販売合戦


D810 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

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ある得意先の販売店から電話を貰った。
ウチのある商品がネット上で安く売られており、しかも即納と書かれているが、どういうことかと言うのだ。
電話をかけてきた得意先にも同じ商品を卸しているが、受注生産であり納期はかなり長くもらっている。

その得意先は老舗の町の販売店なのだが、インターネット販売にも力を入れており、現在はそちらの売上の方が多くなっている。
聞くと問題のネットショップとはライバル関係にあり、互いに強い敵対心を持ち、それこそ1円単位の値引き合戦になっているようだ。
片方は神奈川県にあり、ライバルのショップは愛知県と、地域が全然違うのもネットならではの現象であろう。

調べてみると、愛知県のライバルの方も、時々ウチと取引のある得意先のひとつであった。
ネットショップは実店舗とは違う名前で運営されている場合が多く、調べないと関係がわからない。
しかし問題のその商品は、そのショップには過去に一度も卸したことはなく、増してやそんな短納期で納められるわけでもない。

そのショップの専務を知っていたので、電話してウチの商品が間違った情報とともに載せられていることを話してみた。
専務によれば、ネット通販部門は専門の担当者に任せていて、自分にはよくわからないということであった。
製品の種類が大量にあるので、何をどのような形で売っているかまでは把握しきれていないのだ。
とにかくこの表示は問題があると伝えたところ、あっさり商品を引っ込めてくれることになった。

それにしても、実際に注文が入ってしまったら、どう対処する気だったのだろう。
お客には、この商品はたまたま在庫が切れてしまい、納期に1か月かかりますとお詫びのメールを送るのだろうか。
何だかウチが嘘をついたようにも聞こえる。

敵対するショップに対し有利に戦うために、何でもいいから商品をかき集めて、敵より1円でも安くして載せてしまえ、ということなのだろう。
ネット販売では画面に表示される情報がすべてだから、載せるだけでも効力を発揮する。
そういう強引なやり方のショップもあるということだ。

実は価格競争のトラブルは、過去に度々起きている。
どこどこのお店が異常に安い価格で売っているが、一体いくらで卸しているのか、どうにかして欲しいと怒りに満ちた声で電話してくる販売店もある。
そのせいで、全然売上が上がらないと言うのだ。
何とかしないともうお前のところの商品は仕入れないぞ、という脅しの意味も込められているのだろう。

しかし今回の場合、実際にはその相手には卸していなかったし、仮に卸したとしても価格は同一である。
さすがに条件が変わらないことを聞くと、あとは販売店側の問題なので、黙ってしまう得意先も多い。
しかしいずれにしても、もうその商品には旨みが無いので、販売店としては売る気が削がれてしまうだろう。
もちろん法的にもメーカーが販売価格に口を出す権利はないので、それ以上の対応できないのだが・・・

不思議なことに販売実績を調べてみると、その安く出している方のショップでも、過去にその商品が売れたという記録が無い場合が多い。
売上を根こそぎ持っていったというライバルの販売店で、売れた形跡がまったくないのだ。
販売合戦に熱くなっているのは、実は当人たちだけだった・・ということになる。
値引き合戦に陥った商品は、結局売れなくなってしまうという悪い傾向があるのかもしれない。
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