・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5番
先月から始めたベートーヴェンのソナタ5番だが、
相変わらず変なフレージングのまま、出だしでウロウロしている。
私の頭の中には、自分の初期設定ともいうべきこの曲があるのだが、
それ自体が結構個性的な演奏だった(と思われる)うえに、それは、
年月を掛けて私の中で更にデフォルメされたものになっていたようで、
いざ、楽譜を実際に見たら、かなり違っていることに、今更気づいたのだ。
長い余韻を持つ音として記憶していたものが、楽譜ではスタッカートであり、
区切りだと思っていた箇所には、楽譜ではスラーがかかっていたりして、
私は、自分の鼻歌がことごとく大嘘だったことを、齢45にして知った。
一体、私はいつの、誰の録音を、このソナタとして記憶しているのだろう。
なんとか、それを突き止めることは出来ないかと思って、今夜私は、
うちにあるCDや、ネットの試聴用音源など、いくつか当たってみた。
まず、ゲルバーは違った。
素晴らしくブリリアントな演奏なのだが、どこかの教会での録音で、
わぉんわぉんと響きまくり、私の聴きたい「変なフレージング」は
そこには全く記録されていなかった。
ポリーニでもなかった。見事過ぎて、違った(苦笑)。
清水和音や仲道郁代は年代的に新しすぎて、そもそも当てはまらないし、
なら、いっそグールドか?と聴いてみたが、これがまた、
腹のよじれるオモロい演奏なうえに、唸りオブリガードつきで、
やっぱり全然違った。
あとは、ブレンデルか、はたまた昔実家にあったハイドシェックか、
それともバックハウスあたりか、等々と思いめぐらせてみたのだが、
これらの音源には出会えなかった。
結局、amazonを出たり入ったりした挙げ句、
私の中にある変な5番を叩きだし、性根を入れ替えてくれそうな、
ゲオルク・フリードリヒ・シェンクのCDを新たに買うことにした。
これを聴いて、出直そう。
かつてエル=バシャのベートーヴェン全集を
店頭で目にしながら買っておかなかったのは、
つくづく、失敗だったと、今になって後悔している。
・ハノンが人名である件
きょう仮装ぴあにすと様とお話していて、
『ハノン・ピアノ教本』の「ハノン」は人名である、
ということを、今更思い出して、ふたりでウケた。
ハノン、というのはドイツ語かなんかで
「特訓」とか「拷問」の意味なのかと思っていた、
――というヒト、結構多くないですか(逃)。
あの『ハノンピアノ教本』を書いたのは、フランス人で、
Charles Louis Hanonという、1820年生まれの男性だ。
教会オルガニストやピアノ教授として、大変名高い人だったそうだ。
フランス風に読むなら、シャルル・ルイ・アノンであり、
ハノンというのは英語やドイツ語での読み方だ。
現在「ハノン」だと皆が思っている曲集は、
正式には『ピアノの名手になる60練習曲』という題がついていて、
これは発表当時から各国で大反響を呼んだということだ。
そしてハノン氏は、1878年世界博覧会において銀メダルを受賞した、
・・・と、私の持っている『ハノンピアノ教本』の前書きにあるのだが、
その、モンド・セレクション銀賞みたいなのって、一体、何ですか。
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