありがとうございました<(_ _)>!


(勿論、当の日本に住んでいる我々にとっては、
重症肺炎が市中で大流行、という状態でないことはわかっていた。
しかし海外から見た印象はそうではなかった。
外側からは、アジアそのものがどれほど忌むべきものに見えていたことか。
ポゴレリチがそのような偏見に捕らわれず、よく見定めて来日してくれたことを
私は嬉しく有り難く思っているのだ。
決して、単に無策のままで無謀に危険地域にやって来る人間のことを
勇気があると言っているのではない。)

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ポゴレリチの来日公演が、無事に終わった。
私は横浜と大阪の、マチネ2公演を聴くことができた。
ポゴレリチ一流の美学に貫かれた強烈な世界は更に色濃く、かつ、
今のポゴ氏には、自身も上昇し聴衆をも引き揚げようとする力が漲っていた。

ポゴレリチを聴いたせいで、骨の髄まで疲弊するなどという経験は
もはや、完全に過去のものとなった。
今の私は、ポゴレリチを聴くと、まるで異教の祭典で修祓でも受けたかのように、
それまであった邪念が払われ、尋常でないエネルギーに満たされる気がする。
ポゴレリチを聴いて元気になる、
―――これは私が年季の入ったファンだから、
という理由によるものではないだろう。
様々な時期を経て、彼は「愛の人」になりつつある、と思った。
作曲家たちも、自身の音楽も、聴衆も、後進も、
彼は意思を持って愛そうとしている、……ように感じた。
我ながらイタい感想だとは思うが、
それが私の、今回の2公演を聴いての印象だ。

以下、Twitterに投稿した文章をもとにした記録を、とりあえず貼っておくことにする。
また書きたいが、時間が取れるかどうか……。

2月11日(祝):シューマン・ピアノ協奏曲@みなとみらい大ホール
心の準備はして行ったのだがそれを上回るexcitingかつthrillingなシューマンだった。
きらめきのような装飾音、一瞬に等しい休符、隠し味ほどの不協和音、
すべてが物凄い解像度で迫ってきて、ただただ圧巻。
ベースの打鍵も強烈で、「ここは左手を聴くべき箇所だったか」と
初めて知ったところも多々あり。
シューマンであれほど重厚な手応えが得られたのは初めてだった。

自分の中では、過去に聴いたシューマンのピアノ協奏曲は、
甘美な夢の中をたゆたうような掴み所のない曲というイメージだったのだが、
ポゴレリチのは全編、物凄い厚みと奥行きがあり、特に終楽章は疾風怒濤だった。
それがまた、80年代のように追い詰められた息苦しさが無く、
己を解放する方向の力強さに満ちていたと感じられたことも、嬉しい驚きだった。
ここまで来るにはこれだけの年月が必要だったのだな・すべては必然だったのだなと、
あとから勝手に感慨にふけった。


2月15日(土):リサイタル@大阪シンフォニーホール
バッハ、ベートーヴェン、ショパン、ラヴェルと音楽史の順に演奏され、
バッハの対位法を学んだベートーヴェンの遺した和声が
ショパンに受け継がれ、ラヴェルの様式美へと発展した、
という強く一貫した流れを聴かせて貰った。
今の彼は確かに「橋をかける」のだな。

『舟歌』、私のこの曲に対するイメージは、以前から、
「死んだ人の魂が大空高く舞い上がり、天へ昇る」というものだったのだが、
ポゴ氏のはそんなに死んでいなかった(爆)。
聴きながらRod SterwartのSailingの歌詞を思い出した。
"I am sailing stormy waters to be free. "
重なる白い雲を次々とくぐり、上空の強い風に度々なぶられながら、
魂は神の坐す天を目指し、二度と戻ることのない旅を続ける……。
天への航海は、決して楽ではないのだなと思った。

『絞首台』は今回ほぼ初めて黄昏れの空気を感じた。
以前聴いたときは深夜みたいだったが、きょうのは黄土色の太陽が西の空にあった。
『スカルボ』は昔より格段に毛ヅヤが良くなった感じで、
そのぶん奇怪さも桁違いになっていた。
異次元の狂気を描ききり、立ち上がると自分で椅子をピアノの下に仕舞い、
聴衆に向かい、このうえなく優雅に、うやうやしく頭を下げるポゴレリチ………、
いやはや、心底、畏れ入りました。

追記:いつもと同じく、彼は楽譜を持ってステージに出てきたのだが、
ショパン『前奏曲 作品45』の楽譜は凄まじかった。
使い古され、綴じの部分がほぼ全部取れた、ただの、ぼろぼろの紙束だった。
ヘンレ版かパデレフスキ版かなど既に論外だった。
きっと、1980年のショパン・コンクールを受けるときに、
ケジュラッゼ女史と勉強した楽譜なのだろう。
ポゴレリチは、自分のこれまでのすべてが刻まれ記された楽譜とともに
世界各地を旅して、演奏会の舞台に登るのだな……。

