昨夜(20日)、新木場のスタジオコーストでソニック・ユースとボアダムズを見た。親交厚い日米アングラ帝王のジョイントライブに、超満員の聴衆が詰め掛けていた。
真っさら状態で臨んだボアダムズに衝撃を受ける。打楽器3人の編成で、意識の底をハンマーで砕くようなインプロビゼーションだった。野生と人工が混然一体となり、轟音が礫になってフロアに飛んでくる。「自分を解き放ってるかい」と問いかける入魂のパフォーマンスに、ロートルの俺はただ立ち尽くすのみだった。
余韻が冷めぬうち、ソニックスがステージに現れる。“Teenage Riot”などの定番は演奏せず、新作“Rather Ripped”中心のラインアップに、「俺たちの今を聴いてくれ」というバンドの姿勢が窺えた。“Rather Ripped”収録曲は乾いた心身に染み入る柔らかなアルバムだが、ライブではギザギザのナイフになって聴衆を抉ってくる。
2年前の来日時、マルチプレーヤーとしてバンドを支えていたジム・オルークは離脱したが、サポートメンバーとしてペイヴメント(99年解散)のベーシスト、マークが加わっていた。ペイヴメントはソニックスやREMに影響を受けたローファイの旗手である。昨今のソニックスのアルバムは、音の感触がペイヴメントに似ていることもあり、サポートとして最高の人選だと思う。
サーストンは知的な「悪ガキ中年」のままで、キムはくねくね身をよじらせて踊るなど熟女フェロモンを撒き散らしていた。リーとスティ-ヴも負けじと張り切り、マークもバンドに馴染んでいた。調和より歪みを優先させるライブに、ソニックス健在を実感したライブだった。
ソニックスは80年代、アメリカの不毛のロック土壌を耕し、芽吹いた才能をサポートした。グランジやローファイも、ソニックスがいなければこの世に存在していない。ヘッドライナーを務めた欧州オルタナツアー(91年)に、ニルヴァーナとダイナソーJRを帯同した。ボアダムズや少年ナイフが海外で支持されているのも、ソニックスの功績である。
カート・コバーンを知る人は以下のように証言していた。<カートが自殺を思いとどまっていたら、ソニック・ユースのように自由に音楽を続けていただろう>……。カートはきっと、強い絆で結ばれているサーストンとキムの夫婦が羨ましかったに違いない。
サーストンは50歳近くになっても、<少年のときめき>を忘れない。ツアー先でレコード(CD)ショップを訪ねることが趣味で、おととい(19日)も新宿のディスクユニオンで目撃されている(ミクシィ情報)。
ソニックス、そして恐らくボアダムズも、好奇心とファンの目線を保ち続ける<永遠の前衛>だ。だからこそ、齢を重ねても自然体で尖がっている。ビートの雨に濡れそぼち、「枯れる」を目標にしている自分が恥ずかしくなった。
真っさら状態で臨んだボアダムズに衝撃を受ける。打楽器3人の編成で、意識の底をハンマーで砕くようなインプロビゼーションだった。野生と人工が混然一体となり、轟音が礫になってフロアに飛んでくる。「自分を解き放ってるかい」と問いかける入魂のパフォーマンスに、ロートルの俺はただ立ち尽くすのみだった。
余韻が冷めぬうち、ソニックスがステージに現れる。“Teenage Riot”などの定番は演奏せず、新作“Rather Ripped”中心のラインアップに、「俺たちの今を聴いてくれ」というバンドの姿勢が窺えた。“Rather Ripped”収録曲は乾いた心身に染み入る柔らかなアルバムだが、ライブではギザギザのナイフになって聴衆を抉ってくる。
2年前の来日時、マルチプレーヤーとしてバンドを支えていたジム・オルークは離脱したが、サポートメンバーとしてペイヴメント(99年解散)のベーシスト、マークが加わっていた。ペイヴメントはソニックスやREMに影響を受けたローファイの旗手である。昨今のソニックスのアルバムは、音の感触がペイヴメントに似ていることもあり、サポートとして最高の人選だと思う。
サーストンは知的な「悪ガキ中年」のままで、キムはくねくね身をよじらせて踊るなど熟女フェロモンを撒き散らしていた。リーとスティ-ヴも負けじと張り切り、マークもバンドに馴染んでいた。調和より歪みを優先させるライブに、ソニックス健在を実感したライブだった。
ソニックスは80年代、アメリカの不毛のロック土壌を耕し、芽吹いた才能をサポートした。グランジやローファイも、ソニックスがいなければこの世に存在していない。ヘッドライナーを務めた欧州オルタナツアー(91年)に、ニルヴァーナとダイナソーJRを帯同した。ボアダムズや少年ナイフが海外で支持されているのも、ソニックスの功績である。
カート・コバーンを知る人は以下のように証言していた。<カートが自殺を思いとどまっていたら、ソニック・ユースのように自由に音楽を続けていただろう>……。カートはきっと、強い絆で結ばれているサーストンとキムの夫婦が羨ましかったに違いない。
サーストンは50歳近くになっても、<少年のときめき>を忘れない。ツアー先でレコード(CD)ショップを訪ねることが趣味で、おととい(19日)も新宿のディスクユニオンで目撃されている(ミクシィ情報)。
ソニックス、そして恐らくボアダムズも、好奇心とファンの目線を保ち続ける<永遠の前衛>だ。だからこそ、齢を重ねても自然体で尖がっている。ビートの雨に濡れそぼち、「枯れる」を目標にしている自分が恥ずかしくなった。
サーストン目撃してみたいです。
枯れるにしても、その過程を大事にすればよいのではないか、と思いますよ。
女性の年齢を口にするのは野暮ですが、キムはもう53歳。でも、見るたびに妖しくおちゃめになっているのには驚きです。今やロック界のシャーマンって感じですね。
出して買っていったという話しは聞いたことあります。
帯なくてもその値段らしいですが、やっぱり金持ちは
違いますね~
今から西新宿に行ってみるかな。あの長身にだるそうな雰囲気。一目でサーストンってすぐにわかるから。ファンにも極めてフレンドリーみたいだし。