m's diary

タイル巡り♡タイル制作♡建築巡り♡町歩き

タイル尽くしの外装&和洋折衷の魅力的な内装の喫茶オープン他

2022-04-29 | 純喫茶

この日は、鴻池組旧本店の見学会に当選し、遅めの時間帯だったのでその時間までいくつかはしごを。
まずは、ちょうどこの日から始まった大阪歴史博物館での「タイルと大阪」展へ。


博物館所蔵の近代建築を彩っていたタイルがいろいろと展示されていた。

阪急百貨店大食堂の腰壁に貼られてた網代模様のタイル。
山茶窯製のものだそう。
茶褐色のタイルは第1期、2期工事時の外装タイル、クリーム色のは第3期以降のものだそう。



大阪市交通局旧庁舎の外装に使われていたというスクラッチタイル。
曲線のスクラッチがおもしろいなあ。


同じく大阪市交通局の階段室腰壁や床に使われてたという泰山製の布目タイル。



こちらも味わい深い布目タイルは宇野美術タイル制作の大阪府立天王寺高等学校旧本館玄関広間タイル。


パステルトーンの色合いと、結晶釉が美しい、美章園温泉に隣接する
住宅階段室に貼られていたというモザイクタイル片



旧愛日両学校正面玄関床に貼られていたというモザイクタイル。
他にも展示物いろいろ楽しめた。


博物館から大阪城のお堀を眺める。


7階の常設展示では大大阪時代のリアルなパノラマ展示があった。


道頓堀、千日前のネオンや町並み。


ヨネツ子供洋品店の再現展示。



郊外住宅のくらしなどなど


その後、弁天町から喫茶オープンを目指して歩く。
びんみんさんの投稿を見て前から行ってみたかった喫茶オープンが鴻池組旧本店から近いということに気づいて、この日に行こうと思ってた。


途中で出会ったタイルは、布目地に、虫食いのような跡が独特の面白いタイル。


タイル表面についたぼこぼこした粗目の表情が味わいのある、飴色が素敵なタイル。


この深いブルーのタイルは、よく見ると金色の点々が結晶のように現れていてきれいだった。


2階、3階のブルーのタイルがきれいな民家。



そして、春日出商店街へ入ったところで、喫茶オープンが現れた。
が、、お店はやってる気配なし;
なんとこの日、水曜は定休日だった・・


しかし、半分閉じられた扉の向こうに人の気配がして
声をかけてみたら、ママさんが出て来てくださり、
タイルが好きでこちらの喫茶店へやって来たという私を歓迎して下さって
しばしタイル前で立ち話。


元々は隣にある酒屋さんを営んでいたそうだが、先代のお父様が友人から、
これからの時代は喫茶店だ、とすすめられて、酒屋の隣で昭和31年に始められた喫茶店で、お父様自らがこだわってデザインしたものだそう。


特にこの様々な色が入り混じったタイル壁は圧巻。
よく見ると、さまざまな形のタイルをモザイク状に貼った部分があったり、
厚みがバラバラなタイルを自由に用いて凸凹感を出したところがあったりと
見ていて飽きない壁面。


タイル壁面の下のグリーンのテント、面格子に蔦が絡まる窓辺も素敵だなあ。


そして、定休日にもかかわらず店内も見せて頂けた。
普段は2階におられるのだが、私が訪れた時間にたまたま下に下りて作業をされてたとのこと。超ラッキーだったようだ。


店内も本当に素敵で、天井や壁につく柱には手斧削りが施されていて、
洋の雰囲気があるかと思えば、



暖炉上にはこんな竹を取り入れた意匠もあり、
和洋折衷のお父様の独特なセンスが見られる。


パーテーションのデザインは、小さなツブツブは珈琲豆を表しているのだとか。



椅子も全て特注で、座り心地がよく、いつまでも疲れないと言われていた。


Y字の柱には仏像の顔が掲げられ、


そのちょうど裏側には鹿。
鹿の角は刀置きのようになってておもしろい。


そして、外から見た時に蔦が絡まる面格子のあったところには、
内側にはこんな障子が入ってた。
ここは和風に仕上げられていて、ほんとに和洋折衷具合が絶妙。


更にカウンター上には皮付の桜の木の丸太が並べられていて
これがつやつやとした渋い色合いをはなっていて、とても素敵だった。



壁は漆喰部分もあったが、こちらのトイレのドア周りは布製のシックなもの。


扉を開けると、床面は、こんなタイルが貼られてた!


