みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

よこしまな者

2024年08月24日 | サムエル記第二

サムエル記第二 20章

 久しぶりに行った電器店で、現金で精算しようとして小銭を求められましたので、財布のコインをすべて広げて、必要分を取ってもらいました。レジの方もニコニコ対応してくださいます。老人ゆえでしょうね。

 本章には、ダビデ王をめぐってのさまざまな思惑が入り交じっている様子が描かれています。ダビデが出たユダ部族と他の部族(ここではイスラエルの人々と呼ばれます)との綱引き、そのような中で、シェバがダビデを罵り、人々の関心を引こうとします。

 1節ではシェバのことを「よこしまな者」と描いています。前半の第一サムエル2章12節では、祭司エリの子どもたちをよこしまだ書いています。そしてそこには「主を知らなかった」と加えられています。さらに「力づくで取る」ということばも見られます。

 シェバはサウル家を慕う者の一人です。彼はサウル家から王位を奪い取ったダビデを、ただただ恨むのです。祭司エリの子どもたちのように力づくで自分のものとするということはしないのですが、彼のよこしまさとは、神を認めることなく、人と人との力関係ですべてが起こると考えていたということではないでしょうか。

 シェバの主張は独りよがりのものでしたが、ダビデのエルサレム期間を巡って不満を募らせていたユダ以外のイスラエルの共感を得たのです。イスラエルは大きな分裂の危機を抱えていました。

 それに加えて、ダビデのために尽力したヨアブの存在はダビデにとって不気味なものがありました。アブサロム側の軍責任者アマサを赦すばかりか、ヨアブに代えて軍の長として迎えたのは、ヨアブへの警戒感があったからです。しかし、そのアマサはヨアブによって消されます。

 ヨアブはこれまでに、サウル側のアブネルを殺し、謀反の張本人アブサロムを殺し、そして今アマサを殺します。さらには、シェバが殺されるという出来事にもヨアブが絡(から)みます。ヨアブはダビデに反乱するのを画策しているどころかむしろ正反対なのですが、冷酷なヨアブをダビデは恐れ、自分では制御できなくなっていました。

 人と人とがさまざまな思惑を抱いてうごめくことだけに目を奪われていると、神の御手のわざが見えにくくなってしまうのです。自分がよこしまな者でないようにと自戒します。


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