いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

相対化

2011-03-13 19:50:58 | 超・いぶたろう日記
今日は職場に入り、惨状を目の当たりにする。
周囲の民家や店舗も似たような状況で、
あちこちでどなたも泥をかき出すのに懸命だ。
なんとか一刻も早い復旧を目指してがんばるしか、ない。

ウチの教室は幸い、建物内部は無事だが、
地盤が災いして、全体が傾いてしまっている。
どう復旧すればいいかシロウト目には皆目検討がつかない状況だ。
専門の業者に見て戴いたところ、
ジャッキアップが考えられる唯一の方策だとか。
さらには困ったことに断水でトイレが使えない。
この状況のまま生徒を預かるのは至難だ。

方々の対応に追われながらも何とか切り回し、帰宅すると、なんと。
ウチのマンションの前の交差点で3台の玉突き事故が発生し、
しかもそのうち1台の軽トラが、ウチの1回の店舗に突入したそうだ。

なんてことだ。
よりによってこんなタイミングで。

しかし、こういったら不謹慎かもしれないが、
普段だったら大事件なのだが、
ここ数日のあまりに衝撃的な事態の連続に、
ちょっと感覚が麻痺してしまっている。
あまり驚かなくなっている自分に驚く。
相対化されてしまったわけだ。

考えてみれば、
未曾有の大震災、大津波、万を数えようかという被害者、
石油基地の炎上、原発事故…と、
書いていてもまるで実感のわかない、
非日常レベルの大惨事が立て続けに起きたわけだ。
そして東北の惨状に比べれば並べるのもおこがましいほどではあるが、
僕自身も少なからず震災の恐怖と被害を体験し、
日常を過ごす街の崩壊を目の当たりにしている。
無理もない。

泥にまみれ、傾いてしまった教室を見ると、
とても他人事ではないし、冗談など言える気にもなれない。
どうやって失った日常を取り戻すか、精一杯だ。
もう何がおきても不思議じゃない。

報道によれば、大規模な余震の可能性も高いという。
電力供給も甚だ覚束ない状況で、停電の可能性も示唆され、
流通へのダメージと買い占めで、東京にあっても生活物資は滞りつつある。
ガソリンも不足しているとのことで、僕には痛い。
まだまだ不安で不便な日々が続くことが予想される。

しかし、住む家がある。食べるものも着るものもある。
何より、命がある。家族が居る。
このありがたさを思えば、多少の不便などものの数ではない。
各地の被災者に思いを馳せたとき、この程度で弱音など吐けない。
まずは自分の足元を固めるために頑張ろうと思う。

事態を打開するのは、前向きな気持ちと連帯だ。
だから、頼むから無責任な発言は慎んでもらいたい。
ネット上で飛び交う、心ない言葉、卑劣なチェーンメール、
そして質の悪い冗談ともとれぬ発言。
自分の生活圏に目立った被害のない者が、まるで実感がわかずに、
完全な他人事感覚に陥ってしまうのはわからないでもない。
かくいう僕だって、自分が巻き込まれるまでは、そんな感覚がなかったとはいえない。
しかし、何も貶めたり苦しめたりすることはないじゃないか。
敏腕経営者をアピールしたいのか、「ビジネスチャンス」を吹聴したり、
生半可な知識で「食べ物を捨てている日本に援助なんて必要ない」などとのたまったり、
「テレビが地震だらけでつまらん」だの、
居住区域がどうの、地価がどうの、
絶対的に弱い立場の被害者を、さらに傷つけて何が楽しい。
挙げ句「言論の自由」を振りかざして開き直る。
それでも人間か。
地震頻発国の日本で、
いつ、君らが被害者の立場に置き換わってもおかしくないんだぞ。

僕のいま置かれている状況は、限定的な不運とはいえ
決して前向きにとらえられるようなものではないが、
それでも、被災者の気持ちをほんのわずかでも実感として察せられる分、
貴重な体験だと思うようにしている。
ほんの少しでも、思いやりの持てる、
誠意ある人間に近づきたいと思う。
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情報発信について

2011-03-13 01:42:58 | 超・いぶたろう日記
何も知らない人、何もできない人は口をつぐめという論調もあるようだが、
僕は違うと思う。
ツイッターでもブログでもmixiでも、
こういう情報発信・共有環境が確保された時代だからこそ、
知らない人なりに疑問をぶつけ、
できない人なりに方策を尋ねることがあってもいいと思う。
誰もが迷う中、ぶつけ合うことで見えるものもあるはずだ。

