実は哺乳類の中で最も視力が良いのは霊長類だ。
それは私たちヒトが外界をとらえる仕組みだけでなく、ものの考え方そのものになっている。
だから、ものの「見方」とか、「先が見えない」とか、「見直し」が必要だ。とか言うわけだ。
「見る」というのはヒトにとって物体だけでなく状況を把握したり、物事を考えたりすることでもある。
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しかし、イヌや馬はそうではないのだろう。
イヌについて言えば、おそらく匂いを嗅ぐことが世界を認識することなはずだ。
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ヒトの嗅細胞がある部分は7平方cm、対してイヌのそれは390平方cmほど。
もちろん犬種により鼻が大きく伸びた犬種では面積が広い。
ヒトの嗅細胞数は約500万個だが、ダックスフントは1億2千5百万個、ジャーマンシェパードやビーグルは2億2千5百万個、ブラッドハウンドは3億個。
匂いの情報を処理する嗅球はヒトは1.5g、イヌは中型犬でも6gあるそうだ。イヌの脳全体はヒトの脳の1/10の重さしかないので、相対的にはイヌはヒトの40倍匂いに頼っているのかもしれない。
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これはイヌが特別に嗅覚が発達した動物なのかというとどうやらそうではないらしい。
もっとも嗅覚にすぐれているのはゾウではないかと言われている。
解剖学的な嗅細胞の数、その分布している面積、嗅球の大きさや、行動学からの推測なのだろう。
おそらく馬も鼻や副鼻腔の発達から見て(嗅いで)、嗅覚は相当すぐれているはずだ。
母馬子馬が認識しあったり、仲間を識別したり、自分の居場所や自分自身を認識するのは、見た目ではなく匂いなのだろう。
「この馬は白衣を着た獣医さんが嫌い」と言われることがあるが、馬が識別しているのは白衣や長靴ではなく、薬やアルコールの匂いだったりするのではないだろうか。
(つづく)
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今日は、競走馬の腕節の剥離骨折の関節鏡手術。
珍しいことに九州から。
平行してレポジトリー用検査。
午後は1歳馬の大腿骨滑車のOCDの関節鏡手術。
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ウマには馬の、世界がある。
ヒトの目で擬人化するにしても、真実がどこにあるかいつも考えてやりたいものだ。
今日はシャンプーしちゃったけど迷惑だったかな?
質問です。
生後に極度のUpright(両前脚)が見られるとき、Splintと一緒にElastplastでバンデージするのと、Castを巻くのとではどちらが効果があると思いますか?
生後2日目からOxytet注射を3日間します。
人によっては様々で、例えばコットンウールとElastoplastで脚全体を巻いてみたり、蹄にエクステンションをつけてのマッサージ等々。
これらは、コストや時間がかかってしまうので余り好かれません。
はとぽっけのゴルは容姿や声でも判断していたと思います。最終的に厳密には嗅覚で見極めることは確からしいと、hig先生の文章から思い返しています。
猟犬は、聴覚に頼ることも多かったです。静かな夜間はかなり遠くの車の音を聞き分けて、父の帰りをしらせてくれたものでした。はとぽっけにもわかりましたが、より家に近くなってからでしたので、犬ってすっごーい!と、思ったものです。
ゴルはシャワーの催促をすることもありましたが衛生観念からではないかも。
バケツがあると、我々は目で覗き込みますが、馬は鼻を入れますね。
中に食べ物が入っていると思って、口を入れているようにも見えてましたが、まず、鼻で、中の様子を探っていた、ということでしょうか。
びっくりしたような時、鼻の穴を大きく広げて、ブフー、ブフーとやっているのも、情報収集の一環なのでしょうか?
汚いネ~と言いながら撮りましたから、わかりましたかね。
腱拘縮はそのタイプと程度によって治療法が違いますが、できるだけ早い時期に、できるだけ長い時間伸ばしてやることです。ただし、あまり痛いほど伸ばすと子馬がまいってしまいます。
本当にひどいのは治せませんので、コストや時間だけの問題ではないですね。
シャワーの催促より水遊びの催促だったのかもしれませんね。
邪念なくいつも外界にだけ集中しているというのも動物の特徴かもしれません。他のことをして待つということもできませんから。
嗅覚と視覚を比べると、視覚の方が一瞬でわかる利点はあるのでしょうけど、嗅覚は遮蔽物があっても、他の物と混ぜられても判別できる利点があるのでしょうね。
馬もかなり匂いで注意し、匂いで確認している動物ですよね。