電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【わざわざ】
【わざわざ】
友人がくれたメールに
「男にとっての収集癖がそうであるように、女の食欲とファッションは性欲の代替行為だ」
と書かれており、
「たしかに果てしない心身症的物欲の悪循環は、世界に対する失われた(…ようにいつも感じる)愛の確認行為のような気もします」
と返事を書いた。
物欲に限らず、人の欲に関する個性は、生後 1 年半くらいまでの口唇期、2 ~ 4 年目くらいまでの肛門期に決定するのではないか、大ざっぱに言えば欲というのはみな口唇愛や肛門愛が形を変えたものではないか。
タバコをやめたことで昂進した欲のひとつに食欲がある。
煙草をやめたら太ったという友人がいるけれど、口さびしさは食へのこだわりに代償を求める。とはいえ暴飲暴食への歯止めをかけようという自制も働くわけで、外出から戻って一日に撮影したデジカメのデータを整理すると、食べ物関係に固執している物欲しげな自分の視線がおかしい。かなわぬ食欲が情報収集欲に転化されているのかもしれなくて、写真は指しゃぶりに似ている。
DATA:CANON PowerShot A70
昨日撮影した写真に JR 代々木駅山手線のホームに貼られた青森県八戸市の大型観光ポスターがあった。八戸の郷土料理『せんべい汁』という南部せんべいを使った鍋が紹介されており、思わず唸る。これはうまいかもしれない。
東北の食文化は非常に高度で、わざわざ飯鮓(いずし)にしたハタハタや、わざわざ古漬けにした白菜で鍋物を作ったり、わざわざ沢庵漬けにした大根で味噌汁を作ったりし、僕はそういう二重に手間のかかった料理が大好きだ。
以前、英国王室御用達のクラッカーの味が南部せんべいの味に酷似していると思ったけれど、英国人がスープにクラッカーを割り入れ浸して食するように、鍋にわざわざ焼いた南部せんべいを入れるのはなんと理にかなっているのだろうと感心してしまった。すごい!できればわざわざ八戸まで食べに行ってみたい。
(閉鎖した電脳六義園通信所 2003 年 10 月 23日、18 年前の今日の日記に加筆のうえ再掲載。)
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