【夏の索引】

【夏の索引】

「人間は、そこに黙って坐っているだけでも私には煩く感じられるのである。 人間は、口をつぐんでいても、何か喋りかけてくるようで、気を散らされるのである。 相手をしてやらなければいけないような気がして、負担に感じられるのである。」

学者然とした風貌をした猫を見ていると、彼は人間のことをそんなふうに眺めているのではないかという気がする。阿部昭が随筆集『父たちの肖像』の中で犬と人間について書いている箇所を、猫と人間の関係に置き換えてみた。

犬が人間にとってある意味めんどくさい生き物であるという感じ方をするなら、人間が猫にとってめんどくさい生き物と思われている可能性も認めなければならない。

索引のない本は「本」ではないと書いている学者がいた。このところしっかりした索引の付いた分厚い文庫本を2冊読み終え、気になる箇所を再読したくなり、本に索引があることのありがたさを痛感したので心からそう思う。読み終えて本棚に並べておいても時に応じて役に立つ。

学術書や実用書だけでなく文芸書にも索引があると便利だ。阿部昭が犬について書いていたのはどこだろうと全文検索して「猫と手袋」の章がすぐに見つかるという意味で、電子書籍はみな便利な索引付きになっている。

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4:26
夫婦そろって年をとると記憶力が次第に衰えているのがわかる。それがわかるのは、鏡になって互いの老いを映し合う相手がいるからだ。

4:31
「ねえ、〇〇〇〇〇の書類って私が預かってるんだっけ?」と突然聞かれてドキッとするようなことが増えてきた。

4:35
四半世紀近くもネット上に日記を書いていると、過去の大きな出来事に関しては全文を対象にした検索ができるのでときどき役に立つ。

4:43
自分だけが書いて、自分だけが検索して読み返し、自分が書いたものが自分と配偶者の助けになるような、ほんとうの日記を書く習慣づけを今からでも始めたほうがいいと思い始めた。まだ遅くない。

5:00
「父親の猟銃の代りに、息子には創作の息の根を止める『日記』があった、もうなんにも書く気がしないというようなことを書きつけるための『日記』が。」(阿部昭『父たちの肖像』より)


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20 音オルガニートで

『わらべうた ほたる来い Hotaru Koi』

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