気まぐれ定点観測……東大安田講堂前の銀杏並木

写真というのは不思議だ。

三十数年前に郷里の山の上から撮影した写真を探し出し、
「この写真の中には今はもういない人が生きている」
などと書くと、自分で書いた言葉に誘導されて
目を皿のようにして街並みの映像の上をさまよったりする。
だが本当に写真の中に人がいるわけではないのだ。

それでも人は写真の中に手をさしのべて
愛する人を抱きしめたいという
衝動を抑えることができない。
そういうことの面白さについて
ロラン・バルトというえらい学者が
『明るい部屋』という写真論を書いている。


撮影日: 2006.02.10 3:47:28 PM
KONICA MINOLTA
DiMAGE Z3

日中、並木の枯れ枝の上に月が出ているだけの写真だが
「これは東大安田講堂前の銀杏並木の上に見えている月です」
と言うと、様々な感慨を持って見てしまう人もあって、
写真の面白さ、不思議さ、危うさは
そういうところにもある。

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