足腰の衰えを少しでも遅らせようと歩く。定まったコースはなく気の向くままに歩いている。交通の要の広い道、岩国藩時代名残の迷路のような狭い道、戦災にあわなかった西岩国の町並みは新旧の町姿が混在していて繰り返し歩いても飽きない。それでも、藩時代の古い町名の面影は年々少なくなっていく。
あてもなく歩いていても思わぬことが目に入ることがある。そんな一つに岩国検定に所属してからは古い町名などにも興味を持つ。城下町中心にある7つの町名はよく知られ、観光案内にも載っている。その裏通りに回ると、案内にない町名もある。琵琶町、登富横町、蛤町、最近、偶然見つけたのは「歴史町名 新地」。汚れた看板に薄くなった墨の跡がわずかに読める。新地は遊里、いろまちを表す。看板のある通りは昔いろまちだったと聞いていた。それを思わせる古いたたずまいが1、2残っている。
収穫されない柿やビワにイチジク、耕作放棄された畑作物の立ち枯れに背丈ほどの雑草など高齢化がジワリ忍び寄っている光景に現実を感じる。声をかけられ名前を思い出すのに時間のかかる人、新聞に掲載された短文の感想を聞かせてくれる人など思わぬ人に出会う。雑草の中に咲いている花には思わず小さなカメラを向ける。
この時期の楽しみの一つに川面に遊ぶ越冬の野鳥。静かに近づいたつもりでもカメラを構える前に逃げられることはしばしば。のんびり水面に浮いているようだが油断はしていない。本流から川洲によって分岐した小川ほどの流れに一団の野鳥、近づいても飛び立たない、見るとそれは川鵜だった。200羽近い集団が上流へ向いて行く。これほどの集団は初めて。川面を乱すことなく進む黒の集団、川魚が獲れない一因はこの集団にあり少々不気味、長い隊列を眺めながら思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます