夢に語る梅の花

2008-03-05 | 【樹木】梅
 万葉集に、もっとも登場する植物は、秋に花咲く萩。次いで、早春の梅である。
 「梅の花 夢に語らく 風流(みやび)たる花と吾思ふ 酒に浮べこそ」(万葉集)
 先日、郷里・金沢で造られる日本酒「福正宗」をもらって飲んだ。金沢で暮らしていた頃、お正月など、わが家では、いつも「福正宗」だった。なつかしく感じた。自宅用に日本酒を買うとき、つい加賀のものに手を出すのだが、「福正宗」は、余り見かけない。
 「福正宗」をもらうのが、今だったら、窓辺の白梅から花弁をとって浮かべてやってもよかったのに。別の酒でもいいのだろうが、「福正宗」が一番ぴったりくるように感じて。
 正月のお菓子に福梅というのがある。

梅が枝を奏でる

2008-03-05 | 【樹木】梅
 楽人たる夫を殺され、夫を想う女の執心がのちに残る。幽霊となり、舞いの鼓を奏でる。
 「軒端の梅に鶯の 来鳴くや花のえてんらく 謡へや謡へ梅が枝」
 旅僧の弔いに、女の霊は、暁暗のなかに消えてゆく。
 謡曲「梅枝」である。
 ベランダの鉢植えの枝垂れ梅の枝には、七つの淡紅の花がついている朝に。