24年目の夏

2012/08/02

 他界した母の元へ、手押し車を押した白髪の老婆が香典を持って現れ、足が不自由になったので上がって焼香ができないと言う。
「あの、失礼ですが母とはどういうお知り合いなのでしょうか?」
と尋ねたら斜め向かいに住むおばあちゃんだと言う。

木更津にて|2012年7月25日

 24年前の夏の日、生まれて初めて清水みなと祭りを見に来た妻が浴衣を着ると言い、母は着物の帯しか締めたことが無く若い娘の浴衣の帯など締められないと言うので、このおばあちゃんにお願いしたのだった。おばあちゃんはニコニコしながら若い娘風に帯を締めてくれたのだけれど、その後一度も姿を見かけたことがなく、体調を崩されてあまり外を出歩かなくなったのだと聞いていた。そのおばあちゃんが突然現れ、24年も前すでにおばあちゃんだった人なので、とうに他界され二度と会うことはないだろうと思っていたので、腰を抜かしそうなほど驚いた。

 あの夏の日から24年経って母はガンで他界し、あの夏の日から24年経って妻は当時の母の歳に追いつき、あの夏の日から24年経っておばあちゃんは、生き返ったようにニコニコ笑いながら現れ、もうすぐ100歳になるという。

(2005年8月26日の出来事より)

コメント ( 2 ) | Trackback ( )
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コメント
 
 
 
みなと祭り (サッカーおやじ)
2012-08-04 04:59:08
今年も例年通り昨日今日とみなと祭り総踊りです。
僕は消防団の警備で4時間ひたすら立ちん坊。
24年前はまだ総踊りはなくて、さつき通りを日曜日に通行止めにしていろいろなイベントをやっていて、1日楽しめましたね。明日も盛り上がりそうです。
 
 
 
みなと祭り ()
2012-08-05 08:40:57
暑い中ご苦労様です。
そうでしたね。
さつき通りで買い食いしながら清水橋を渡るのが好きでした。
そういえば新しくなった清水橋を歩いて渡っていない。
 
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