手洗い上の照明もおしゃれだなあ。


入口扉の引手も素敵。
お店の内外の細かいところまで、お父様のこだわりが詰まっていて、
娘さんがそのお店にとても愛着を持たれ、大切に守られている様子が伝わってきて、とても感激した。
見せてもらえてとても感謝してるのはこちらなのに、逆にとても喜んで頂けて恐縮。



最後にはちょっと待って!と、ママさん直筆のこんなミニ色紙まで頂いてしまった。
この日は本当はお店は閉まっていて、またいつ来れるかわからない状態だったのが、奇跡的にママさんと会い、お話できて、お店を見せて頂くことができた。
まさに一期一会のうれしい出会いだった。



鴻池組見学の前に気持ちは満たされ、もうすでにお腹いっぱいになってしまった。


更に鴻池組へ向かって歩いてる途中に見かけた美容室。
一見派手すぎるテント看板


大中小の丸窓がポップなお店


3階までタイルがびっしり。
3階には錆びた面格子も見える。


楓模様の型板ガラス。


型板ガラスも面格子も鉢植えの緑もバランスよく素敵なお家。

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勝尾寺~妙見山~裏高山~伊丹・キッチンあっちゃんへ

2022-04-28 | ロードバイク


ここしばらく自転車で週一、勝尾寺はなんとか死守してるけれど、
週一だとしんどいばかりでちっとも上達もせず、せめて週1.5は走らないとと修正中。
今日は勝尾寺から妙見山へ2週間ぶりに上がって、旦那が前から行きたがっていた伊丹にあるキッチンあっちゃんを目指すことに。
全く方向は違うのだけど、山に登らずして、飯食うべからず?なので、無理やり遠回り;



山は、もうすっかり初夏の装いで、若葉の緑がまぶしいくらい。
夏の緑とは違う芽吹きの薄緑が清々しい。


勝尾寺、妙見山へと上り、妙見山では自己ベストタイム?が出たはずなのに
私のストラバは途中で電源落とした為に記録が取れてなかった・・
キーーっ!無念~



帰りの下りで、段々畑のきれいなところで記念撮影。


箕面へ下りる途中。
新緑と川の流れがきれい~
これから暑くなるまでの山の中は最高だなあ。

妙見山の頂上で12時過ぎで、旦那の予測では1時半には目的地へ着く予定だったのだが、、
これがなかなか着かず、もうお腹がへってへって、予約してなかったら
別の店に駆け込んでたところ。
最後には飢餓との戦いになり、フラフラになりながらなんとかお店に到達・・
着いたら2時過ぎてた;
旦那の時間配分がいつもタイトで見当違いなのが腹立たしい。
常に限界までがんばってる私に対して、遅い呼ばわりだし。


お店に着くと、まず自転車の人にはサービス出しているというラッシーを頂く。
マンゴーラッシー、美味い~しみる〜


ランチメニューの中から日替わりランチに。
サラダと前菜。
サラダもたっぷりなのがうれしい!


メインはポークのトマト煮で豚肉はホロホロとやわらか。更に具沢山のボルシチまでついてて、ごはんは十穀米。
飢餓状態だった体に、食べ物がしみわたる~
もう一気食い!


+250円のデザート、そしてコーヒーも頼む。
デザートも3種類もあって、どれも手作りなのだとか。
美味しすぎる〜
まじで弟子入りしたい美味さ


こんなにボリュームたっぷりの美味しいランチがこの価格とは!
神ランチとしか言いようがない、、
又いつか行きたい、、今度は六甲山の帰りか?!

