浦安の惨状はくり返し語るまでもない。
そして今日、東京電力は予定通り、
被災地浦安にも計画停電を容赦なく実施した。
今日はうす暗くなった教室に、
卒業生たちが代わる代わる訪ねてきてくれた。
教室が心配になって見に来てくれたのだ。
彼らの生活も相当に大変で、
トイレが使えない、風呂にも入れない、
一日の大半が水くみに費やされる、
5キロ先の銭湯は大混雑で入場制限、
クルマで行こうにもガソリンがない。
しかし、彼らは皆、一様に明るかった。
東北の惨状を知ればこそ、我が身を憂うというより、
お互いに窮状を分かち合って、笑い飛ばしてしまおうという、
涙ぐましいほどの健気さだ。
やがて教室に電気がついた。
自然、拍手がわき上がった。
停電中、市内の信号も当然消えた。
わずか90分前の告知であったがために、方々で混乱。
交差点の交通整理をするはずの警察官も到着が遅れ、
あるいはろくな準備も経験もなく動員された警官もいたであろう、
危うい場面も少なくなかったと聞く。
ただ、それでも警官不在の交差点には、
復旧工事に当たっていた工事作業者の方が、
率先して交通整理に当たっていたとも聞く。
浦安市は被災地だ。
ただ、死傷者はいない。
家は傾き、或いは傷ついたが、雨露はしのげる。
何より、家族が揃っている。
食糧も医薬品も逼迫しているわけではない。
市民はみんな他地域の惨状を思い、じっと耐えて頑張っている。
ボランティアや救援物資などは、特に必要ない。
東北地方や茨城県、同じ千葉の旭市など、
本当に生命にかかわる危機にある人にこそ、優先して欲しいと、
市民はみなそう思っているのだ。
(ツイッターでも浦安住民のそういう声が多い)
哀れんでくれと言っているわけじゃない。
浦安は、大量の物資がなくとも自力で復興できるし、
事実そうしようとしている。
ただ、水がない。ガスも来ない。
ライフラインだけは、支えてもらわないとどうしようもない。
水は自衛隊が毎日頑張って給水してくれている。
だから、あとはせめて、
電気さえ、融通してくれたなら。
東京電力は明日の計画停電を発表した。
浦安市は夜の7時から10時まで。
我が目を疑った。
正気の沙汰ではない。
東電は、浦安市を見殺しにしようとしている。
どんな状況か知らないはずはない。
いまだ至る所で道路が陥没し、隆起し、泥砂が滞留している街を、
この時間帯に暗闇に陥れようとしている。
どうなるか、わからないはずはない。
これはたしか、「未必の故意」というのではなかったか。
怒りを通り越して、唖然とする。
本当に人間の組織なのだろうか。
コンピュータに適当に決めさせているんだ、きっとそうだ。
でなければ、こんな。
東京電力のホームページでは、
計画停電対象地域に浦安市の名は見当たらない。
しかし、こうしてそーっと現地には問答無用で押しつける。
姑息なやり方だ。
浦安市も怒っている。
今日の計画停電を知らせるために、市の防災課から配信されたメールが、これ。
「東京電力から一方的な通告があり、浦安市全域で、本日17日午後2時30分から3時間程度の計画停電を実施することになります。浦安市では、東京電力に、計画停電の実施をやめるよう、強く申し入れをしましたが、全体の電力供給量が許容量を上回る恐れがあるための非常措置で行うとの通告があったものです。」
役所の出す文章にしては、人間味を感じられるじゃないか。
この静かな怒りは、市民のそれを象徴しているようだ。
一方、千葉県知事は、県庁にわざわざカメラを入れた上で、
東電社員をこれ見よがしに呼びつけ、怒鳴りつけるという、
醜悪な自己陶酔パフォーマンスを展開しただけ。
カメラの前では東電社員も反論しようがない。
被災地域には「『なるべく』停電しないように努める」とか何とか。
そして浦安の電気は停まった。
その日、無力で怠惰で無見識なこの千葉県知事は、
この震災を「天罰」と呼んだ東京都知事の再出馬を支援するとコメントした。
愚かしいにも程がある。
こんな人間を二度と政治に関わらせてはいけない。
東京電力をめぐっては様々な意見が飛び交っている。
上層部の原発危機管理方針のずさんさ、隠蔽体質、会見のお粗末さ。
現場作業員の勇敢さ、生真面目さ、配電技術員の優秀さ。
ひとくちに「東電」と括るべきではないのは百も承知だが、
後者を以て前者の免罪符になりえないことは、
異論のないところではないか。
そして明日も東電上層部は、配電担当者の憂慮をよそに、
その「神業的な」技術を用いて被災地への送電を停めるのだ。
絶対に、忘れないぞ。
東洋経済「東京にもっとも近い被災地・浦安 現地ルポ3」
※この記事のおかげで新浦安の状況が幅広く認知された。心より感謝を申し上げたい。
