行って来た、宝塚大劇場。
今回ほど体力勝負の観劇をしたことはない。
しかし、それを越えて、舞台内容には満足できた。行って良かった。
そもそも、朝、私は今までとやり方を変えて、
JR新井口駅から列車に乗って広島駅まで行ってみよう、と思い立った。
これは結果的に、過去最短所要時間だったから、大正解だったと思う。
が、ラッシュのことを考えていなかったのは大誤算だった。
広島人でありながらお恥ずかしいことに、私は知らなかったのだが、
朝、広島西部から市街地へと列車で行くのは、もの凄いことだったのだ。
来た列車は、ドアが開いただけで人がこぼれ落ちて来るほど、
既に、ぎゅうぎゅう詰めだった。
しかし、乗らない訳には行かない。そういう人が、私のほかにも大勢いた。
だから、こぼれてきた人を押し込んで、更に、我々が乗った。
私は体を三方から押され、身動きもならず、
顔面はドアのガラスに接触寸前の状態で、
パタリロで有名な「つぶれ甘食」という語彙が脳裏をよぎった。
車内はむんむんしていて、窓ガラスは白く曇っていた。
それを通して、向かい側のホームに立つ人々の姿がぼんやりと見えた。
私は思わず、指でそこに「た」「す」「け」「て」と書きたくなった。
まじで、圧迫死するのではないかと思った。
乗車時間が十分ほどだったから、命があったのだと思う。
しかし頑張った甲斐はあった。かつてなく早い時間に広島駅に着いたのだ。
おお!これなら、11時開演に間に合うではないか!
このあとはスムーズに運んだ。8時28分発の「のぞみ」で新大阪まで行き、
そこから「特急北近畿」に乗り換えて、JR宝塚まで直通。
着いたら10時32分!完璧だった。
だが。観劇までには、また一波乱あったのだ。
私は決して、『試練を!』などとは望まなかった。なのにどうして。
実は、昨日予約した@ぴあデジポケのチケットを、
私は結局、引き替えに行けなかったので、発券して貰っていなかった。
宝塚大劇場はそれでも、席番さえ言えれば、「お忘れ券」扱いで、
その場で入場が可能だと知っていたから、これを試すつもりだった。
が、私が劇場改札で事情を話して席番を言ったら、
座席を確認に行った係員がほどなく戻ってきて、
「恐れ入りますが、そのお席には、実券をお持ちのお客様がいらっしゃいます」
と言うではないか!
うっっっっそ~~~~!!!!
そんな筈はない、昨日パソコンから確かに予約した、
席番だけでなく、ID番号も持ってきているし、引き替え番号も控えてある、
と私が食い下がったので、劇場の係の男性がまた奥に引っ込んで、
しばらくすると、なにやら書類を携えて再度出てきた。
「これが、コンピュータでご予約の方々の一覧なのですが」
と彼はその書類を部分的に私に示した。
チケットぴあ経由の予約はそうやって記録されているのだというが、
そこには果たして、私の名前は無かった。
げーーーーー、と思ったが、揉めている時間は、もう無かった。
何がどういう事情であれ、私の最優先事項は、舞台を見ること!だ。
私は急いでチケットカウンターに戻って、当日券を買った。
立ち見だよ(T.T)、27番。
しかし、しかし。
何が幸いするかわからない。
今回の公演は、私にとって、結果的に、立ち見だのなんだのという、
観る側の諸条件なんか全部吹っ飛ぶものだった。
立たされていたからこそ、それが実感できた(^^ゞ。
私は見始めてどんどんファントムの世界に引き込まれ、
立っていることを忘れた。固唾をのんで、ただ、見続けた。
3時間立ち続けで観てもなんともない、
という舞台って、凄いことではないか?
ファントムは、和央ようかの本質的なところに触れる役だと思った。
多分、「そうだ、こういう演技をする彼女が観たかったのだ!」という、
深いところでの手応えが、ファンの多くには、あったのではないかと思う。
和央ようかの演じるファントムは、ファントムでありながら「怪人」ではなかった。
不幸な生まれの、尋常でない境遇に育った孤独な少年が、
ただ背だけのびて大人になったもの、それが彼女のファントムだった。
「らしくない」という非難はあるかもしれないが、
和央ようかでなければ出来ないファントムだったと思うので私は大いに満足だった。
設定のファントムは、何歳なのだろう?
彼の一人称が「私」や「俺」でなく、「ぼく」なのは、
脚本を書いた中村一徳の用意周到さだと私は感じた。
……でも、ちょっとラストシーンは、
あまりにもヅカ的ご都合主義に思えたが(^^ゞ。
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さて、帰宅したら、「@ぴあ」から電話があった。
それによると、私の遭遇した今回のチケット災難は、
ある種の事故だったことが、わかった。
本来、デジポケは、公演三日前に予約が打ち切られるもので、
私のように前日の夜にパソコンで買えたというのは、おかしいのだという。
私は初めて利用したので気づいていなかったのだが、
昨夜の時点で、既に通常ならあり得ないことが起きていた訳だ。
どうやら、@ぴあのメンテの瞬間か何かに、
事故的に購入できてしまったものらしい、とその電話の女性は言った。
だから、大劇場で確認が取れなかったことも道理だ、と。
それで、@ぴあは、それなりの補償をしてくれることになった。
舞台のお陰で、私の中では既に、
きょうのいろんなことが帳消しになっていたのだが、
なんだか、晩になって思わぬオマケを貰った気分だ。
なんて誠意ある対応なんだろう、@ぴあ。
ありがと~~~。
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