とりあえず暑くなるまでに、琵琶湖も淡路島も六甲もチャレンジしておきたい。
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常滑の風景

2022-04-25 | 建築巡り・街歩き【その他】

東窯工業見学会準備前後に、ホテルへの行き帰りで見た常滑の風景いろいろ。


ドーナツ状の窯道具?が再利用された壁。


陶板が下見陶板貼りのように貼られてた。


陶板には、何か文字が入ってておしゃれに見える。


常滑西小学校のインパクトのある壁。


陶器のドット絵で描かれてるのだ。


立体的な陶器のマス目に白と紺の釉薬の色の面積の大小で表されてるのだけど、
近寄って見ても面白い。


これが遠目で見ると、写真のように見えるのがすごいなあ。


この日の宿は、HOTEL R9 The Yard常滑。一棟独立のコンテナホテル。


外観はこんな感じだけど、


扉を開けると、普通のホテル並みの快適さ。


コーヒー、朝食は無料サービス。


朝食は、なんと冷凍食品。
部屋の電子レンジでチン。
パスタやピラフの類が数種類から選べる。
ちょっと味気ないけど、合理的。
無料だし、、


翌朝は、再び歩いて、東窯工業へ向かった。


この年季の入った倉庫らしき建物は何だろう?


常滑らしい土管塀。


ここの塀は土管&煉瓦&瓦の競演が見られた。





このギザギザに刻みが入った筒はなんだろうか??


わー、可愛いお店が、、
カフェ&ギャラリーのよう。


アプローチの地面に埋め込まれた細かいつぶつぶが気になって、何かの転用か聞いてみると、魚をとる網のオモリだそう。



この小さい穴にも埋め込まれてた。







外壁にうろこのように貼られてた陶板が
ユニーク。


建物は広い敷地に点在していて、こちらが草餅カフェにざまつ。


この時は、時間がなかったので、お店を見せて頂いただけ。
古民家を改装したカフェ。


上から吊るされた苔玉が涼しげ。


床も腰壁もモザイクタイル貼り。


床のタイル。


おしゃれな塀。


この塀も素敵、、


更に歩いて、、
ここの並びのお店も興味深い、、
まだ朝早かったので閉まっていたが。









この辺りからやきもの散歩道に入れそうだが、ここは、寄り道せず


井戸があった。
大きな土管?が使われてる
縁に模様が入ってる。









ここの右手のお店、侘助では何度かランチをしたことあるなあ。
早朝なので閑散としてる。


地面に埋められたやきもの。


地面に埋め込まれた陶板たち







手洗い場に可愛い狛犬。


旧美容院のモザイクタイル。
白とグリーンの市松模様がさわやか。


目的地まで普通に歩いてるだけでもさまざまなやきものと遭遇するのは、やきものの町ならではで楽しい!

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日本のタイル100年 美と用のあゆみ展へ

2022-04-24 | 美術館・ギャラリー他

常滑の一日目の終わりに、翌日の見学会の準備をした皆さんで、
INAXライブミュージアムで開催中の「日本のタイル100年、美と用のあゆみ」展へ。後藤主任学芸員さん直々にご案内して頂けた。
その中から展示の一部を。



今から100年前、平和記念東京博覧会時に、様々な呼び名だったものが
「タイル」という名称に統一された。
写真は博覧会会場の中の「タイル館」
建物内外にさまざまなタイルが貼られていたという。


西本願寺経蔵の腰壁に使用されてる脚付きの柿右衛門色絵陶板。


イギリス製のマジョリカタイル(左)とそれを真似てつくられた国産マジョリカタイル。
デザインが微妙に省略されてたりするところが面白い。


佐治タイルのタイル看板。
店名の周囲には、数々の受賞時のメダルのレリーフが入っている。


伊奈製陶のタイルの使用例を描いたカタログがリアルでかわいい。
タバコ屋さんや、居間の床?、


魚屋さんのショーウィンドウや建物のエントランス付近、


洗面周りなどなど、タイルが使われてる様子がリアルに描かれていて当時のタイル使いの様子が想像できた。


第一次大戦後は、スペイン風邪の流行により衛生意識が高まり、汚れが目立ちやすい白いタイルの使用が広まったという。
伊奈製陶では、このような白いタイルパーツは、150種類も製造されていたそう。


