みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

ここで死んではならない

2024年07月13日 | サムエル記第一

サムエル記第一 21章

 金曜日にドイツ南部ボーデン湖まで来ました。今日はいつも通過しているけれども歩いたことのない、コンスタンツを訪ねたいと思っています。

 ダビデのサウル王からの逃避行が始まりました。彼がまず訪れたのはノブ。ここには当時幕屋が置かれており、祭司が主に仕えていました。1節のことばに目が留まります。祭司アヒメレクは震えながら、ダビデを迎えたとあります。彼はなぜダビデの来訪に震えていたのでしょうか。ダビデを恐れていたのでしょうか。

 先読みになりますが、22章14−15節で、アヒメレクはサウル王にダビデのことを語っています。そこで彼は、ダビデがサウルにとって大切な存在だということを訴えています。アヒメレクがダビデの来訪に震えていたのは、このことでサウルからひどい仕打ちを受けるのではないかと、恐れていたからではないでしょうか。

 次章を読むと、アヒメレクが震えていたとおりのことが自分をはじめ他の祭司たちに危害が及ぶことを懸念しての恐れ、震えではなかったかと考えるのです。しかし、アヒメレクはいわゆる杓子定規のようにダビデに接したり、門前払いをしたりしないで、結果的にはダビデの必要に答えるのです。つまり彼は逃亡するダビデを助けました。

 ダビデは祭司アヒメレクに対しても、ガテの王アキシュたちの前でもいくつかの偽りを語っています。それほどダビデは切羽詰まっていたのです。彼はアヒメレクがサウルに自分のことを密告するのではないかという恐れを持っていましたし、敵の懐に飛び込んで恐怖心を与えた挙げ句殺されかねませんでした。

 しかし、ダビデはここで死んではならないと考えていました。この時だけそう考えていたということではなく、彼はこのあとも常に「今死んではならない」という思いを持ち続けました。それは、彼のプライドや将来計画ではありません。主はサムエルによってダビデに王となるべく油を注いでおられました。ですから彼は、ここで死んではならないと考え続けました。ダビデのことばや行動はそのようなことから出ていたのです。


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