不信感


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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朝から会社で昨日の仕事の続きにかかった。
覚えているうちに、出張中の打ち合わせの内容を一覧にまとめたかったのだ。
新しい取引に繋がりそうな相手や、具体的に行動する必要のある案件には星印をつけた。

話すには話したが、何だか信用が置けそうに無い人物がひとりいた。
都心でお店を持っていると言うが、話を聞いていてもどこまで本当なのかわからない。
まだ一度も取引が無いのに、いきなりいくつもの製品を自分の会社向けにオリジナルで作って欲しいという。
しかも使い切ってしまったからと、自分の名刺は出そうとしない。

話しているうちに不信感を抱き、初めての取引なのに、最初からそんなに勝手な要求には従えないと暗に伝えた。
しかし一向に気にする様子はなく、来週にでもウチの会社に行きたいという。
名刺が無いので、これが私の番号だからと、僕のメモ帳に勝手に書き込んでしまう。

恐らく、ひとりでネットショップなど経営している、いい加減な人物だろうと思った。
はったりを利かせて、強引にメーカーを取り込もうというのだ。
危ないな・・と感じて、ネットでその人物の会社を調べてみた。

意外にも、かなり大きい輸入会社であることがわかった。
海外のデザイナーズブランドのインポーターで、都心に大きなショールームを持っている。
かなりお洒落なアイテムがズラーッと並んでいる。
これが本当なら、商売につながる可能性はある。

ちょっと驚いたが、そもそもその会社の社員という話自体が、本当なのかどうかわからない。
どうしようかと思ったが、都内のショールームは僕の散歩のエリアにある。
先手を打って、お客を装って見てこようか・・・(笑)



MOTOのウイングチップ・ハイカット・シューズ#2001。
アッパーはクロムエクセルのブラウン。
ダイナイトソール。
サイズは0(25.0cm~25.5cm)。

MOTOの製品は、数年前にお店に出向き、短靴を一度試着している。
その時は、幅方向がきつく感じて諦めた。
しかし同社の靴は、どうやら製品によって様々なラストが使われているらしいことがわかった。
他の機種も試してみる価値がある。
それにこちらも、あの頃とはフィッティングの好みが変わっている。

このウイングチップのブーツに関しては、実は最初はピンとこなかった。
同社のクロムエクセルの短靴を、もう一度試してみたくて、青山に行ったついでにお店に立ち寄ったのだ。
しかしお目当ての短靴を試着させてもらうと、現在の基準で考えても、やはり幅が狭く感じた。

横に置いてあった、このウイングチップのブーツも試させてもらった。
すると、例のシュッという空気の抜ける音とともに、きれいに足が収まった。
靴の形状が足とマッチした時に特有の音で、この音がした時はお店の人も「あっ」という顔になる。
ほぼピッタリといえるフィッティングである。

日本人の足を意識したラスト。
日本ならではの丁寧な作り。
欧米のブーツには無い魅力を持っている。
靴の価格が異様に高騰している現在、この作りでこの価格なら安いという評価も多いという。

同社独自の荒っぽいサイズ展開が面白い。
この#2001の場合は、0(25.0cm-25.5cm)、1(26.0cm-26.5cm)、2(27.0cm-27.5cm)、3(28.0cm-28.5cm)の4種類しか用意されていない。
僕の場合は一番小さい0になる。
僕の足は標準的な大きさだと思うのだが、それより小さい人は最初から対象になっていない。

最初は硬めの履き心地である。
そのまま使っていくと、クロムエクセルならではの特質が生きてくる。
数日で足の形に合わせてしなやかに変形していく。
ピッタリと吸い付いてきて、甲や足首をガードするような感触になる。
ブーツの素材として、捨てがたい魅力のある革である。

この革はもともと油分が多く、下手にミンクオイルなど加えると、粘土のようにグニャグニャとした芯の無い質感になってしまう。
そのため、靴メーカーから手入れ方法に注釈の入る場合が多い。
MOTOとしては、基本は乳化性クリームを僅かに与えるだけで、それも革が乾いてきてから、半年に一度入れてやる程度でいいという。
あとはブラッシングである。
革はブラッシングすることで艶と元気がよみがえる。

同社の製品は、最初からエージング後の姿にこだわって作られている。
履き古して皺の入った時のカッコよさを意識しているのだ。
そのため新品時のこの姿は、まだ未完成の状態と言える。
今後この靴がどう変化していくか楽しみである。

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