上は佐治タイル元社長がまとめたイギリスのタイル会社のカタログの切り抜きスクラップ。
下は佐治タイルのカタログで、孔雀のタイルがそのまま取り入れられている。


小森忍の鳥居坂の岩崎小彌太本邸食堂外壁用タイル。


山内逸三制作のマジョリカタイルやレリーフタイル


ちょこちょこ床に貼られてるのを見かける
ラグランモザイクといわれるタイル。


床用のクリンカータイル。
中央の〇のみのタイルは古いもので、中央に✕印の溝が入ってるのが、水はけをよくするように作られた改良版だというのをちょうど前日に伺った。


東郷青児のモザイク壁画は、伊奈製陶によりパッケージ化して売られていたそう。


上はアートモザイクタイルのカタログ。



可愛いプリントもののモザイクタイル見本もあった。

その他にも多数、タイルの100年の歴史が凝縮された興味深い展示がたくさんで堪能できた。
8/30まで



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鴻池組旧本店 春の見学会

2022-04-21 | 建築巡り・街歩き【大阪】
先日は鴻池組旧本店見学会に見事当選し、訪れてきた。
見学はちょうど10年前に建築講座で訪れて以来で、
再びあのアールヌーヴォーの部屋を見れるというのでわくわく。


鴻池組旧本店は事務所兼住居として1910年に建てられた洋館と和館からなる建物。
辰野金吾に師事したという建築家久保田小三郎により設計、建築された。
洋館の外観は辰野式を思わせるような赤いタイルのラインが巡るセセッション様式。


