店頭にて


D800E + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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靴のお店を回るうちに、業界の何人かの人たちと知り合いになった。
時折お店に顔を出し、いろいろと話を聞き、情報交換をしている。
他業種ではあるが、参考になる意見が多く得られる。
多くは個人経営のお店のオーナーだが、中には大型のチェーン店や量販店の店員さんもいる。

基本的には、欲しい目的のものがあって、お店に出向いている。
そこでお店の人と、話が合って、つい話し込んでしまうのだ。
相手が同世代の場合はもちろん、若い人の場合も、同じ靴好きなので、面白い話を聞くことが出来る。

さすがに1時間も話して、そのまま何も買わずに帰るわけにもいかない(笑)
それなりの価格のものであるし、いくつも買うわけにもいかないので、買うと言っても限度はある。
しかしお礼の気持ちも込めて、なるべく目的のものを購入するようにしている。

ところで、いつも不思議に感じていることであるが、僕がお店にいる間、ものが売れるということが、ほとんどないのだ。
都内の一等地にこれだけの店舗を構えていて、これで成り立つのだろうかと心配になる。
かなりの時間滞在していて、自分が買った以外に、1足も売れないことも多い。

お客さんが来た時は、邪魔になると思い、話すのは止めて、お店の隅のほうで商品など見て過ごす。
自然とお客さんとのやり取りが聞こえてくる。
男性がひとりで来る場合は、購入することは少ないようだ。
散々試着しておいて、結局買わずに店を出て行く。
カップルで来る場合は、プレゼントをふたりで見に来ている場合があり、買っていくこともある。

なぜ買わないか。
理由は想像される通りで、多くの場合、ネットで買うことが前提で見に来ているからである。
靴は実際に試着する必要のある商品の代表格であり、実物を一度も試着せずに、ネットの画像だけで注文するのは危険である。
試着してみて、自分の足に合うサイズを覚えて帰り、家でパソコンから安いショップに注文するのだ。

ピッタリ合っていても、ウーン、少し緩いかな・・とか、ここが当たる・・とか、あらぬいちゃもんをつける。
「今日は買わない」理由を、下手な演技で相手に伝えようとしているのだ(笑)
そこまで厚顔ではない人は、ちょっと検討してみます・・と、気まずそうに言う。

お店を、単なるショールームとして利用しているのだ。
どこの靴店でも、そのセリフの意味は理解していて、店員さんが、ちぇっ、またネット系の客か・・という表情になる。
その瞬間、店内に白けた空気が流れる(笑)

そういうやり取りが、何度と無く行われるのを見た。
お店にとっては「悪質なネット客」ばかりが、次から次へとやってくる・・ということになる。
しかし、ネットのほうがかなり安いのは確かなので、この流れが元に戻ることは考えづらい。
他では手に入らない、よほど特殊なものでも扱わない限り、これからの時代、販売店が生きていくのは難しいだろう。
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