▼モートル

東京下町の工業地帯にはモートルの店がある。
静岡県清水で瓦製造業を営んでいた祖父母の家の
作業場の隅にも一台大きなモートルがあった。
毎朝電気のスイッチを入れると大きな音を立てて始動し
天井に渡された長い鋼鉄製シャフトが回転し
そのシャフトに長いベルトを掛けたり外したりして
さまざまな瓦製造器具を動かすのだった。



たった一台のモートルは何人分にもあたる大切な労働力であり
農家でいえば使役のための牛馬のようなものであり、
モートルが壊れたときはこういう店に入院させて直していた。

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