玄関扉上部の矢の文様のステンドグラス中央に入った「北」マークは
鴻池組の社章で、鴻池組の所在地が北伝法にあったことに由来してるという。



郵便受けのデザインも渦をまくセセッション風。


床下換気口のデザイン。



隣接する和館は町屋形式で建てられた住居部分。



裏手に回り、庭から和館を望む。


洋館の玄関ホール。



玄関ホールの天井には彫刻家、相原雲楽によるキューピットの彫刻。


そして玄関と、事務所の間に入れられたステンドグラスは木内真太郎によるもの。
バラと孔雀がモチーフとなっていて、とても華やか。



玄関のたたきに貼られたモザイクタイル。


事務所側からステンドグラスを。


寄ってガラスを見てみると、
孔雀に使われている乳白色のガラスは微妙に色が入り混じったマーブル模様が美しく、





周りの花部分もマーブル模様入りの色ガラスが深みのある色合い。


バラの葉も同じ緑でもさまざまな色味のガラスが使われてる。


旧事務所の床は寄木貼り。


旧事務所照明。


展示物がいくつか。
洋館に使用されていたというスレート瓦。


洋館2階に使用されていた壁紙のオリジナル。
川島織物のもので、現在でも同じ版木で修復に使用されているそう。


そしてメインの2階の応接室へ。
アールヌーヴォーの家具や建具が目に飛び込んでくる。
大正3年改修時に彫刻家の相原雲楽により手掛けられたもの。


鏡の入ったマントルピースの両脇には一見キャビネットのような家具。



天井の装飾も凝ったもの。


このキャビネットのような家具は、
上のダミーの引き出しの引手をひくと、ベッドが出てくるというキャビネット兼収納式ベッドになっているのだ。



2011年の見学時に引き出してもらって撮った写真。


家具や建具のあちこちには、アールヌーヴォーの意匠が優雅。


中央のマントルピース上の鏡台部分の装飾。
コーナーにぴったり収まるようにデザインされた植物。




椅子の背もたれにも繊細な彫り物が。


花台も。
2段になっていて、脚のラインまでデザインが細やか。


鈴なりのどんぐりが可愛い扉。


テーブルの角には象嵌細工も。



あらゆる家具に手の込んだ彫刻が彫られていて、見どころがありすぎる。



こちらのカーテンはオリジナルのまま残っているものだそうで、
タッセルも美しく、重厚感がある。


天井四隅の換気口にもアールヌーヴォーデザインが。
廻り縁にも細かな彫刻が入ってる。


サンルームに通じる扉上部には、鳩がデザインされたステンドグラス。


サンルームは明るい光が差し込む空間に。


奥には洗面とお手洗いがある。


外国製の洗面ボウルかと思いきや、東洋陶器製の高級品のよう。





個室内にあった手洗い器はイギリス製のものだった。


階段にはサンルームからのやわらかい光が差し込むステンドグラスが入っていて、縁飾りも凝ったもの。


階段上のペンダント照明。
天井飾りとシンプルなデザインの照明がぴったり。
鎖もよいデザイン。



和館へ通じる扉。



扉を開けると、隣接する和館が見える。
和館の方が階高が低いので階段がつけられている。


和館の玄関。


台所の壁はタイル貼り。



土間の吹き抜けに通る梁。


1階和室の書院欄間は鶴の透かし彫り。





階段を上がると、階段手摺の柱の先端に小ぶりのかわいい狛犬の彫刻。
相原雲楽の銘が入ってる。
狛犬は皆に撫でられてぴかぴか。


ひときわ豪華な鳳凰の透かし彫りが入った欄間。





うまく撮れなかったが、こちらも鳳凰。





和室を取り囲む廊下にはガラス窓が張り巡らされ、見晴らしがいい。
「浜座敷」とよばれ、当時縁側の眼下には伝法川が流れていたそう。


ガラス窓は戸袋に収納することもでき、
その場合は欄干だけが残る。
欄干にも社章の「北」マークが。


最も格式が高い座敷の書院欄間。
組子細工が美しい


欄間には塗りの額が嵌められてた。


こちらの欄間の彫刻も浮き彫りになっていて、リアルで重厚感たっぷり。




襖の引手には裏にはひとつひとつに銘が入っているそう。





最後に、和館から見た洋館とのつなぎ目の階段。

50分があっという間の濃密な見学会だった。



最後には、孔雀のスタンドグラスのクリアファイルまでお土産に頂けるという至れり尽くせりの見学会、ありがとうございました!


ちなみに10年前の見学時には風呂場や1階廊下なども見れたみたい。→



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東窯工業(旧杉江製陶所)見学会

2022-04-18 | 建築巡り・街歩き【その他】

月兎社主催の常滑の東窯工業(旧杉江製陶所)見学会にお手伝いとして参戦してきた。
加藤郁美さんのご尽力と、東窯工業さんのご厚意で実現した見学会、タイルと共に過ごせた夢のような2日間だった。

私が最初に東窯工業さんへ奇跡的に導かれたのは2016年の12月のことだった。その時の衝撃体験!?を綴った記録はこちら→

この時に親切にタイルを見せてくださり、お話を聞かせてくださった社長さんが、2年前にお亡くなりになり、当時操業されていた砥石工場をたたまれるということに。


今回、社長さんの奥様や現社長の娘さんとお話をさせて頂き、
当時社長さんが、こちらの事務所のタイルに導かれた?お客さんを喜んで応対してくださっていたというお話を聞いて、うれしく思った。


オーナーの杉江さんご一族には、見学会の前々日から、床などをきれいにお掃除していただき、迎えて頂いて、本当に有難い限り。
当日は椅子やテーブルを移動させると、床のタイルがどどーんと広範囲に表れて、写真も撮りたい放題、タイル好きにはたまらない至福のひとときを味わえた。


カラフルな菱形のグラデーションが美しいデザイン。


はっきりした色合いの組み合わせがモダンなもの。


大中小の杉の木の組み合わせをモザイクで描いたデザインは、杉江製陶所時代のマークで、


タイルの刻印としても使われていたよう。


大柄な花を描いたものもあれば、


卍をつなげたような迷路風モノトーンのデザイン、


こちらはよく見かける縦長のモザイクを二つずつ組み合わせた市松模様のもの。



このカラフルな色合いのものも何度か見かけたことあるなあ。






六角形の角に花のようにデザインされたものもかわいい。


 

倉庫の中にも中央にワンポイント的に入るデザインのものが潜んでた。


京都の石田愛商店などで見たことのあるデザイン。
このパターンのみ倍の大きさで貼られていたのは、人気のデザインだったのかな?


残されていた杉江製陶所の床のモザイクタイルのパターンのカタログ。
こちらには実際に貼られていた見本のタイルが多数載っていた。
(見学会の加藤さん制作のブックレットにはこちらのカタログ全ページが掲載)


そして、金庫が置かれていて今まで隠れていた場所から、床にはこのようなタイル、壁にもまたまた素晴らしいデザインのものが出現した。(本間さんのチームが強烈!に重たい金庫をどかしてくださいました)


一パターンのタイルを複数組み合わせてデザインされたタイルは
今まで見たことのないようなもので、モダンでとても素敵。
色味も渋くていいなあ。
石膏か何かで型を起こしたものだろうか。
ラインがくっきり深く彫られていて、釉薬が塗り分けされている。
地模様に布目もついている。
同じデザインのタイルを作ってみたいな、と思った。


