会員になっている陶芸同好会のメンバーは30名ほど。大方は年金暮らしで夫婦揃っての入会者も多い。近々、東南アジアへ出向かれる人がおられる。その方は現地へ持参する作品黙々と作られている。一番印象に残っている作品は香炉、丸味のあるその形は異国を感じさせ、かの地での夢が形になっているようだ。
教室は毎月2回開かれる。毎回の参加者は7から8割、送迎バスはS字やヘヤピンカーブの続く坂道を海抜500メートルまで駆けあがる。上るにつれ季節の変わり目には標高を感じる。春先には、ソメイヨシノや八重桜にツツジの開花は平地より遅く2度目の花見が楽しめる。新緑もおくれ、今は柔らかな新葉が初夏の日を浴びて眩しい。
指導員は会員の子どもや孫くらいの若い人ばかり。世にいう「今ころの若い者は」という対象は皆無、高齢の会員に対する言葉、態度なども申し分ない。質問には丁寧に、実際に手をかけて教えてくれることもある。指導員の作陶技術について「どんどん上手くなっている」というのは、会員の中でもその腕前に太鼓判の押されている人の感想。きっと研鑽をしている、それが表れているのだろう。指導員を皆は「先生」と呼ぶ。
細い丸棒状の粘土で「にょろにょろ」とした形が教卓にある。それは古代の文字にも見えるし、何かの記号にも思える。この日のテーマは「カップの取っ手のつくり方と取り付け方」、教卓上のにょろにょろは先生手作りの取っ手の形見本、話を聞いて納得。それぞれの形に見合った取っ手の取り付け方法、今日も若い先生から我流の方法を払拭してもらった。