<2951> 大和の花 (997) アヤメ (菖蒲・溪蓀) アヤメ科 アヤメ属
カキツバタ、ノハナショウブ、キショウブなどと異なり、やや乾いたところに生える陸生の多年草で、葉は30センチから60センチの剣状となり、適地では群生するが、そうした自生地は少なくなっていると言われる。花期は5月から7月ごろで、葉とほぼ同長の花茎を直立し、その先に紫色の花を2、3個つける。花は6花被片からなり、外花被片の3個が横に開いて先が垂れ、基部に黄色の斑紋があって網目模様が入る。内花被片3個は直立し、全体に細身の感がある。
アヤメの名は、葉のつき方が文目模様であるからとか花の網目模様による綾目から来ているなど諸説がある。『万葉集』に登場するアヤメは本種ではなく、サトイモ科のショウブ(菖蒲)とされ、万葉の方のアヤメは文目模様の葉から来ている名と言われる。なお、菖蒲も溪蓀も漢名であるが、誤用との指摘がある。
北海道、本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島、中国北部、シベリアに見られるという。大和(奈良県)では棚田の土手や道端の草叢などでときに見かけるが、植栽起源であろう。野生化した感が強い。 写真はアヤメ。左は植栽(桜井市小夫)。右は野生状態のもの(天川村)。 春はそこ 春はもうそこ 築地道
<2952> 大和の花 (998) シャガ (射干・著莪) アヤメ科 アヤメ属
山野の木陰になったやや湿り気のあるところに生える常緑多年草で、古い時代に中国から渡来したと考えられている。日本のものは3倍体で知られ、結実しないので、根茎を伸ばして殖え、群生することが多い。葉は長さが30センチから60センチほどの広線形で、光沢がある。
花期は4月から5月ごろで、30センチから70センチほどの花茎を伸ばし、上部で分枝。白色が勝った淡紫色の花をつけ、山間地を訪れると辺り一面を花で被うのを見かけることがある。花は6花被片からなり、直径4、5センチで、3個の外花被片は上向きに平開し、縁が細かく切れ込み、中央部には橙黄色の斑点と鶏冠状の突起があり、その周囲には淡紫色の斑点が見られる。3個の内花被片はやや細く、先が2裂する。
花は朝開いて夕方萎む。よく見るとなかなか美しい花で、公園をはじめ、民家の庭などにも植えられる。シャガの名はヒオウギの漢名射干(しゃかん)から来ている名で、漢名には胡蝶花の名も見られる。学名はIris japonicaで、日本を示しているが、これは江戸時代末期に来日して日本の植物研究に携わったスエーデンの植物学者カール・ツンベルグによって名づけられたことによる。
中国原産と見られ、今日では本州、四国、九州に分布するが、深山に見られないのは、ヒガンバナと同様の意を持つものと思われる。写真は群生して花を咲かせるシャガと花のアップ(東吉野村)。 春 春 春 春が来る 来る 春が来る
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