電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【サンライズ・サンセット】
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(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2004 年 10 月 17 日の日記再掲)
週末の帰省介護を終えて東京に戻る日曜日の朝、母が別れ際に、
「もう大丈夫だから、しばらく来なくてもいいよ」
などという。
「(何をとぼけた事を言ってるの?)」
とは言わないけれど、
「あのね、お母さん、今週末にはまた僕が来て、お母さんの体調を整えて日曜日に保蟹寺である叔母さんの納骨に同行するって言ったでしょう?それが終わったら東京にとんぼ返りして大急ぎで仕事を片付け、水曜日にはまた清水にとんぼ返りして、木曜日の午前中から県立がんセンターにお母さんを連れて行くんでしょう?」
と答える。母は、「ああ、そうか」とぽつりと言い、言い訳でもするように。、
「一週間が経つのは呆気ないから…」
などと意味がわかったようでわからない事を言う。
母がひとり暮らしする実家に取り付けられた、独居老人見守りシステムの概要説明書を読む。
(株)あんしんネットワークという会社がサービスを提供し、サービスの核となる電話の先には24時間体制で隊員が待機しているという。
独居老人である母が、急に誰かの助けを求めたくなったら電話機の側に取り付けられた緊急通報装置の赤いボタンを押す。センターの隊員が電話に出るので状況を説明し、救急車の手配などをして貰う。
装置のある場所まで行く事すら困難な場合は、首にかけられるようになっているペンダントのボタンを押す。センターの隊員が電話に出るので状況を説明し、救急車の手配などをして貰う。
センターの隊員が電話に出たが無言(話ができない)の場合、センター側から母の元に電話が入り、母が電話に出ない場合は最寄りにいる静鉄タクシーの運転手が安否確認に急行する。屋外に設置されたキーボックスを解錠し、家の合い鍵を取り出し玄関を解錠して室内に入り、老人の様子を見て救急車を呼ぶなり、自分の車に乗せていくなりの応急処置をする、というシステムになっているという。
母が暮らす地方都市でどれくらいの利用者があるかわからないが、大都会に比べたら少ないに違いなく、そういう状況で24時間体制の見守りシステムを構築し、高齢者には負担のかからないサービスとして提供される場合、終夜営業のタクシー会社と提携するというのはなかなか良いアイデアだと思うし、土地勘のない者を雇用して作り上げたシステムより、地元のタクシー運転手を利用した方が遙かに役に立つはずだ。
清水でタクシーに乗ったら笑ってしまった。
タクシー無線から運転手の声が聞こえる。
運転手A:「えー、12号車、○○町のガソリンスタンドから3軒目の○○さんに車を回しただけーが,シャッターん閉まってて人んいないだけーが、○○さんで間違いないだか?」
配車係:「12号車、○○町のガソリンスタンドから3軒目の○○さんで間違いないけーがその辺にいないかね?」
運転手A:「やいやい、だーれもいないし、シャッター叩いても返事んないだよ」
配車係:「○○さんで間違いないだけんね」
そうしたら僕の車の運転手がたまりかねてマイクをとって、
運転手B:「脇の道を入って工場ん裏手の路地に○○さんの表札んかかってるんてわかると思うけーが、○○さんのじいさんは工場ん休みの時はそっちでひっくらかってるんて、たぶんそっちへ車を回して貰えるこんだとおもってるじゃーなーいー」
運転手A:「12号車了解」
もの凄い清水弁がタクシー無線で飛び交うのも楽しいが、よく知ってるなーと運転手の知識に感心してしまう。いざというときは、そういう男たちが無線で連絡を取りながら機転を利かして何とかしてくれるだろうと思うと、ひとり暮らしの母が地域の傘の下にいる事の安心感を感じる。
日曜日の朝、東京に戻るために清水駅まで歩くと大概釣り人に出会う。自動車が駐車できること、橋上から竿をのべれば川の中央でもどこでも思い通りの場所に釣り糸が垂らせるので便利なのかもしれない。
[Data:MINOLTA DiMAGE F100]
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