実は今、小規模ながら歯列矯正をしている。
上下前歯三本ずつが治療対象なのだが、
いわゆる矯正用のブラケットをちゃんと、私もつけている。
まさか今更こんなことを経験しようとは思わなかった。
ことの起こりは、先日、何気なく歯科に行ったことだった。
40歳の節目検診の案内が来ていたし、
介護生活突入以来まる三年間、歯科に行ったことがなかったので、
こういう、なんでもないときに点検しておくのがいいだろう、
と殊勝なことを考えて、自発的に歯科に行ったのだ。
そうしたら、私の歯は案外、ちゃんとしていた。
歯も根も異常なく、歯肉溝も正常範囲で、虫歯もなく、
『三年間放っておいたとは思えない』、
と先生がヘンなふうに、誉めて下さった(^_^;)。
ただ、下前歯が一部、重なっているところがあるので、
今後十年くらいのうちに歯周病がそこから起こってくる可能性がある、
ということを指摘された。
そのことは前々から念頭にはあったのだが、
長期間の矯正治療をするのは身体的にも経済的にも負担だったし、
かと言って、悪くない歯を削って差し歯にするのも気が進まず、
若いお嬢さんでもないんだから見た目のことはもういいか、
となんとなく消極的に諦めていたのだった。
ところが、今回の歯科医は、かなり現実的な考え方の先生だった。
『理想を言えば、歯列をいじるときには奥歯からするものだが』、
と先生は私の歯形模型を見ながら仰った、
『転妻さんは、奥歯から犬歯までのかみ合わせは、悪くないです。
だから、前歯の小矯正のみでも、充分に対応できます』。
最近になって矯正のほうの研究が進んだということなのか、
それとも以前からこういう方法は考案されていたのだろうか?
私に対して提案されたのは、部分矯正のMTMと言われるもので、
ブラケットを付けるのは上下それぞれ左右の犬歯から犬歯くらいまでで済み、
個人差はあるが期間的にはだいたい数ヶ月で完了でき、
費用も普通の矯正の十分の一~四分の一くらいだという。
勿論、本来的には、奥歯から動かしたほうが歯列が理想的に整えられ、
かみ合わせの調整も全体のバランスをもとに考えたほうが良いのだが、
私は、歯周病がどうのという危険さえ遠ざけられれば満足なので、
すぐさま、この「部分矯正」という案に乗ることにした。
先生は更に、取り外し可能な矯正器具や、目立たない舌側矯正、
セラミックブラケットの使用などについても説明して下さったが、
私は費用対効果を重視して外観は度外視することにし、
最も頑丈で安価なメタルブラケットを、外側から付けて貰う
という方法を選択した。
先生も『それが一番、手堅くて速いです』と言って下さった。
で。
昨日の午後これを装着して貰って来た。
先生が、作業しながら鼻をグスグス言わせていらしたのが、
真下で大口あけて寝かされている私にとっては、
上からなんか落ちて来んかと、やや気になったが(^_^;)、
どうということもなく、前歯だけだから割と簡単に終わった。
今のところ、なんとなく締め付けられる感じはあるが、
友人から話に聞いていたほど痛くはない
(結婚後アメリカ転勤の際に現地で八重歯を矯正した友人は、
ブラケット装着後一ヶ月は流動食で過ごした、と言っていたものだ)。
だが、やはり硬いものは食べにくいし、噛みしめると鈍痛がある。
いきおい、食事量が減って、間食する気にもならなくなって来た。
これで旨い具合に、歯列が改善されてダイエットもできれば、
歯周病のみならず各種成人病も回避でき、
更に入らなくなっている洋服もいくつか復活させられるかも、
そうなれば一石五鳥くらいになるな、
と私は今、不快さに耐えつつ、かなり儚い期待を抱いている(^_^;)。
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