同じく金庫に隠されていたところには、豊かな色味や窯変を持つ施釉タイルがびっしりと。
美しい~~


同じく腰壁には、床の無釉タイルに対して、釉薬の美しさが際立つ施釉タイルがさまざまに貼られている。




網代の役物タイルも。





事務所のひとつ奥の部屋は、主にクリンカータイルの見本部屋になっていたようだ。
ポピュラーなパターンのものから、


斜めにラインが入ったシンプルなもの


クリンカータイルに模様をつけるローラーも出現。
型でなくローラーで模様をつけてたんだなあ。
ものすごく重いものだった。


そして腰壁にはスクラッチタイルまで。


スクラッチタイルのバリエーションやぶつぶつした型押しタイルも。


更に奥にも部屋が存在した。
こちらの部屋は、初めて立ち入らせて頂いた。
調合室として使用されていた部屋のようだ。
天秤や鉱物?などがテーブルの上に置かれ、まるで調合途中で時が止まったままのよう。


ガラスケースの中には、ラベルが貼られた瓶が並び、


棚にも名称や記号のようなものが書き込まれた缶類が並んでいた。



そして、杉江家の皆さまの献身的なお掃除により、新たに出現した床のタイル。


入口近くに貼られた網代状のレリーフタイルや、


一枚一枚の窯変が美しいタイル。
撮影前に更に水拭きすると、タイルの艶やかさが増し増しに!
美しすぎる~~


この飴釉の窯変も最高!


少し濃いめの茶色のものも、端々が青白く窯変していて、
どれもこれも目が離せない。





辰砂釉も深い赤が神秘的。


タイルというのはやはり100年近い時を経ても色あせない美しさを維持するものなんだなあと・・
事務所内のさまざまなタイルを見るうちに、
あらためて、杉江製陶所時代にはデザイン性や品質共に高度な技術で、目にも美しいタイルが作られていたのだなということがうかがえた。


敷地内の工場へも、娘さんに案内して頂いた。
入口に近いこちらの建物は近年まで砥石の製造で使用されていた。
建物前には焼成に用いる窯道具のサヤが積まれている。





工場内には大きな窯が。
高温で焼き、じっくり時間をかけて冷ますという方法でつくられていた砥石
はトンネル窯でつくられるものより焼きムラが生じにくく硬く高品質なものが生まれるという。





べんがらで赤く染まった建物があるのは、砥石の色付けにべんがらが用いられていたから。


べんがらを扱っていた工場内へ足を踏み入れると赤く染まった工場内が幻想的だった。


外から差し込む光が赤い構内を照らし出す。










赤大工というのがべんがらで、砥石の原料にはボンドも用いられる。


こちらの建物には試作に使用されていた小さな窯がある。


神棚が据え付けられた建物も。


蔦に覆われた煙突。


ほぼ骨組みだけが残されているような建物も。



構内には窯は6基あったそうだが、その中でも最も大きな煉瓦積みの窯。



煉瓦積みの窯があった建物は一度火災にあったそうだが、なんとか消し止められ、焼け落ちることなく、その後も使用されていたという。
建物には、木材に煤けたような跡が残っていて、すごい迫力だった。





配電室。




材料の粘土を寝かしていたというプール。


攪拌するボールミルという機械。
石をいれて原料の粘土を細かく砕く。



土を細かく砕くためにいれるアルミナと呼ばれる石。(白い方)
硬度が高いものだそう。


大小二つの煉瓦の窯が並ぶ夫婦窯は、一つの窯で焼成している間に、
その熱で、もう一つの窯で素地の乾燥を行うという合理的なもの。


夫婦窯とは少し離れたところにある煉瓦造りの立派な八角形の煙突。これほどの規模の八角形の煙突は、珍しいのだそう。
煙は窯からは地下を通って煙突までやってくる。





建物に入る窓にはさまざまな型板ガラスも使われていた。


菊や銀河なども。





事務所のタイルも工場も見どころいっぱいで、あらためてこのような機会を設けて頂けた杉江家の皆様に感謝した。

見学者の方々からもご満足されたと、たくさんのよいお言葉を頂けて、杉江家の皆様も最後にこういった機会が持てて、
生前、お客さんを歓迎されていたお父様も喜んでいるのはと、話していただけたのが印象的で、こちらもとても幸せな気持ちになれた。
本当に良い体験をありがとうございました。



