【木の実の名前・2】

【木の実の名前・2】

博識の友人をもつことはありがたい。聞けば即座に答えが返って来る。

『木の実の名前』という日記を書いて森田惠子さんから送られて来た写真を掲載した。

どうにも樹種の特定に自信が持てない。中学高校の後輩で、第三管区海上保安本部に勤務しながら、森林インストラクターの資格を持つ友人(小川さん)にメールしてみた。

石原 左上は言わずと知れた「まつぼつくり」、樹種はアカマツかと思うのですがどうでしょう。余談ですが「まつぼっくり」は「松陰嚢」と書き、「ぼっくり」は「ふぐり」が転化したものだそうです(笑)
小川 クロマツの可能性もありますね。じっくりと見ないとわかりませんが、たいてい種の落ちていた近くにある木が正解です!(笑)
森田 今朝、四宮鉄男監督から電話があったので、木の実の話をしました。四宮さんが「ぼっくりがふぐりなら、ぽっくりもそうかい?」と言うので、「履物の?」と、聞いたら「形も似ているだろう?」というのですが、私には分かりません。履物のぽっくりも、ふぐりの転化したものですか?
石原 そうです!と言いたいところですが、「(3)馬などがゆっくり歩くさま。(三省堂「大辞林」より)」とあって、♪いつでも一緒に ぽっくりぽっくり歩く の「ぽっくり」のようです。馬の足音のオノマトペでしょう。正式には「ぽっくり駒下駄」といい、安永・天明(1772~1788)の頃女子に大流行したそうです。中にお湯が入れられる湯たんぽ形式のもの、抽き出しが付いていて白縮緬の足ふきが入っているもの、一朱銀や三分銀を入れた袋を付けて鈴のように鳴るものなどが、金蒔き絵や鼈甲張りなどの贅を凝らしたものと同時に市場を賑わしたようです。天保(1830)の改革で製造使用が禁止されました。
森田 まつぼっくりは、友人に貰ったもの。戸田市内産。

石原 その下はマメ科の種子で「豆果」と呼ばれる果実の形態。サイカチの実ではないでしょうか。鞘にサポニン成分が含まれ、昔は石鹸がわりにしたそうです。
小川 サイカチ(トゲトゲの木)なんてよく知ってましたねぇ、でも、この豆科植物は、都会に偶にある「ネムノキ」か「ニセアカシヤ」と見ましたが・・・
森田 豆果は、沖縄・伊良部島で拾いました。

石原 右上のサクランボ型のはよく目にしますね。最初、スズカケノキ科の種子かと思ったのですが、もしかするとモミジバフウかもしれません。モミジバフウはマンサク科の樹木で、大正時代に渡来し公園・街路樹などとして多く見られるそうです。
小川 スズカケノキは、蔵談義で見たでしょ!(※石原注:清水蔵談義で私の講義を何も聴いていなかっただろう!と責めている) もっとまん丸で、丸い部分をつつくと綿帽子のように割れる種です。
森田 さくらんぼ状のものは、北浦和にある埼玉県立近代美術館で。

石原 下段右端は「どんぐり」で、樹種はコナラのような気がします。
小川 せーかいです!
森田 どんぐりは、日光で拾いました。拾ったところは、ちゃんと覚えています。(笑)

石原 で、下段中央、行司軍配の房みたいなやつ、これもよく見かけるのですが名前がわからない(笑)
小川 これも蔵談義で、飛ばしたヤツです(また責めている)。正解は、ユリノキです。
森田 行事軍配は、種でなくガクかと思っていたのですが。有楽町近くの皇居お堀端で拾いました。種って、生命の素みたいで、好きです。形も綺麗だし、エネルギーを感じます。

※森田惠子さんは 2021 年 4 月に他界された。合掌。

(閉鎖した電脳六義園通信所 2002 年 1 月 27 日、20 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)

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