先日は西脇小学校の一般公開があると知り、旦那が車を出してくれそうだったので、久しぶりに西脇へやって来た。

小学校は1時からの予約だったので、それまでに旧来住家住宅見学や町歩きなどを。

大正7年に銀行家来住梅吉の自邸として建築された来住家住宅。
お庭に面した南側の二間続きの間は、来客の為に美しく造り込まれた空間。

欄間障子も美しく、

床の間の天井は、矢筈貼りに細工され、目の錯覚で中央部分が山なりになっているように感じる。

総欅造りの仏壇は、放射状にデザインされた天井の造りも凝っていて、
来客の際に扉を閉めると、両脇には達磨の透かし彫りが入った戸が出てくる。

やわらかな表情の達磨。

仏壇上部には果物や野菜などの供物がリアルに透かし彫りされた欄間も。

書院欄間は、紅葉と竜田川の流れを細い桟が縦に入ったおさ欄間で表しているという。

客湯殿。
折り上げ格天井にタイル貼り、洗面シンクのついた豪華な造り。

壁面には、マジョリカタイルが並び、床面には、レリーフタイルと洗い出し仕上げのようなタイルが市松状に並べられ、そのチェック模様がとてもモダン。


ミントグリーンのタイルが鮮やかで、マジョリカタイルの色味や床のグリーン系のタイルとのコーデも美しい。

マジョリカタイル

洗面台にもボーダーのマジョリカタイル。

深いグリーンのタイルの発色も最高〜

湯殿の隣には脱衣所的な化粧部屋があり、
小部屋ながら、様々な材木を使用した床の間などのある密度の濃い空間だった。


廊下へ目をやると、竹をイメージして彫られた鏡の額縁が。

繊細な細工が施されている。

煎茶道にも用いられていたという離れの二間からなる座敷。

黒柿を使用したという間越欄間は、蝙蝠の彫刻がリアル。


蝙蝠の目は黒サンゴが使われているそう。
よく見たらかわいい顔。

裏面は、月とホトトギスの彫刻。

床の間や床脇にも、縞黒檀や鉄刀木、屋久杉、など数々の銘木が使用され、設えられている。

付書院の欄間障子には、繊細な松葉模様のデザイン。


廊下には、ギザギザの継ぎ目があり、当時の大工さんの遊び心が伺える。

障子の引手も凝ったものがいろいろ。
梅花のような形の引手。中にも三日月と梅が彫られてた。


真ん中が透かし模様が二重になって入っているタイプ。

周りに小さな瓢箪の透かしが入っているもの。

周囲が竹を模した形に。

母屋と離れの間には、おりつくばいと言われる、地面を掘り下げたところに
設置された船形の手水鉢があり、周囲は、様々な石に囲まれていた。

離れの周囲にも敷かれてたこの赤い石は、京都の紅加茂石といわれるものだそう。

台所にあったおくどさんもタイル貼りだった。

背面には雷文のボーダー状のマジョリカタイルも貼られてた。
前回気づいてなかった・・


煉瓦造りの塔は、高架水槽。

七福神の鬼瓦が乗ったこちらの薬医門は、

特に戸板が、希少な欅玉杢の一枚板が使用されている。

この動物?を従えた布袋さん、かわいかった。

敷地内にあるこちらの洋館は、子供たちの部屋としてのちに建てられたものだそう。
現在は、西脇情報未来館21として活用されている。
こちらの付属施設の梅吉亭では、レストランになっているので
こちらでランチした。