専門家の発言は頼りになることが多いが、
専門家でさえあれば先がすべて見通せるというものでもない。
素人の発想は時に専門家の常識の枠を飛び越えるが、
根拠に乏しいものであれば必然的に取捨選択され淘汰される。
情報は何もないよりはあった方がいい。

ただ、情報というものは発信者の都合で発せられることが多いものだ。
発信者のあり方が問われることは言うまでもないが、
受け手のあり方も重要だ。
こういう時代だ、真贋を見抜く耳目は肥えているはず。
ひとつの情報を過信するのではなく、
必ず複数の意見を検討し、なるべく客観化していく作業が必須だ。
ダマされたと騒ぐより、
ダマされない自衛を意識することの方が建設的だと思わないか。

専門家からすれば無知な、幼稚な意見も多いだろう。
逆にシロウトから見て無機質にしか見えない、専門家の高説も多いだろう。
しかし、誰かが主観でフィルターにかけてしまうのではなく、
とにかく多くを並べること。
これだけ多くの人が関わることができるんだ、
必ず情報は淘汰されていく。

すごい時代なのだ。
せっかくの先端技術を、情報環境を、
短慮で無駄にしてしまうことはない。
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仙台のみなさん

2011-03-13 00:45:28 | 超・いぶたろう日記
ずっとご無沙汰で不義理をしてしまっていたが、
昔、Rebirthでお世話になったみなさんはご無事だろうか?
仙台の惨状が明らかになるにつけ、不安が募る。
仙台マカナ、スーパーレコード、キョードー東北、仙台HOOK、駒ノ湯。
そしてRebirthを応援してくれたみんな。
仙台にはいい思い出しかない。
みんな優しくて温かくて義理堅くて。
いまが多少なりとも恩返しをできる時だとしたら、
僕らに何が出来るだろうか?
ともかく、出来る限りのことはしたいと思っています。
ご無事をお祈りしています。
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気持ちはわかるが・・・

2011-03-13 00:11:32 | 超・いぶたろう日記
某音楽プロデューサーのツイート。

「プロアマ・ジャンル一切問わず日本中のミュージシャン、エンジニアやプロデューサーや業界関係者、イベント関係者、スタジオ関係者、ライブハウス関係者諸氏。いま僕たちにできること、本気でなすべきことは何だろう?みんなで知恵を出し合えないだろうか?」

ミュージシャンや音楽関係者の連帯・連携を呼びかける声。
気持ちは解る。
自分たちに何か出来ることはないか、
そう思うことは大切だ。
僕もかつてはミュージシャンの端くれだったわけで、
もし僕が今も同じ仕事をしていて、
ある程度の地位とか名声を持っていたら、
同じことを言っていたかも知れない。

しかし、残念ながら認識が甘いと言わざるを得ない。

衣食足りて、初めて音楽。
今必要なのは具体的な援助であって、
食料であり水であり、暖かい部屋なのだ。
それらを叶えるのはお金と物資と人の力であって、
残念ながら音楽や興業には、現時点では何も出来ない。
ミュージシャンやらタレントやらギョーカイ人など、
夢をお金と交換して生きている人々は、
今は出る幕ではない。
今は夢よりも現実なのだ。

何が出来ようか?
せいぜいがイベント開催程度だろうが、
「豪華出演陣」による無責任な「勇気と感動」演出など、
自己満足以外の何ものでもない。

目の前で一瞬のうちに家を流され、家族を失った人々に、
「明るく」「前向きに」「支え合って」
なんていう既製のメッセージが何になろう。

楽器を使い、電気を使い、特効を使い、
着飾った人々が歌い踊るなど、
実は非常に贅沢なことなのだし、
それが当然という世界に生きている者が何を語ろうと、
逆なでするだけになりはしないか。
自重すべきだろう。

じゃあ、行動なのか?
素人が訳もわからず現地へ赴くのも、僕は違うと思う。
我が身を守り、家族を守り、被害を拡大させず、
落ち着いたら被災地へ少しばかりのお金を送る。
それくらいしかできないのだ。

僕らには、それくらいしかできないのだ。
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