ワークブーツ


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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昨年、最近のレッドウイングの革質についての感想を書いた。
(2015年12月5日の日記)
その後、手持ちのレッドウイング2足をを会社に持っていき、交互に履いている。
数ヶ月間使用し、何度か現場で力仕事を手伝う時などにも使った。

その結果、ワークブーツとしてのレッドウイングは、案外悪くないなと感じている。
革質こそ、昔のものに比べて落ちているが、仕事の現場で使用してみると、つまりワークブーツ本来の使い方をすると、なかなか実力のある靴であることがわかってきた。
足首から上が包まれるようにカバーされる。
ホームセンターで売っている安全靴より、はるかに存在感もある。



考えてみれば、これはまさにワークブーツなのであり、ファッションアイテムとして見ているのは、ユーザーのほうなのだ。
それもクラスレスという特殊な社会環境にある日本の若者が、最初に飛びついたと聞く。
本来は「労働者が現場で履く靴」なのである。
実用品としての性能こそが重要なのであって、革の質に文句をつけられてもお門違いかもしれない。

会社で使用しているのは、黒のアイアン・レンジとブラック・チェリーのベックマンである。
ろくに手入れもせずにラフに使っているが、それがまたカッコいい(笑)
アイアン・レンジのほうは、以前ここ(2015年9月5日の日記)で紹介している。
どちらもアメ横でB級品を安く買ったもので、舌革にその印のパンチ穴が開けられている。
仕事で使うのならそれで十分である。



上の写真は、新品時に撮ったレッドウィング・ベックマン・ブーツ。
モデルNo.9011。
アッパーはブラック・チェリー「フェザーストーン」。
ソールはレザー&ラグ。
サイズはUS7D。

創業者のチャールズ・ベックマンの名を冠したブーツである。
現在の同社を代表する製品にもなっている。
20世紀初頭の製品をベースとしてデザインされている。
当時の米国では、西部開拓時代の名残とその特殊な環境ゆえ、フォーマルな場でも6インチ丈のブーツがドレスシューズとして使われたという。
このベックマンの原型となったブーツも、どちらかというとワーク用ではなく、一般使用向けに作られていたようだ。

ブラック・チェリーと呼ばれる色は、少し紫がかったバーガンディ、小豆色とでも言うべきか・・・
一番人気はブラックらしいが、このブラック・チェリーも人気の色のひとつだという。
アメ横のアウトレット店で聞いた話である。

以前紹介したアイアン・レンジと同じラストNo.8が使われている。
あのラストはレッドウィングとしては一番自分の足に合っている。
当然同じサイズUS7が、ベストのフィッティングであった。

アイアン・レンジは7つの紐掛けのうち上の3つがフックであったが、ベックマンはすべてアイレットになっている。
そのため羽根を開くのに少し手間がかかる。
狭い店内で試着した時には、無理に履き口を開くわけにもいかず、足が引っかかって攣りそうになった(笑)

同じラストとはいえ、アイアン・レンジとまったく同じ履き心地、というわけではない。
足に当たる箇所に違いがあるのは、靴のデザイン、構造に違いがあるからだろう。
アイアン・レンジは背骨のようにヒール側に補強が入っており、それに脚が支えられて、突っ張ったような感触になる。
ベックマンのほうが普通のブーツの履き心地である。

実際にワークブーツとして使ってみて、僕としてはアイアン・レンジのほうを気に入っている。
補強材がしっかりしているので、足首が固定され、ギプスをつけたような安定感があるのだ。
街中で履くのなら、逆にベックマンのほうがいいかもしれない。

ただし以前書いた通り、革質はどちらもいまひとつで、革製品としての満足度は低い。
やはりワークブーツとして使用した時に、本来の実力を発揮する靴である。
高級レザーではないので、惜しみなく使えるし、少々傷がついても精神的ショックは少ない。
そう考えると、ワークブーツとしては、むしろこの革質こそがベストなのかもしれない。

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