捕獲-1


Z9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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ミシシッピアカミミガメ、いわゆるミドリガメが、日本に生息するカメの半分以上を占めるようになって久しい。
生命力が強く、生活圏を奪っていくばかりでなく、どうも他のカメの卵も食べてしまうようで、生態系が崩れ、在来種のカメは一掃されてしまった。
ご存知の通り、ミドリガメとしてペット用に大量に持ち込まれたものが、逃げ出したり捨てられたりした結果である。

もっとも、昔から川に行けばカメがいたかと言うと、遭遇する機会はそう多くは無かった。
時折クサガメが石の上で甲羅干しをしているのを見る程度で、在来種のニホンイシガメを近郊で見ることはまずなかった。
逆に今は、ちょっと郊外の川原を歩くと、ミシシッピアカミミガメを大量に見かけるので、野生のカメに遭遇する機会はむしろ増えているとも言える。
カメがいてもほとんどが外来種のミシシッピアカミミガメで、いかに繁殖力が強いかが分かる。

もっともクサガメも日本の在来種というわけではなく、どうも江戸時代後期に朝鮮半島から持ち込まれた外来種のようだ。
しかも遺伝子情報から解析すると、現在野生にいるクサガメの多くは、その後1970年代頃にペットとして中国から持ち込まれたものだという。
クサガメといえば、僕の世代ではもっとも慣れ親しんだカメであるが、外来種として駆除の対象になってもおかしくない事になる。
今のミドリガメと同じような経緯で、日本で増殖したのかもしれないのだ。

昔は赤みのあるイシガメの子供が、硬貨に似ているという理由で、ゼニガメという名前で金魚屋などで売られていた。
ところがイシガメの個体数が減ったためか、途中からクサガメの子供のことをゼニガメと称して売るようになった。
ゼニガメの名は、今ではポケモンで有名であるが(笑)、僕の子供の頃は、すでにイシガメは珍しくなっており、もっぱらクサガメの子供のことを指していたように記憶している。

正統派在来種のニホンイシガメも、江戸時代に持ち込まれたと思われるクサガメも、ミシシッピーアカミミガメにだいぶやられてしまった。
今や川で見られるカメは、ほぼ100%ミシシッピーアカミミガメである。
さすがにこれではまずいという事で、昨年よりミシシッピアカミミガメは「条件付特定外来生物」に指定された。
飼育するのは構わないが、無責任に川や池に逃がしたり、販売したりすることが禁止されたのだ。
今でもペットとして可愛がっている人が多いので、それ以上厳しい処置はできなかったのだろう。

つづく
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