日替わりランチ、野菜たっぷりでヘルシーだった。

手作りのパウンドケーキも+。

そして町歩きへ。
消えかかった看板が残っている西脇家政学校だったらしき建物。

美容室の壁に、イナックスのあのセラミックタペストリーというタイルが使われていた。

白い柱に、この綴れ織りのような複雑な色味のタイルが映える。


同じく内藤克雄設計の西脇区消防会館。
昭和5年に警鐘台が、昭和11年に消防庫が建築される。

現役の銭湯、西脇温泉。

和菓子屋、住吉屋へ。
ここには、西脇出身の横尾忠則が高校時代にデザインしたという包装紙が
使われているとのことで和菓子を買おうとやってきた。

お店に入ると、それらしき包装紙が吊るされてた。
グリーンがとても鮮やかで、丸の中の茶色との対比がきれい。

桜餅とかしわ餅を購入して、この包装紙で包んでもらった。
おばあさんがおひとりで、こちらのお饅頭やおもち類を作られてるそう。
こんなに多種類をすごいなあ。

桜餅の香りがたまらない・・美味しかった。

ガラスブロックがはまった壁のお店は、喫茶マンボ。

向いの幸楽は、ステーキ屋さん。
以前こちらで食事して、美味しかった。

Barberヒルタ。
バラの花柄のガラスブロックがかわいい。

横尾忠則の作品に登場するというY字路が、町の中にいくつかあって、
このY字路もそうだった。

播州織が盛んな西脇には、いくつか織物工場跡が残されている。
のこぎり屋根の織物工場跡。


工員の宿舎も残っている。

呉服店の壁面にタイル。



旭マーケットといわれる木造アーケード。
スナックなどの看板もいくつか残されていた。
今でも住宅として使われている建物もあるようだ。

時が止まったような空間

そろそろ1時の西脇小学校のツアーへ向けて、小学校を目指す。

途中、横尾忠則のY字路の原点、と言われるスポットを通る。

そして西脇小学校に到着。
以前に外観だけは、見たことがあったが、内部は今回初めて。

昭和9年から12年にかけて、地元の建築家、内藤克雄設計により建てられた三棟の木造校舎。
現役でありながら重要文化財という全国では、三校しか例がないという貴重な校舎。

できる限り元の姿を残しつつ、耐震補強やバリアフリー化など、
機能の強化をはかりながら保存、改修されたと伺う。

こちらの教室は、天井も当時のまま残されている。
窓にかかるカーテンは、地元の播州織のものが使用されている。
棟ごとに色を変えてるそう。

当時のままの天井。

三棟をつなぐ渡り廊下。

家庭科室のみ、唯一段差のある当時のまま残されている。
畳敷きで造り付けの家具も。


壁に直接掲示物が貼れない為、
壁には、掲示用の木枠が取り付けられていたり、

階段手摺の低さをカバーする為、フェンスが取り付けられていたりと、
元の形を生かしながらそれぞれ工夫されている。

調理実習室は、元は理科実験室だった教室だそう。
造り付けの棚やシンクが設けられ、天井装飾も凝っている。

実験器具などを保管する棚などもそのまま残されていた。


中庭には、ひょうたん島の遊具があったり、

小さな橋が渡されたひょうたん池もあった。

三棟つながった校舎を運動場側から見たところ。

昭和3年に第一校舎の南側に講堂が建てられたそうだが、その講堂は取り壊され、玄関の車寄せ部分のみ、体育館の南側に移設されている。

移設された車寄せ部分。
ひととおり、解説頂きながら見学することができた。

帰り道・・
赤い屋根がかわいい住宅。
玄関の面格子も素敵だった。

扉には、こんなガラスブロックが。

こちらの三階建ての建物、1階部分には、タイルが貼られてた。


美しい結晶が現れてる。

丸モザイクタイルも。

路地裏にガラスブロックのはまる喫茶店も発見。

小鳥が向かい合う看板の持ち送りが可愛かった。

面格子とタイル。


カラフルなタイル貼りの建物。
赤い目地もぴったり。


こちらの洋館も西脇小学校を設計した内藤克雄設計。



ブルーグリーンがきれいなパステルトーンのタイル。

播州織工房館は、かつて播州織の織物工場として使われていた工場が
工房&ショップとして活用されている。


大きな織機の展示も。

のこぎり屋根の明かりとりの窓からやわらかい光が入ってくる。
たくさんの生地も販売されてて、見てるだけでも楽しかった。

スープ甘めの播州ラーメンがこの辺りの名物だそうで、
帰りに西脇大橋ラーメンへ立ち寄る。

そして、最後にもうひとつの内藤克雄設計の建物、鹿野町ふれあい館へ。
元、公民館だった建物だそう。
内藤克雄の建物いくつかに共通する、妻壁にアーチ窓が二つ
特にこの公民館の建物、バランスよくてかわいいなあ。

久々の西脇、楽しかった。
しかしいつも、日曜のみ開館のコヤノ美術館にはなかなか行き着けない。
次回こそは、訪れたいな。