はっと我に返ったら、いつもの話だが、着るものがなかった。
この連休から、金沢と東京と名古屋に(くぅ、六ヶ所村はどうするんだ)
ポゴレリチを聴きに行くというのに、
私は一体、何を着て行けば良いのだろう。
基本的に私は、おしゃれにも美容にも関心が無い。
世の中の美しい女性たちを眺めるのはとても好きだし、
自分も若い頃はそれなりに着たい服もあったものだが、
おばさんになるにつれて、自分が装うことへの興味は無くなった。
育児と介護と転勤で、それどころではなかった、
……と自分では思っていたが、よく考えてみたら単なる言い訳だった。
世の中、どんな境遇でも身綺麗な人は身綺麗なのだから。
要は、私がだらしないだけだった。
省みれば、ここ十数年というもの、私の日常は概ね、
「部屋着かブラックフォーマルか」
の二択で済んでいる。
ちゃんとして行かないと失礼にあたる場所にはブラックフォーマルで、
あとはすべて、部屋着のバリエーションでOKだ。
無職の専業主婦で、どこへ出勤して誰に会うということもないから、
普段の外出なんか、部屋着の上にカーディガンかブルゾンを羽織って、
下をジャージからスラックスに履き替えれば、自分としては何の問題もない
(周囲が呆れているという問題は、あるかもしれないが)。
しかしさすがに、こんな私でもポゴレリチの来日は、
何か「晴れがましい」気がするから不思議だ。
別に私が演奏するわけではないのに、やはり部屋着はまずいだろう、
という気分になる。
そもそも、二年前にポゴレリチが来日することになったときも、
私は着るものが全く無かった。
最初は例によってブラックフォーマルにネックレスでもつけるか、
と思ったのだが、連休前、旅行用に主人がジャケットを新調したのを見て、
私も、せっかくの機会だから洋服屋というものに行ってみようと思った。
それで、いちばん近いデパートの、婦人服のデカいサイズの店に行き、
かくかくしかじか東京に行くから、私でも着られる街着が欲しい、
と頼んで、それはそれは優しいお姉さんの店員さんに、
ジャケットを見立てて貰ったのだった。
そのジャケットは、ポゴレリチのLFJ東京のときと、福岡公演のときに着た。
以来、きょうまで、二度と着ていない(爆爆)。
さきほど、クローゼットを開けてみたら、果たして、
そのときのジャケットが、クリーニング屋の札がついたまま、入っていた。
よし。今回も、これを着よう。
さすがにたった二年なので、私といえど、体型は変わっていなかった(汗)。
良かった。ポゴレリチの来るのが、二年前と同じ五月で。
違う季節だったら、またぞろ何か買わなければならないところだった。
だがジャケット以外の部分は、どうしたらいいのか。
二年前は、何を着たんだっけ(爆)。
もう、着るものをどうにかしようという気持ちになるのが、二年に一度なので、
何もかもが忘却の彼方だ。
そういえば、こんな私を勇気づけてくれることが、ひとつあった。
それは、あのオシャレな(爆)ポゴレリチ本人でさえ、
同じ服を、結構何年も大事に着ている、という事実だった。
先日の台湾到着の記者会見の際、彼は茶系のシマシマのパンツをはいていたが、
このパンツは、なんと二年前に日本と台湾に来たときも着用していたものだった。
驚くなかれ、あれほど突飛な格好をしている(逃)ポゴレリチだって、
アイテムとして見れば、二年前と同じものを今も愛用しているのだ。
前回は、彼は上にピンクのシャツと柄物のマフラーをしており、
今回は、白いシャツに黒っぽい上着、足下はブルーの靴下に草履(爆)だったので、
全体の印象が全く違って見えただけなのだ。
(……ってことは、ポゴレリチも二年前と体型は変わってなさそうだ。)
ということで、私も遠慮無く彼に倣い、
今年も頑張って、一張羅のジャケットを着回すことにします(逃)。
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