m's diary

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東窯工業(旧杉江製陶所)見学会

2022-04-18 | 建築巡り・街歩き【その他】

月兎社主催の常滑の東窯工業(旧杉江製陶所)見学会にお手伝いとして参戦してきた。
加藤郁美さんのご尽力と、東窯工業さんのご厚意で実現した見学会、タイルと共に過ごせた夢のような2日間だった。

私が最初に東窯工業さんへ奇跡的に導かれたのは2016年の12月のことだった。その時の衝撃体験!?を綴った記録はこちら→

この時に親切にタイルを見せてくださり、お話を聞かせてくださった社長さんが、2年前にお亡くなりになり、当時操業されていた砥石工場をたたまれるということに。


今回、社長さんの奥様や現社長の娘さんとお話をさせて頂き、
当時社長さんが、こちらの事務所のタイルに導かれた?お客さんを喜んで応対してくださっていたというお話を聞いて、うれしく思った。


オーナーの杉江さんご一族には、見学会の前々日から、床などをきれいにお掃除していただき、迎えて頂いて、本当に有難い限り。
当日は椅子やテーブルを移動させると、床のタイルがどどーんと広範囲に表れて、写真も撮りたい放題、タイル好きにはたまらない至福のひとときを味わえた。


カラフルな菱形のグラデーションが美しいデザイン。


はっきりした色合いの組み合わせがモダンなもの。


大中小の杉の木の組み合わせをモザイクで描いたデザインは、杉江製陶所時代のマークで、


タイルの刻印としても使われていたよう。


大柄な花を描いたものもあれば、


卍をつなげたような迷路風モノトーンのデザイン、


こちらはよく見かける縦長のモザイクを二つずつ組み合わせた市松模様のもの。



このカラフルな色合いのものも何度か見かけたことあるなあ。






六角形の角に花のようにデザインされたものもかわいい。


 

倉庫の中にも中央にワンポイント的に入るデザインのものが潜んでた。


京都の石田愛商店などで見たことのあるデザイン。
このパターンのみ倍の大きさで貼られていたのは、人気のデザインだったのかな?


残されていた杉江製陶所の床のモザイクタイルのパターンのカタログ。
こちらには実際に貼られていた見本のタイルが多数載っていた。
(見学会の加藤さん制作のブックレットにはこちらのカタログ全ページが掲載)


そして、金庫が置かれていて今まで隠れていた場所から、床にはこのようなタイル、壁にもまたまた素晴らしいデザインのものが出現した。(本間さんのチームが強烈!に重たい金庫をどかしてくださいました)


一パターンのタイルを複数組み合わせてデザインされたタイルは
今まで見たことのないようなもので、モダンでとても素敵。
色味も渋くていいなあ。
石膏か何かで型を起こしたものだろうか。
ラインがくっきり深く彫られていて、釉薬が塗り分けされている。
地模様に布目もついている。
同じデザインのタイルを作ってみたいな、と思った。


同じく金庫に隠されていたところには、豊かな色味や窯変を持つ施釉タイルがびっしりと。
美しい~~


同じく腰壁には、床の無釉タイルに対して、釉薬の美しさが際立つ施釉タイルがさまざまに貼られている。




網代の役物タイルも。





事務所のひとつ奥の部屋は、主にクリンカータイルの見本部屋になっていたようだ。
ポピュラーなパターンのものから、


斜めにラインが入ったシンプルなもの


クリンカータイルに模様をつけるローラーも出現。
型でなくローラーで模様をつけてたんだなあ。
ものすごく重いものだった。


そして腰壁にはスクラッチタイルまで。


スクラッチタイルのバリエーションやぶつぶつした型押しタイルも。


更に奥にも部屋が存在した。
こちらの部屋は、初めて立ち入らせて頂いた。
調合室として使用されていた部屋のようだ。
天秤や鉱物?などがテーブルの上に置かれ、まるで調合途中で時が止まったままのよう。


ガラスケースの中には、ラベルが貼られた瓶が並び、


棚にも名称や記号のようなものが書き込まれた缶類が並んでいた。



そして、杉江家の皆さまの献身的なお掃除により、新たに出現した床のタイル。


入口近くに貼られた網代状のレリーフタイルや、


一枚一枚の窯変が美しいタイル。
撮影前に更に水拭きすると、タイルの艶やかさが増し増しに!
美しすぎる~~


この飴釉の窯変も最高!


少し濃いめの茶色のものも、端々が青白く窯変していて、
どれもこれも目が離せない。





辰砂釉も深い赤が神秘的。


タイルというのはやはり100年近い時を経ても色あせない美しさを維持するものなんだなあと・・
事務所内のさまざまなタイルを見るうちに、
あらためて、杉江製陶所時代にはデザイン性や品質共に高度な技術で、目にも美しいタイルが作られていたのだなということがうかがえた。


敷地内の工場へも、娘さんに案内して頂いた。
入口に近いこちらの建物は近年まで砥石の製造で使用されていた。
建物前には焼成に用いる窯道具のサヤが積まれている。





工場内には大きな窯が。
高温で焼き、じっくり時間をかけて冷ますという方法でつくられていた砥石
はトンネル窯でつくられるものより焼きムラが生じにくく硬く高品質なものが生まれるという。





べんがらで赤く染まった建物があるのは、砥石の色付けにべんがらが用いられていたから。


べんがらを扱っていた工場内へ足を踏み入れると赤く染まった工場内が幻想的だった。


外から差し込む光が赤い構内を照らし出す。










赤大工というのがべんがらで、砥石の原料にはボンドも用いられる。


こちらの建物には試作に使用されていた小さな窯がある。


神棚が据え付けられた建物も。


蔦に覆われた煙突。


ほぼ骨組みだけが残されているような建物も。



構内には窯は6基あったそうだが、その中でも最も大きな煉瓦積みの窯。



煉瓦積みの窯があった建物は一度火災にあったそうだが、なんとか消し止められ、焼け落ちることなく、その後も使用されていたという。
建物には、木材に煤けたような跡が残っていて、すごい迫力だった。





配電室。




材料の粘土を寝かしていたというプール。


攪拌するボールミルという機械。
石をいれて原料の粘土を細かく砕く。



土を細かく砕くためにいれるアルミナと呼ばれる石。(白い方)
硬度が高いものだそう。


大小二つの煉瓦の窯が並ぶ夫婦窯は、一つの窯で焼成している間に、
その熱で、もう一つの窯で素地の乾燥を行うという合理的なもの。


夫婦窯とは少し離れたところにある煉瓦造りの立派な八角形の煙突。これほどの規模の八角形の煙突は、珍しいのだそう。
煙は窯からは地下を通って煙突までやってくる。





建物に入る窓にはさまざまな型板ガラスも使われていた。


菊や銀河なども。





事務所のタイルも工場も見どころいっぱいで、あらためてこのような機会を設けて頂けた杉江家の皆様に感謝した。

見学者の方々からもご満足されたと、たくさんのよいお言葉を頂けて、杉江家の皆様も最後にこういった機会が持てて、
生前、お客さんを歓迎されていたお父様も喜んでいるのはと、話していただけたのが印象的で、こちらもとても幸せな気持ちになれた。
本当に良い体験をありがとうございました。




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