グリーン


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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子供の頃あんなに気を遣って服を選んで着せたのに、あなたは何故そんな変な色を好むのか・・と母親からよく言われる。
僕が子供の頃の服装には、だいぶ投資したらしい。
しかしまったくと言っていいほど、僕はお洒落には興味を示さなかった。
お洒落というのは、恐らく生まれつきのものであろうから、そういう才能が無かった場合仕方がないのである。

自分では覚えていないのだが、小学生の時に、突然この服が欲しいと僕が言い出したことがあったと言う。
渋谷の東急百貨店での話らしい。
それが「何とも奇妙な色のグリーン」だったのだそうだ。
僕がそんなことを言うのは初めてだったので、母親は不本意ながらもその服を買ったのだという。
「何であんな変な色を欲しがったのか・・本当にガッカリした」

そう言えば、グリーンに関しては、僕にもひとつ思い出がある。
中学生になりたての頃、確か出来たばかりの渋谷のパルコに、従兄に連れられてバーゲンに行った。
同年代の従兄は、普段から当然のように、そういうところに買い物に行っていた。
僕は全然興味はなかったが、一緒に行こうと言われ、訳も分からずついて行ったのだ。

バーゲン会場に入っても、何を買っていいのか全然わからなかった。
ところがその中でひとつ、鮮やかなグリーンのダッフルコートが目に留まった。
当時経営危機の噂のあったVANの製品が安く売られていたのだ。

何故かわからないが、そのコートの色が特別気に入ってしまった。
着ようとしたが、サイズが小さくて入らなかった。
しかし持ってきた数千円で、そのコートを購入した。
着られないものを買うのを見て、従兄は不思議がっていたが・・・(笑)

当然持ち帰ってもどうしようもなく、結局バーゲンに行けなかった体の小さい従姉にあげてしまった。
従姉はVANの製品だと言って喜んでいた。

今にして思えば、僕はあの色が気に入ったのだ。
あのクッと目に染み入るグリーンが。
ファッションとしてあのコートを選んだ訳ではなく、純粋にあの色に惹かれたのだ。

恐らく目の神経に心地よい刺激を受けるのだろう。
見ているだけで気持がいい。
これは多分に物理的なものなのである。
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