いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

語れずにおられようか

2006-10-08 17:14:03 | トラ、トラ、トラ。
わかっているのである。
今、語ってはいけないということは。
彼らにとって最も重荷であるもの、それは期待。
初詣の願い事を口に出してしまうと叶わない、といわれるように、
ここはぐっとこらえて、事態を静かに見守るべきなのである。

しかし、しかし。
あまりの健気さに、もう語られずにはおられない。
こんな言葉を吐くのはまだ早いのだ。
もちろんそれも重々承知の上で言う。

虎よ。
君たちは本当にすばらしい。

ここでカンチガイして欲しくないのは、
ただ単に勝っているからと言うだけではないということだ。
勝ち方にドラマがあるのである。
タイガースは他のチームが決して為しえないような、
あり得ない大逆転勝利や、
ハンパでない連勝を平然とやってのけるチームでありながら、
ここ一番、で期待されるといともたやすく、あっさり、
それはもう見事なまでにコロリと負けてしまうのである。
そのドラマチックさ、アンバランスさ、うだつのあがらなさが、
どうにもこうにもかわいらしくて、
虎党は誰も離れられずにいるのである。
ここを理解せずしてタイガースは語れない。
勝利至上主義・功利主義的な巨人とは明確な一線があるのである。
喩えて言うなら巨人が明治政府軍、阪神が新撰組や白虎隊といったところか。
わかるかなあ(笑)。

8/11からの中日3連戦、いわゆる「天王山」で、
タイガースは初戦を3-2で落とすと、
そのまま意気消沈してしまい、
第2・3戦では11-1、13-5と惨敗してしまう。
続いて下位の広島相手にも3タテを喫するというていたらく。
さらには昔日の面影もない、斜陽の宿敵巨人にまで、
10-0とひねられてしまう。
これが8/26のことだ。
誰もが終わったと思った。虎の息の根は絶たれたと思った。
しかし、ここからがドラマなのである。

翌日、同じ巨人相手に3-2できわどく勝ち、3タテを回避すると、
この日の抑え投手、登板過多に伴う体調不良で戦線離脱していた藤川が、
お立ち台で泣いた。
「チームは一生懸命やってますんで、よろしくお願いします!」

ここから、虎の快進撃が始まった。
翌日からの中日3連戦、2勝1分けと勝ち越し、
ここまでナゴヤドームでの対戦を中心に「手も足も出なかった」眼下の敵を封じると、
なんとそのまま8/27以来、23勝4敗1分け。
勝率8割5分である。
神懸かりとしか言いようがない。
ここで見落とせないのが黒星の内容。
巨人に1つ落としたほか、あとは中日に3つも!
あとは全部勝っているのに、である。
驚嘆を通り越えて笑ってしまう。

2003年シリーズの7戦目、2005年シリーズの4連敗を思い出す。
ここ一番でめっぽう弱いタイガース。
ここであのとき中日に勝っていたら…なんて、
「過去の皮算用」をするのは巨人ファン的である。
タイガースは「このまま百連勝やでぇ!」と、
あくまで非現実的な未来の皮算用は好むが、過去の現実的な分析は嫌うのだ。
夢がないからである。
過去のデータに基づく反省なんて、実生活の職場だけで十分だ。
野球はそんなもんじゃない。
ドラマを楽しみに行くのだ。
いま、その「虎のドラマ」が最高に盛り上がっているのである。

竜にM4が点灯している以上、現実的には難しい。
それは百も承知だ。しかし、それを言ってはつまらないのである。
選手は信じる気持ちを棄てていない。
ファンもまた、そうだ。
こんなに美しい心のつながりがあろうか。
優勝できるかどうかなんて、もう考えない。
この虎を目に焼き付けるのだ。ドラマを楽しむのだ!

今日はバイクで遠出しようと思っていたのだが、風も強いし、
何より対巨人最終戦もあるしで、在宅観戦決定。
さあ、タイガースは残り4試合、ドラゴンズは7試合、ゲーム差は2。
ドラゴンズは山本昌のノーヒットノーラン、立浪の逆転打、と、
優勝チームに不可欠なドラマも盛りだくさんだ。
これを逆転するにはタイガースの全勝しかない。
どうなる?

いやかつて、こんな最後の最後まで楽しめるシーズンがあっただろうか。
ぶっちぎりで18年ぶりの優勝を成し遂げた2003年、
夏に逆転して突っ走った去年、
そして今年。
あらゆる形でドラマを見せてくれるタイガースが、好きだ。
Comments (2)
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