今稿のテーマは日韓だ。まずは「あいちトリエンナーレ」について。中止された際、ニューヨーク・タイムズが<表現の自由を謳う展示が潰された>と報じるなど、海外の識者は圧力に疑義を呈している。大村知事はかつて盟友、河村市長の言動を、「常軌を逸している」と斬り捨てた。
同展には従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」が掲示されている。慰安婦問題をテーマにした「主戦場」(18年、ミキ・デザキ監督)をブログで絶賛して以来、訪問者が増えた。まさに〝主戦場バブル〟だが、コメントを見る限り、歴史修正主義派の訪問の方が多そうだ。
金田正一さんが亡くなった。享年86である。戦後の球界を牽引した巨星の死を悼みたい。張本勲氏とともに在日2世の憧れの存在で、勇気を得た同胞たちがプロの門を次々にくぐった。スポーツのみならず、芸能界や政財界でも、日韓両国は太いパイプを築いてきた。
韓国映画を多く紹介してきたが、ハリウッドを凌駕するエンターテインメント「ザ・ネゴシエーション」(18年、イ・ジョンソク監督)を封切り終了直前、新宿で見た。国際的犯罪組織リーダーのミン・テグ(ヒョンビン)とハ・チェウン警部補(ソン・イェジン)の息詰まる交渉を描いたサスペンスだ。
興趣を削がぬようストーリーは記さないが、映画館で今年見た作品では、上記の「主戦場」、「グリーンブック」、「金子文子と朴烈」などと並ぶベストワン候補だ。「ザ――」の主演2人と脇役陣にデジャヴを覚えた。静岡県立大の鬼頭宏学長(歴史人口学)は「爆笑問題のニッポンの教養」(09年)に出演した際、「奈良時代の人口の70~80%は朝鮮半島からの渡来者」と語っていた。〝同根の兄弟〟なら容姿が似るのも当然だ。
日韓関係が最悪の今、市民レベルで修復する可能性はあるのか……。そんな希望を抱いて先日、<GREEN WAVE~台湾&韓国緑の党スピーキングツアー>(YMCAアジア青少年センター)に参加した。台湾緑の党は先月にスケジュールを終えており、今回は韓国編である。
金基成氏(ヤング・グリーンズ前共同代表)が韓国緑の党の活動を報告した後、雨宮処凜氏が加わり、<女性と若者が政治を動かす>をテーマに対談する。20代半ばの金氏は滞日経験もあり、日本語も堪能だった。進行役は同じく20代で緑の党会員の山本ようすけ立川市議だ。
両氏のトークで日韓が近い状況にあることを知る。「共犯者たち」(17年)では李、朴の保守政権下の10年、メディアへの凄まじい弾圧が描かれていた。進学、就職、結婚の機会を得られないロストジェネレーションは日本同様、苦境に喘いでいる。セウォル号事件では、朴支持派が被害者家族に暴言を浴びせるなど、ヘイト事件も後を絶たない。
江南通り魔女性殺人事件を契機に広がったフェミニズム運動との連携で、韓国緑の党の認知度が上昇した。儒教精神が根強い韓国では、社会の隅々で女性差別が残っている。声を上げた韓国の女性たちの象徴というべきが、ソウル市長選で健闘した緑の党の女性候補シン・ジエ氏だ。
先月、世界中で開催された気候危機への抗議デモが行われたが、韓国緑の党主催の集会の模様を金氏が会場に流した。若者の数の多さに感嘆し、音楽やダンスで盛り上げていた。プロデューサーのひとりである金氏は、「楽しいから運動に携わっている」と言う。〝楽しい〟と〝政治〟を繋ぐ回路が日本で見つかるだろうか。
日韓友好を<企業の利益と経済成長>の文脈で掲げる声もあるが、金氏は否定的だ。資本主義や成長ではなく、脱成長、環境、文化をベースにした交流が正しい道筋だ。東アジアで日韓台3カ国の緑の党が連携することで、地殻変動の兆しが生まれるかもしれない。
キルト姿のスコットランド人が〝飛び入り〟で参加していた。W杯観戦が主目的かもしれないが、彼は来年、国政選挙に立候補するらしい。供託金はなきに等しいし、緑の党は欧州各国で大躍進している。名前を売った後の自治体選挙が真の狙いというが、夢の実現は確実だと思う。