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「本のお店スタントン」にて「台湾市場」が始まりました。

2022-04-15 | 建築巡り・街歩き【大阪】

「本のお店スタントン」さんで今日から「台湾市場」が始まりました。
さまざまな作家さんの台湾にちなんだzineや雑貨、本が集まっています。
(5/15まで)

スタントンさんがある駒川商店街は、お買い物も楽しめる激安商店街です。
ぜひお買い物ついでにお立ち寄りください。


私は、台湾の和製マジョリカタイルを模した手作りタイルや、台湾風組タイル、


他オリジナル組タイル額やトレイいろいろ、



モザイクタイルのコースターも。


そして、台湾の和製マジョリカタイルをたくさん載せたものと、台湾のモザイクタイル、扉や面格子など、街角の風景を載せたzineも出展してます💠

よろしくお願いします。

設営日初日に行ったので、全体の様子がまだ見れてません。


ここから記録の為詳し目に↓


台湾風?組タイルは2種類。


台湾の街角では、ちらほら可愛い組タイルを見かける。
こういうものや↑


こんな感じのものをイメージしてデザインしました。


和製マジョリカタイルは全部で3種類。


ポピュラーなデザインのものを模してみました。制作工程はこちら→☆


小ぶりな組タイルの額いろいろ。
全てオリジナルの1点ものです。






そして、既成のモザイクタイルを使ってデザインしたコースター。
ブルー系、


ピンク系、


ひょうたん&玉石タイル系、


ブラウン系

以上出展してます。

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喫茶オランダ&大阪日本橋キリスト教会他

2022-04-14 | 純喫茶
高島屋見学ツアーの日、朝一にコロナワクチン3回目を打ちに
北浜の集団接種会場へ。
会場近くで良さげな喫茶店見つけたけど、定休日だった。
「茶蛮館」今度機会あれば行ってみたい。


ガラスブロックのあるビルの地下へ降りる階段には、


きれいなグリーンのタイルが貼られてた。


高島屋見学ツアーに行く前に、日本橋の喫茶オランダでモーニング。


赤いベルベットの座布団(椅子ではなく)がよい感じの店内。








こじんまりしたテーブルのフォルムも素敵。






モーニングはたまごサンドにりんごがついていた。


可愛いかったのは、このミルクピッチャー!


高島屋の見学ツアーを終えた後、
前を通るといつも気になってた、大阪日本橋キリスト教会。
この日は、ラッキーなことに開いていて、
少し礼拝堂を見せて頂くことができた。


礼拝堂は2階にある。
1925年に建てられた教会は老朽化の為2001年に改修が行われて、創建時の姿に復元されたそう。




アーチ窓が並ぶ聖堂内は、とても明るい。


シンプルなシャンデリア。


階段途中にあった、2階からの明かりとりのガラスブロック。



こんな丸窓のステンドグラスも。



入口の扉は、植物の葉をモチーフに鋳物で作られたもの。


お昼ごはんに、異国の雰囲気が漂う中華料理店へ入った。


あまりにローカル感があふれてたので、
思わず片言の日本語でワンタンを指差し注文。

皮が肉厚でモチモチしてて美味しかった。


他の人が注文した、この春巻きのようなものもめちゃめちゃ美味しそうで


次回来た時にはぜひ頼んでみたいと思った。



近くに中華食材店もあって、


油条も売ってたので購入。
豆漿と一緒に食べたい〜




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京都・堂本印象美術館&立命館大学の布目タイル

2022-04-13 | 建築巡り・街歩き【京都】
北野天満宮からタイルを巡りつつ、堂本印象美術館へやってきた。
ずいぶん前に一度来たことがあり、リピートしたいと思いつつなかなか
機会がなかったけど、レンタサイクル使うと、はしごも楽々。


昭和41年に開館した美術館は、ヨーロッパなどを旅した堂本印象が、現地で見た宮殿や邸宅を用いた美術館をイメージし、印象自身が手がけたそう。
たしかに、、ヨーロッパへ行くと、古い邸宅や教会などが美術館に改装されていて、建物自体も見応えがあって、建物と美術品とが一体となった展示を見ることができる。


