酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

「サイレント・ジョー」~炎暑の夜にミステリー

2008-07-28 00:09:11 | 読書
 キュアーとミューズを見るためフジロックに参戦してから1年がたつ。日帰りバスツアーに耐えた自分を、今更ながら褒めたくなる。

 ガン転移による忌野清志郎のキャンセル、ボランティアの転落死、音楽プロデューサーの逮捕(大麻所持)と、今年のフジは悪いことが続いた。それでも苗場は燃えただろうけど、東京もひたすら暑い。ぼんやりテレビを眺めていると、馬も高校球児も走っている。たいしたもんだと感心した。
 
 摂り過ぎた水分で、胃液だけでなく脳に回る血液まで薄くなる。食うは茶漬け、読むはミステリーだ。積読本から「サイレント・ジョー」(T・ジェファーソン・パーカー、早川書房)を選んだが、脂っぽさに胸がつかえた。

 本作の舞台は、ディズニーランドとエンゼルスタジアムで有名なカリフォルニア州オレンジ郡だ。共和党支持の富裕層が多い地域にヒスパニックが流入し、格差社会を形成している。

 主人公ジョー・トロナは刑務所に勤務しつつ、郡政委員の養父ウィルに協力する24歳の保安官補だ。ジョーは生後9カ月の時、実父に硫酸をかけられ、消えることのない傷を顔に負った。施設からウィル夫妻に引き取られ、文武両道の青年に成長する。“異形”であることはジョーを寡黙にするだけでなく、相手を威圧する手段にもなった。

 ジョーは誘拐事件の捜査中、人生の師でもあるウィルの命を奪われる。全米有数の資産家、公共の利益を無視する政治家と官僚、テレビ伝道師、人種ごとのギャング団らが蠢く街で、ジョーは復讐を誓いつつ事件の真相に迫っていく。
 
 本作はアメリカ民主主義の虚妄を背景に、愛すること、家族の絆、正義、闘う意味を問いかけるミステリーだ。パーカーの作品で本作同様、MWA賞(世界最高のミステリー賞)を受賞した「カリフォルニア・ガール」(ハヤカワ・ミステリ文庫)も併せて読むことにする。

 今日28日は冷蔵庫記念日という。冷蔵庫フル活用の日々が続き、だいぶ汚れてしまった。感謝の気持ちを込めて掃除しようかな。


コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

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1年経ったのですね (kazu-chan)
2008-07-28 18:33:40
昨年Fuji Rockに参加されたキュアー・ファンの皆さん、それぞれに1年前を懐かしく思い出されているようですね。

私は、「忘れていたキュアーを思い出してから1年」です
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夢のような時間 (酔生夢死浪人)
2008-07-28 22:48:11
 あの夜のミューズ⇒キュアーは、一生忘れられない夢のような数時間でした。

 あとはキュアーの単独公演を待つばかりです。
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1周年! (かれん)
2008-07-29 21:49:21
そういえば私がThe Cureの記事に魅かれてこちらにお邪魔したのが約1年前ですので、こちらの読者になってから1周年ということになります^^;

ランブラーさんは本当に色んな面に造詣が深くていらっしゃいますので、コメントできないことも多いのですが、これからも度々お邪魔いたしますのでどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
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暇だから (酔生夢死浪人)
2008-07-30 23:12:58
 20代からずっと暇でしたから、いろんなことに興味を持つ余裕があった。でも、肝心な部分は大きく欠落してます。生活の知恵とか社会常識は、人間としての最低ラインでしょうね。
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