<1068> 大仏さんのお身拭い
みんなして 大仏さんの お身拭い
立秋の七日、奈良は晴天で、空には夏を象徴する雷雲と秋の雲である絹雲が同居する朝だったが、東大寺大仏殿では年に一度の大掃除が行なわれ、本尊の盧舎那仏坐像(大仏さん)のお身拭いがあった。午前七時から大仏さんの魂を抜く法要があり、七時半から斎戒沐浴した白装束にぞうりを履いたお寺の関係者やボランティアの人たち約百六十人が一斉に掃除に取りかかった。
坐高十五メートルに及ぶ大仏さんのお身拭いは約三十人がかりで、高いところは天井の滑車から吊るされたゴンドラに乗り、一番高い頭部の螺髪部は専門の鳶職人が行なうなどし、はたきによって約二時間かけ一年のほこりを払った。
一般の参拝、見学は午前七時半に開門され、開門時には約五百人が並んだ。お身拭いが始まると、大仏殿内は見物する人たちでいっぱいになり、写真に収める人でごったがえした。ほこりは舗装されていなかった昔ほどではないということであるが、それでも目に見えるほどで、お身拭いの後は大仏さんもさっぱりしたという面持ちに感じられた。
また、大仏殿では大掃除の後、消火点検の一斉放水が行なわれた。仏さまのお身拭いは正月前に行なわれるのが通例であるが、東大寺の大仏さんは寒い時期を避け、八月七日に行なわれ、これが恒例になっている。写真は上段左から大仏さんのお身拭い、お身拭いを撮る見物の人たち、大仏殿内に舞うほこり。下段左から一斉放水、中門上の掃除、開門前に並ぶ人たち。