つきみそう

平成元年に出版した処女歌集の名

武士の家計簿

2021-11-24 | 映画・TV・演劇

 コロナ禍の巣ごもりの生活の中で、NHKBS映画は楽しみの一つです。昨日の「武士の家計簿」は、10年ほど前の邦画で、それほど古いものではありません。歴史家磯田道史さんの著書を映画化したもの。東大赤門を作った加賀前田家のお話。実際にあの門を作ったのは、この映画の主人公の猪木家の9代目当主。何度も赤門には行きましたので、興味がそそられました。

 その9代目と10代目と11代目がモデル。金沢の前田家の家臣の猪木家は代々藩の経理を担当していました。50畳くらいの和室に、50人くらいの人がそれぞれの机に正座し、そろばんに向かいます。帳簿を見ながら一日中計算する生活です。猪木さんは、不正をただしながら次の代に伝えてゆきます。自身の家の家計簿も膨大な赤字となり、姫から拝領した茶器まで売却。質素な暮らしになります。

 磯田さんは神田古書街で猪木家の古文書を見つけ、物語とし、著書にまとめました。それにしても江戸時代の加賀藩はすごいと思いました。恐らく全国でも同じようにあのような厳しい経理の事情があったと思われます。3代に続く家族の状況が記録されていることが素晴らしい猪木家です。子孫は明治の戦争時も日本の経理を担当していました。その子は海軍とか。そこまでは映画では描かれていません。廃藩置県になっても生きてゆくすべがあったのです。

 気になるのは、現在の猪木家。こういうものは代々伝えられてゆくべきものであるのに、神田の古書街に売却されていたことが残念といいましょうか。でもそれゆえ磯田さんの目に留まり、映画化されたことはよいことかもしれないです。

 

コメント (4)
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