そして今日、東京電力は予定通り、
被災地浦安にも計画停電を容赦なく実施した。
今日はうす暗くなった教室に、
卒業生たちが代わる代わる訪ねてきてくれた。
教室が心配になって見に来てくれたのだ。
彼らの生活も相当に大変で、
トイレが使えない、風呂にも入れない、
一日の大半が水くみに費やされる、
5キロ先の銭湯は大混雑で入場制限、
クルマで行こうにもガソリンがない。
しかし、彼らは皆、一様に明るかった。
東北の惨状を知ればこそ、我が身を憂うというより、
お互いに窮状を分かち合って、笑い飛ばしてしまおうという、
涙ぐましいほどの健気さだ。
やがて教室に電気がついた。
自然、拍手がわき上がった。
停電中、市内の信号も当然消えた。
わずか90分前の告知であったがために、方々で混乱。
交差点の交通整理をするはずの警察官も到着が遅れ、
あるいはろくな準備も経験もなく動員された警官もいたであろう、
危うい場面も少なくなかったと聞く。
ただ、それでも警官不在の交差点には、
復旧工事に当たっていた工事作業者の方が、
率先して交通整理に当たっていたとも聞く。
浦安市は被災地だ。
ただ、死傷者はいない。
家は傾き、或いは傷ついたが、雨露はしのげる。
何より、家族が揃っている。
食糧も医薬品も逼迫しているわけではない。
市民はみんな他地域の惨状を思い、じっと耐えて頑張っている。
ボランティアや救援物資などは、特に必要ない。
東北地方や茨城県、同じ千葉の旭市など、
本当に生命にかかわる危機にある人にこそ、優先して欲しいと、
市民はみなそう思っているのだ。
(ツイッターでも浦安住民のそういう声が多い)
哀れんでくれと言っているわけじゃない。
浦安は、大量の物資がなくとも自力で復興できるし、
事実そうしようとしている。
ただ、水がない。ガスも来ない。
ライフラインだけは、支えてもらわないとどうしようもない。
水は自衛隊が毎日頑張って給水してくれている。
だから、あとはせめて、
電気さえ、融通してくれたなら。
東京電力は明日の計画停電を発表した。
浦安市は夜の7時から10時まで。
我が目を疑った。
正気の沙汰ではない。
東電は、浦安市を見殺しにしようとしている。
どんな状況か知らないはずはない。
いまだ至る所で道路が陥没し、隆起し、泥砂が滞留している街を、
この時間帯に暗闇に陥れようとしている。
どうなるか、わからないはずはない。
これはたしか、「未必の故意」というのではなかったか。
怒りを通り越して、唖然とする。
本当に人間の組織なのだろうか。
コンピュータに適当に決めさせているんだ、きっとそうだ。
でなければ、こんな。
東京電力のホームページでは、
計画停電対象地域に浦安市の名は見当たらない。
しかし、こうしてそーっと現地には問答無用で押しつける。
姑息なやり方だ。
浦安市も怒っている。
今日の計画停電を知らせるために、市の防災課から配信されたメールが、これ。
「東京電力から一方的な通告があり、浦安市全域で、本日17日午後2時30分から3時間程度の計画停電を実施することになります。浦安市では、東京電力に、計画停電の実施をやめるよう、強く申し入れをしましたが、全体の電力供給量が許容量を上回る恐れがあるための非常措置で行うとの通告があったものです。」
役所の出す文章にしては、人間味を感じられるじゃないか。
この静かな怒りは、市民のそれを象徴しているようだ。
一方、千葉県知事は、県庁にわざわざカメラを入れた上で、
東電社員をこれ見よがしに呼びつけ、怒鳴りつけるという、
醜悪な自己陶酔パフォーマンスを展開しただけ。
カメラの前では東電社員も反論しようがない。
被災地域には「『なるべく』停電しないように努める」とか何とか。
そして浦安の電気は停まった。
その日、無力で怠惰で無見識なこの千葉県知事は、
この震災を「天罰」と呼んだ東京都知事の再出馬を支援するとコメントした。
愚かしいにも程がある。
こんな人間を二度と政治に関わらせてはいけない。
東京電力をめぐっては様々な意見が飛び交っている。
上層部の原発危機管理方針のずさんさ、隠蔽体質、会見のお粗末さ。
現場作業員の勇敢さ、生真面目さ、配電技術員の優秀さ。
ひとくちに「東電」と括るべきではないのは百も承知だが、
後者を以て前者の免罪符になりえないことは、
異論のないところではないか。
そして明日も東電上層部は、配電担当者の憂慮をよそに、
その「神業的な」技術を用いて被災地への送電を停めるのだ。
絶対に、忘れないぞ。
東洋経済「東京にもっとも近い被災地・浦安 現地ルポ3」
※この記事のおかげで新浦安の状況が幅広く認知された。心より感謝を申し上げたい。