先日、「りぼん」の思い出を書いたら、熱く反応して下さった方が、
何人かいらっしゃった(ありがとうございます<(_ _)>!)。
やはり皆様それぞれに、どのような漫画を読んで育ったかには、
時代感覚や趣味や、家庭環境・交友関係が反映されており、
その途上では、『今日の私をつくってくれた』と言えるくらいの、
重要な作品に、大半の人がどこかで出会ってきたということだと思う。
「りぼん」以外にも、昔から漫画雑誌は様々あったので、
私自身、ほかにも忘れられない作品がまだたくさんあるのだが、
特に自分が小学生だった1970年代には、娯楽が少なく、
漫画そのものもなかなか買って貰えなかったから、
当時出会った作品については、今もひときわ強烈な印象が残っている。
友達から借りたり店頭で立ち読みしたりしたものが多く、
それらは自分のものにならないことが最初からわかっていたため、
記憶に刻みつけておく以外になく、それこそ一期一会の思いで、
必死に読んでいたのだろうと思う。
「週刊マーガレット」の池田理代子『ベルサイユのばら』(1972年)と
山本鈴美香『エースをねらえ!』(1973年)は、前回も書いた通り、
八百屋さん店頭での立ち読みで必死に追いかけていた二大連載で、
そのほか、「花とゆめ」の美内すずえ『ガラスの仮面』(1975年)も、
月に数回、町の医者にアレルギー治療のために通院していた小学生の頃、
そのバス停近くのスーパーに駆け込んで、大急ぎで立ち読みしていた(殴)
のが、今となっては忘れられない思い出となっている。
のちに自分の娘が当時の私の年齢を遥かに超えるようになっても、
まだ「ガラかめ」の連載が続いていようとは、
昭和50年代初頭には、全く想像したこともなかった(^_^;。
そのほかにも、あの頃、自分では買うことができずに、
立ち読みしたり、友人所有のものを見せて貰って、なんとか読み続けていた、
という事情のために、その後長い間忘れられなかった漫画がいくつもある。
例えば、1970年代に限定するならば、以下のような作品だ
(掲載年・掲載誌は雑誌連載初出時)。
里中満智子『あした輝く』(1972年)週刊少女フレンド
上原きみこ『天使のセレナーデ』(1972年)週刊少女コミック
山岸凉子『アラベスク第2部』(1974年)花とゆめ
竹宮恵子・増山のりえ『ヴィレンツ物語』(1974年)花とゆめ
大和和紀『はいからさんが通る』(1975年)週刊少女フレンド
萩尾望都『11人いる!』(1975年)別冊少女コミック
青池保子『イブの息子たち』(1975年)月刊プリンセス
いがらしゆみこ・水木杏子『キャンディ・キャンディ』(1975年)なかよし
青池保子『エロイカより愛をこめて』(1976年)別冊ビバプリンセス
有吉京子『SWAN』(1976年)週刊マーガレット
槇村さとる『愛のアランフェス』(1978年)別冊マーガレット
亜月 裕『伊賀野カバ丸』(1979年)別冊マーガレット
ひとつひとつについて、どの店で立ち読みしたのが馴れ初めだったとか、
どこそこに住んでいた友人○○さんから借りて毎号読んでいた、とか、
いつの連休のときにお父さんに買って貰った、等々、今も克明に覚えているし、
どういう友人たちとどの作品を話題にし、なんと言って笑っていたか、
どのギャグでふざけあっていたか、なども、ちゃんと記憶に残っている。
友人の家に遊びに行くと、どこの家にも大抵、我が家にない漫画があって、
ついつい読みふけってしまい、お母さんたちに、
「せっかく遊びに来とるのに、漫画読みよるんね。遊ばんのんね」
と呆れられたりしたことが幾度かあったが(汗)、
だってねぇ、友人とは学校でも毎日会えるけども、
漫画はその家に来たときでないと、読めなかったのだものね(^_^;。
こうした作品の多くは、18歳以降に一人暮らしを始めてから、
徐々に買い直したり集めたりしたので、今も手元に持っているものが多い。
50歳近くなった現在の私が読み返しても、面白いものもあるし、
「今ならコレは無いよな~(^_^;」
と思う場面を抱えているものもあるが、
それらも含めて、どれも大切な思い出であることには変わりはない。
その後は、私が老化したせいか、
それとも少女漫画の傾向自体が変わってしまったということなのか、
こうして一生手元に置きたいほどの作品に巡り会うことは、
もう、ほとんど無くなってしまったように思う。
皆無であるとは言わないけれども……。
もしかしたら、昔と違って、本屋と小遣いに不自由しなくなり、
私自身がハングリーでなくなったのが最大の理由かしらん。
そういえば、どうなんだろう、
娘の場合でも、少女時代に愛読した作品を、
やはり将来、こんなふうに思い返すようになるのだろうか。
私は自分がもっと漫画雑誌を買って欲しかったという記憶があったので、
娘が小さい頃、「読みたい雑誌があれば買ってあげよう」と言ったのだが、
小学生だった彼女は、なんと、すげなく「要らん」と返答した。
理由は、「読まん漫画まで載っとるから、無駄」。
嗚呼。
僥倖みたいに買って貰えた漫画雑誌を、折り目もつけないように扱い、
すみからすみまで繰り返し繰り返し読んだ私とは、なんという違いなのか!
そして彼女は、主人の買って来る「少年ジャンプ」「少年サンデー」で育ち、
たまに自分で選ぶものはと言えば、「月刊Gファンタジー」なのだった。
今、娘の本棚には、コミックスや文庫本で、
津山ちなみ『HIGH SCORE』(1995年)
杉本ペロ『ダイナマ伊藤』(1999年)
葉鳥ビスコ『桜蘭高校ホスト部』(2002年)
ぺんたぶ『腐女子彼女。』(2006年)
などが、並んでいる(^_^;。
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