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ポゴレリチ公式サイトを見ると、
2月23日北京・26日上海・29日杭州の公演が
to be rescheduled to a later date(延期)となっている。
日本と韓国の公演予定に関してはその記載がないので、
予定通り行われるということらしい。
ivopogorelich.com/schedule/

さきほどテレビで、今回の新型コロナウイルスによる肺炎の流行を受けて、
北京では外出制限がなされている、と報道されていたので、
「それなら人の集まる演奏会なんかも実施できないということか」
と思いつき、上記ポゴ氏公式サイトを見に行ったら、案の定だった。
そうでなくても、少し前から中国へは空路の運行停止も多く、
仮に行けてもヨーロッパへの復路をどうするんだという状況だったから、
このたびの延期は、もはや「やむなし」と思われる。
杭州では特に、協奏曲2曲(ショパン2番とシューマン)が演奏される予定で、
期待していたファンも多かったことと思う。
不可抗力とはいえ、残念なことになってしまった。
早く中国各地が平常に復して、また演奏会ができますように。

ただ、私が心配したようにアジア公演として丸ごとキャンセル、などには
ならなかったので、その点は、ひとまず有り難く思っている。
日本で5カ所、韓国で2カ所、計7公演のアジアツアーとなる予定だ。


追記(2月21日):今気付いたのだが、2月18日の韓国ヨンジン公演も延期になっていた。
その翌日19日ソウル公演は予定通り行われたので、なぜ前日が延期扱いになったのか不明だ。
ポゴ氏がまだ東京にいた2月13日に収録された韓国のファンへの動画で、
「これからソウルに行く。ロッテホールは素晴らしいと聞いているので楽しみ」
等々と、ソウルのことしか話題にしていないので、そのときには既に、
ヨンジン公演延期は決まっていたのではないかと思われる。
結局、今回のアジア・ツアーは高崎→横浜→東京→大阪→東京→ソウル、の6公演だった。

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・本日2月5日は、当代・尾上松緑の誕生日だ。
初代辰之助の亡くなった年齢を追い越しただけでなく、
はや45歳!あの、あらしちゃんが!!
近年、松緑は着実に舞台成果をあげており、本役の見事さは言うに及ばず、
急な代役を務めても全く破綻がなく、その充実ぶりが素晴らしい。
これからの一年もまた、大いに期待をしたいと思っている。
お誕生日、おめでとうございます(^^)!!

・……という本日、私は本当に久しぶりに、自分らしい過ごし方をしている。
すなわち、朝はラジオで「まいにちスペイン語」「同フランス語」を聴き、
洗濯と掃除を済ませてから漢詩講座に出かけ、
2時間の講義のあと、買い物をして帰宅し、簡単に昼食。
午後から少し、司法書士さんとお会いして実家関連の仕事をしたが、
それも順調に終わったので、すっきりして、
夕食後の今は、こうしてネットで遊んでいる、という。
しかも、明日は更に完全な休日だ。
会社にも神社にも老人ホームにも実家にも、行かなくて、良い!!
完全にフリーーーーー!!!!

・30日にQueenの公演でナゴヤドームに行ったとき、
友人が「インフルうつるとしたら、ここやな…(^_^;」と言った。
確かに、巷にはこの時期、様々な感染症が流行している。
彼女本人が、実は前々日からご主人がノロウイルスと思われる感染性胃腸炎で
寝込んで大変なことになっているのを置いてきた(爆)のだった。
更に、今なら新型肺炎の感染もあり得ないことはないだろう、と私は気味悪く思った。
あれから一週間、友人も私も外見上は無事だ。
しかし4万人がギュウギュウで2時間半、缶詰になり、大声張り上げ、
汗をかき涙を飛ばし拳突き上げて歌いまくったのだ。
あの空間に、各種ウイルスなるものが全く存在していなかったとは到底、思えない。
そこかしこを触った手で、私は大泣きした自分の顔を幾度も拭い、
その直後には、超満員の地下鉄を乗り継いで名古屋駅まで帰った。
もし今、咽頭拭い液など詳細に検査されたら、
なんかいろいろ陽性になってるのでは……(爆)。

・そのQueenファンの友人との会話。
友人「4月にQueenのコピーバンド来るじゃろ」 
私「クレドホールやろ」 
友人「自由席オールスタンディングよね。行こうかどうしようか迷うよね。
 早ぅ行かんと前のほう取れんけど、早ぅ行ってもずっと立っとかんといけんのよね」
私「まあそうだが、……そんなに気合い入れんでも、本物やないんで(^_^;」 
友人「そうじゃった、パッチもんじゃった(^_^;」

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