大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年08月16日 | 写詩・写歌・写俳

<1077> 大和寸景 「赤く変色した池」

       少年のまぼろしの声 池の端  晩夏の空は応へてゐたり

 溜池の多い大和平野では池の水面が赤茶色に塗りつぶされたように見える池がときおり見られる。こういう池は大方が水深の浅い池で、この度も見かけた。斑鳩の里の天満池の傍にある池で、冬場には水が枯れてしまう浅い池である。よく見ると、浮草様のものがびっしりと生えている。

                                                 

 アカウキクサで検索してみると、水生のシダ植物で、葉が二重に重なり、細かい毛が密集して水を弾き、葉の内部が空洞になっているため、水面に浮くようになっている。また、葉の空洞には藍藻類のアナベナの一種が共生し、花に代わる胞子嚢を持つという。大和における在来のアカウキクサは絶滅種としてあげられているので、池にびっしりと繁茂しているのは外来のアカウキクサの一種であろうと思われる。

 葉は普通緑色であるが、秋近くになると、赤色を帯びて来るという。びっしりと池面を被う姿は、遠目に見ると、赤土でつくったグラウンドのように見える。写真は池面を被うアカウキクサの一種。(後方の池は天満池、遠く連なる山並は竜王山方面の青垣の山々)。