競走馬も第一趾骨を骨折するが、遠位部の骨折は珍しい。
当歳馬は骨が柔らかいせいで、こういう折れ方をしたのだろうと思う。
内側関節面に荷重がかかりすぎるような飛び跳ね方をしたのだろうと思われる。
骨折片はもっと短く、こんなにずれてはいなかった。
この馬は、第一趾骨の4/5ほどがずれてしまっている。
第一趾骨と第二趾骨の関節は、趾骨瘤とも呼ばれる骨関節症を起こしやすい関節なので、ずれた関節面を完全に戻して、のちのち骨関節症が起こらないようにスクリュー固定したい。
と思って手術したが、骨片にドリルガイドを刺しこんで、思いっきり引っ張っても完全には整復できなかった。
蹄にかけたロープを外へ捻るように引っ張ってもらっても、関節面のずれを完全には直せなかった。
それ以上、骨片のずれを直すなら、関節を切開するか、皮膚を切り開いて、骨折線に骨起子を刺しこんで骨片を起こすように動かさないとならないだろうと考えた。
そんなことをすると外科侵襲が大きくなり、かえって骨関節症を引き起こしたり、あるいは感染を起こしてしまうかもしれない。
それで、関節面がずれているのを受け入れてスクリュー3本で内固定した。
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6週間後、一番遠位のスクリューより関節面よりは圧迫されていないものの、関節面のずれは気にならなくなった。
骨関節症の所見はない。
子馬の骨の成長力と治癒力には感心させられる。
スクリューを抜く手術に来院した子馬は飛び跳ねていた。
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今日は関節鏡手術ダブルヘッダー。
自己免疫性血小板減少症を疑った2歳馬の剖検。
競走馬の跛行?診断。
おんまさんの骨折では過形成はみられないのでしょうか。
跳ねてる仔んまさん、うれしく想像。
治って良かった。 これから続く馬(人?)生、無事に過ごして欲しいものです。
プレートで骨折線を圧迫固定するときなどは、子馬はほどほどにしておかないと固定した部分が成長しないだけで短くなってしまいます。すごい成長力です。
上手に内固定すると、贅骨も形成されない。とかつてのAO法は考えられていたようですが、今はそんなことはないとされています。
そうなんですよ。せっかく生まれてきたんだもの。