中途半端


SIGMA DP1 Merrill

大きな画像

このところ時計ラッシュだが、要は円安になる前に多めに仕入れたからだ。
ひとつひとつは大したものではない。
以前はベルトのコーディネートを楽しんだり、相性を検証する目的で選んだが、最近はもっと直感的に選ぶようになった。
無理に欲しくないものを買う必要も無いのだし・・・

一生ものという言葉が、よく腕時計に使われる。
しかしよく考えてみたら、自分の人生があと100年あるわけでもないのだし、そんなに性能にこだわる必要は無いような気がする。
若い頃に買って、一生それひとつで満足できる・・というのなら、まだわからないでもない。
でも50歳過ぎて、これは一生ものですよと言われてもねえ(笑)
だいいち僕の性格ではそれは無理だ。
いろいろ中途半端なものを、好き勝手に買うのが、一番楽しいように思う。



今日の時計ベルト。
アンクル・プリマのアンティークのトノー型スモール・セコンドに、ヒルシュのデュークのグリーンをつけた。

1年以上前にeBayで落札した時計だ。
1940年代の製品だが、どこかでデッドストックがみつかったという話で、「新品」という触れ込みであった。
出品者に本当かどうか確かめたが、間違いないという。
(詳しくは2011年12月2日の日記を参照)

フィックスド・ラグでベルトが縫いこんであるため、ベルト交換が出来なかった。
それ以前に70年も前の新品ということで、そんな貴重なもののベルトを取り除いてしまうのは躊躇われた。
オリジナルのベルトを外すとなると、糸をほぐしてばらすしかないのだ。

ところがしばらくeBayを見ていると、意外にこの頃のデッドストックが出てくる(笑)
それも東側の国から出品されることが多い。
それほど珍しいものではないようだ。

あちらがどういう環境なのかわからないが、町の古い時計店の棚の奥に、70年も前の未使用品がごろごろしているのかもしれない。
あるいは埃を被っている古いパーツを集めて、完成品を組み上げる事が、案外簡単に出来るのか・・・



というわけで、思い切ってアンクル・プリマのベルトを交換してみた。
オリジナルの茶色い革ベルトは、ナイフで糸をほぐすと簡単に外すことが出来た。
70年間守られてきたものが、僕の気が変わったがために、あっさりと破壊されてしまったわけである。
替わりのベルトを何にするか、いろいろ悩んだのだが、ヒルシュのデュークのグリーンに思い至った。

バネ棒を使う方式ではないので、一度つけると交換が効かない。
一番マッチするベルトを選び、一発勝負でいくしかない。
一方で、改造に使える構造のベルトとなると、ヒルシュかディ-モデルの一部の製品ということになる。
根元の折り曲げ部分にステッチが入らないため、そこを剥がして再度接着することで、フィックスド・ラグの時計に付けることができるのだ。

実はこの時計のベルトを交換するのは、出張先で急に思いついたことだ。
大阪にあるアンティーク・ショップに顔を出し、ヒルシュの在庫品を見ているうちにその気になった。
アンクル・プリマのデザインを頭に思い浮かべ、文字盤が黄色っぽかった・・という記憶に基づき、グリーンが合うのではないかと予想したのだ。
艶消しのグリーンという、比較的珍しい色の型押しカーフのベルトである。
他社からも出てはいるが、ヒルシュのものは仕上げに渋みがあって、アンティークにはしっくりくる。

付けてみたらドンピシャリ。
見事なマッチングである。
ああ、よかった(笑)
70年ぶりに時計が生き返ったようだ。
古くて小ぶりな時計の佇まいが良くて、いたく気に入ってしまった。

これに味を占めて、他にもこの頃のデッドストックが無いかと、eBayで検索してみた(笑)
しかしよく考えれば、次回もこう上手くいくとは限らない。
この時代の時計の精度は低く、実用性には乏しいので、たとえ成功しても自己満足に終わってしまうだろう。
やはりやめておいた方が無難かな・・・(笑)

コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )