大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年02月01日 | 植物

<1860> 余聞・余話 「葉について(1)」 (勉強ノートより)

          も少しだも少しも少しも少しだ 春はそこまでやって来てゐる

 「葉は陸上植物の植物体を構成する軸性の器官で、茎に側生する器官である」とされるが、葉を明確に定義することは難しいと言われる。葉緑体を有し、光合成を行なう葉を普通葉といい、一般に葉という場合は普通葉を指す。葉の多くは扁平な形をしているが、特殊化したものも見られる。例えば、マツなどに見られる針状葉、イワヒバなどに見られる鱗片葉、ネギなどに見られる管状葉などがある。葉は基本的に托葉、葉柄、葉身の3要素から構成されている。では、まず、托葉について。

 托葉は葉の基部付近の茎上、または葉柄上に生ずる葉身以外の葉的な器官を一括していう。托葉にはそのつき方によっていろんな名称がつけられている。なお、托葉の働きは葉の芽生えを保護する役目を果たし、自らも光合成に当たるものもある。葉によっては托葉や葉柄を欠くものも見られ、逆に托葉や葉柄だけで、葉身が退化して見られない葉もある。例えば、キジムシロやミツバツチグリの芽鱗は托葉だけからなる未発達の葉である。また、托葉には早落するものと宿存するものとが見られる。

           

  側生托葉(離生托葉)――――ー葉柄の基部に付着するが托葉身が離生しているもの(サクラ属、キイチゴ属、エンドウ属)

  葉間托葉(葉柄間托葉)―――ー対生する葉の相対する托葉がそれぞれ合着するもの(アカネ属、ヤエムグラ属)

  合生托葉――――――――――葉柄に沿って合着するもの(ミヤコイバラ、カジイチゴなどのバラ属)

  托葉鞘―――――――――――鞘状に癒合して茎を取り巻くもの。偽茎とは異なる(オオイヌタデ)

  托葉針―――――――――――托葉が変形して針状になったもの(ニセアカシア)

  巻きひげ――――――――――托葉が変形してひげ状になったもの(サルトリイバラ)

 なお、ヨモギの中葉の基部には托葉状の小葉片が見られ、これについては仮托葉(偽托葉)と呼ばれる。また、カラマツソウ、クズ、ヤブツルアズキなどに見られる小葉の基部の托葉状の葉片や突起は小托葉と呼ばれる。次は葉柄について。

 葉柄は茎と葉身を繋ぎ、葉身を支える役目と茎と葉身の間の水、栄養物質などの通路の役目を担っている。長さや形はさまざまで、断面が丸いものや変形したものなどさまざまで、葉柄のある葉は有柄葉、ないものは無柄葉という。有柄葉が圧倒的に多いが、無柄葉もナデシコ属、オトギリソウ属、リンドウ科、ヤマハハコ属などに見られる。中には葉柄の基部付近が膨大するものがあり、この構造を葉枕という。カタバミ属、マメ科、ヤマイモ科などに見られ、葉の就眠運動に関わるのではないかとされる。葉身については次回に触れたいと思う。 写真はさまざまな托葉の図とエンドウの離生托葉とバラの合生托葉。

 


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