みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

欺きを重ねる

2024年07月20日 | サムエル記第一

サムエル記第一 27章

 月一度の昼食つき聖書の会、この頃はトラム(路面電車)数駅間を歩いて会場に向かうことにしています。歩道も整備されているのですが、街路樹の根元のあたりは敷き石がこんもりと盛り上がっているので、よそ見して歩いているとつまずきそうです。

 前章の終わりのことば、「ダビデは自分の道を行き、サウルは自分のところへ帰って行った」は、「私が間違っていた」というサウルのことばは真実なものではなかったことを証ししているようです。

 ダビデは、このまま自分がユダの荒野をサウルから逃げ通せるとは思わず、いつかサウルの手にかかって殺されると考えました。そのことは、神から王にするとの約束をいただき信じていたダビデにとってはジレンマだったのです。

 そこで自分に残されているのは、ペリシテの地に逃れること。あえて敵地に入ることでいのちが守られることだと考えたのです。しかし、これには大きな危険を伴います。

 7節に、ダビデがペリシテ人の地に住んでいた日数が1年4か月だったとあります。この期間は、彼にとっては常に自分との戦いではなかったのではないかと想像します。何よりも、彼はガテの王アキシュに欺き続けていなければなりません。アキシュのために働くというのは、具体的に自分の民族であるユダと戦いを交えるということでした。しかし、それは神が選ばれた民と戦うことを意味していました。そこでダビデがとったのは、ここでも偽りでした。

 主を恐れ、主のみこころに従おうとしているダビデが、自分のやり方をこれでいいとしていることはないはずです。でも、生き延びるためにできることはこれしかないと彼は考え、動きました。

 ダビデを、自分を偽り人を欺く悪い人間だと決めつけるのは、簡単かもしれません。しかし、事はそれほど単純ではありません。そのような中でさえ、恵みとあわれみに富む主に祈りすがる道が残されているのです。この真実が彼をどんなに支えたことでしょう。


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