同展には従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」が掲示されている。慰安婦問題をテーマにした「主戦場」(18年、ミキ・デザキ監督)をブログで絶賛して以来、訪問者が増えた。まさに〝主戦場バブル〟だが、コメントを見る限り、歴史修正主義派の訪問の方が多そうだ。
金田正一さんが亡くなった。享年86である。戦後の球界を牽引した巨星の死を悼みたい。張本勲氏とともに在日2世の憧れの存在で、勇気を得た同胞たちがプロの門を次々にくぐった。スポーツのみならず、芸能界や政財界でも、日韓両国は太いパイプを築いてきた。
韓国映画を多く紹介してきたが、ハリウッドを凌駕するエンターテインメント「ザ・ネゴシエーション」(18年、イ・ジョンソク監督)を封切り終了直前、新宿で見た。国際的犯罪組織リーダーのミン・テグ(ヒョンビン)とハ・チェウン警部補(ソン・イェジン)の息詰まる交渉を描いたサスペンスだ。
興趣を削がぬようストーリーは記さないが、映画館で今年見た作品では、上記の「主戦場」、「グリーンブック」、「金子文子と朴烈」などと並ぶベストワン候補だ。「ザ――」の主演2人と脇役陣にデジャヴを覚えた。静岡県立大の鬼頭宏学長(歴史人口学)は「爆笑問題のニッポンの教養」(09年)に出演した際、「奈良時代の人口の70~80%は朝鮮半島からの渡来者」と語っていた。〝同根の兄弟〟なら容姿が似るのも当然だ。
日韓関係が最悪の今、市民レベルで修復する可能性はあるのか……。そんな希望を抱いて先日、<GREEN WAVE~台湾&韓国緑の党スピーキングツアー>(YMCAアジア青少年センター)に参加した。台湾緑の党は先月にスケジュールを終えており、今回は韓国編である。
金基成氏(ヤング・グリーンズ前共同代表)が韓国緑の党の活動を報告した後、雨宮処凜氏が加わり、<女性と若者が政治を動かす>をテーマに対談する。20代半ばの金氏は滞日経験もあり、日本語も堪能だった。進行役は同じく20代で緑の党会員の山本ようすけ立川市議だ。
両氏のトークで日韓が近い状況にあることを知る。「共犯者たち」(17年)では李、朴の保守政権下の10年、メディアへの凄まじい弾圧が描かれていた。進学、就職、結婚の機会を得られないロストジェネレーションは日本同様、苦境に喘いでいる。セウォル号事件では、朴支持派が被害者家族に暴言を浴びせるなど、ヘイト事件も後を絶たない。
江南通り魔女性殺人事件を契機に広がったフェミニズム運動との連携で、韓国緑の党の認知度が上昇した。儒教精神が根強い韓国では、社会の隅々で女性差別が残っている。声を上げた韓国の女性たちの象徴というべきが、ソウル市長選で健闘した緑の党の女性候補シン・ジエ氏だ。
先月、世界中で開催された気候危機への抗議デモが行われたが、韓国緑の党主催の集会の模様を金氏が会場に流した。若者の数の多さに感嘆し、音楽やダンスで盛り上げていた。プロデューサーのひとりである金氏は、「楽しいから運動に携わっている」と言う。〝楽しい〟と〝政治〟を繋ぐ回路が日本で見つかるだろうか。
日韓友好を<企業の利益と経済成長>の文脈で掲げる声もあるが、金氏は否定的だ。資本主義や成長ではなく、脱成長、環境、文化をベースにした交流が正しい道筋だ。東アジアで日韓台3カ国の緑の党が連携することで、地殻変動の兆しが生まれるかもしれない。
キルト姿のスコットランド人が〝飛び入り〟で参加していた。W杯観戦が主目的かもしれないが、彼は来年、国政選挙に立候補するらしい。供託金はなきに等しいし、緑の党は欧州各国で大躍進している。名前を売った後の自治体選挙が真の狙いというが、夢の実現は確実だと思う。
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