外観だけでも見どころいっぱいで、大小の石がモザイク状に埋め込まれていたり、


窓の面格子も、自由な曲線を描いてる。


階段下の面格子も不思議なデザイン。


壁面にはレリーフ状に文様が入っていたり


エントランスには銅板で覆われた太い柱が上階を支えている。


その銅板にも細かく抽象的な模様が入る。


入口の引手にも、堂本印象の絵画が使われいて素敵。





そしてエントランスホール。
撮影はエントランスホールまでOK。


金色をふんだんに使った華やかな空間が広がる。


金色にカラフルなアクリル板?で装飾された壁面。





ドアノブもユニークな形。


隙間がないくらいに装飾された壁面。


エントランスホールは壁面を埋め尽くすかのように堂本印象のアートがさく裂
してる。





これはステンドグラスではないようだけど、、
樹脂でさまざまな素材を固めたようなアート。


抽象画のようでもあって面白い。


新館も外壁にはレリーフが。


庭園に置かれた椅子もそれぞれ堂本印象デザインのもので、
背もたれが個性的。











長いベンチも。


近くにある和菓子屋さん、笹屋守栄では堂本印象がデザインしたという包装紙が使われているというので行ってみた。


花のようでもある抽象的なデザインの包装紙が華やかで素敵。



包装紙を解くと、箱にも絵が描かれていた。


そしてここまで来たので、以前にも見たことがあった立命館大学
布目タイルを見に行くことに。


くすんだピンク色から紫のグラテーションのタイルが
上品で美しい~
ここの壁面は、表面がかすれたような雰囲気で、布目がはっきり表れてる。


こちらのタイルは、少し新し目かな?
くすんだピンク、茶の布目タイルが落ち着いた輝き。


遠目で見ると落ち着いたベーシックな印象の外壁に見えるが、
近寄って見ると、ほんとに一枚一枚がすばらしい。


こちらのタイルは、窯変のバリエーションがさまざま。
ベースの色味や布目は同じながら、校舎によって、微妙に変化が見られるタイル。


本当に美しく、、飽きないなあ。





ここの校舎の壁面は、ピンク味が強くて、
可愛い。


階段の壁面にも贅沢に貼られるタイル。


こちらの校舎も布目タイル貼り。


トーンが少し明るめ。








このエレベーター周りは、しっかり濃いめの色合いのタイル。






守衛室も、同様にタイルが貼られてる。


布目が強く現れてる。


ピンクの中に黄土味が強く出たタイルが混じっていたりと面白い。

校舎の広範囲に渡ってこんなクラフト感のあるタイルが貼られてるなんて、、ほんとに贅沢極まりない~
しかも全部同じタイルではなく、棟毎にベースは同じだが、変化が付けられてるのがすごい!とあらためて感じた。


最後に見つけたお家。
大判の渋いタイルが貼られてる。



玄関扉に入った面格子も素敵。

この日も北野天満宮の天神市からの堂本印象美術館→立命館大学のタイルとおなかいっぱいの1日だった。(2月前のことだけど;)

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ミニ和製マジョリカタイルを作る

2022-04-13 | 陶芸&タイル作り
駒川商店街にある「本のお店スタントン」さんで、台湾フェアのイベント(4/15〜5/15)出展にお声掛け頂いたので、台湾でもよく見かける和製マジョリカタイルのレプリカを作ってみることにした。

石膏板を作るところから、、
石膏板を作るにもコツがあって、、粉末状の石膏を水に溶かして気泡を立てないように静かに混ぜる。
混ぜるうちに、石膏が固まってきて重くなるのだけど、、最初は混ぜすぎて、型に流すまでに固まってしまったりと失敗!
せっかく板が出来て、型が彫れたと思ったら、圧を掛けた時に割れてしまってやり直し、、などなど苦労した;


作った型に粘土を押し付けて、型取り、カット。
少し乾燥したら、バリを取って、完全に乾くまで石膏板に挟んで、寝かせる。




素焼きが終わると、今度は釉掛け。
型でできた境界線に沿って釉薬を塗り分け。
スポイドを使ってるのだけど、スポイドの口を加工して、少し狭めたものを使ったり、
隅の方は針で引っ張るように釉薬を乗せた。
少し小さめサイズにしたので作業が細かくなってしまった。






思ったように色が出なくて、焼き直ししたものもあったけど、、なんとか完成!


もう一種類も完成〜


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