前日の雨に洗われた柿の葉の柔らかな緑色はいかにも若葉を感じさせる。その葉の間からそっとのぞいた柿の花、白い清楚な感じからは、秋の実りの姿とはちょっと違う。
甘柿に渋柿、子どものころは一目見て判断できた。「おばさん柿もらうで~」と言いながら庭先のそれをもらって食べていた。今では想像できないだろうが。
渋柿の皮をむいて甘くする、その方法で呼び方が変わる。何れも渋柿の皮をむくまでは同じ。吊し柿は吊るしてほしたもの、串柿は串にさして干したもの。干して甘くなった柿を干柿という。しかし、人が取り除くその渋には隠れた力がある。
木造専門に家作りする若い大工の知人がいる。彼の建てた家を見学したとき、濡れ縁が単なる防腐剤を塗ったとは違う感じを質問したら「柿渋」を使ったと言う。柿渋は家のいたるところに使われていた。
彼はこんな説明をしてくれた。「柿渋」は古くから補強・防水用の塗料として広く利用されている。紫外線や温度の働きにより酸化することで茶色に発色する。建築以外にも漁網は有名と話す。「子どものころ使われた番傘には柿渋が塗られていましたよ」と身近な用途を教えてくれた。
柿渋の話を思い出しながら小さくて清楚な花を見ていると、畏敬の念をも感じさせる大きい花に見えてきた。
(写真:大きな力を実のらせる柿の花)
旗がいい色合いに染まるといいですね。ブログで見せてください。