m's diary

タイル巡り♡タイル制作♡建築巡り♡町歩き

鴻池組旧本店 春の見学会

2022-04-21 | 建築巡り・街歩き【大阪】
先日は鴻池組旧本店見学会に見事当選し、訪れてきた。
見学はちょうど10年前に建築講座で訪れて以来で、
再びあのアールヌーヴォーの部屋を見れるというのでわくわく。


鴻池組旧本店は事務所兼住居として1910年に建てられた洋館と和館からなる建物。
辰野金吾に師事したという建築家久保田小三郎により設計、建築された。
洋館の外観は辰野式を思わせるような赤いタイルのラインが巡るセセッション様式。


玄関扉上部の矢の文様のステンドグラス中央に入った「北」マークは
鴻池組の社章で、鴻池組の所在地が北伝法にあったことに由来してるという。



郵便受けのデザインも渦をまくセセッション風。


床下換気口のデザイン。



隣接する和館は町屋形式で建てられた住居部分。



裏手に回り、庭から和館を望む。


洋館の玄関ホール。



玄関ホールの天井には彫刻家、相原雲楽によるキューピットの彫刻。


そして玄関と、事務所の間に入れられたステンドグラスは木内真太郎によるもの。
バラと孔雀がモチーフとなっていて、とても華やか。



玄関のたたきに貼られたモザイクタイル。


事務所側からステンドグラスを。


寄ってガラスを見てみると、
孔雀に使われている乳白色のガラスは微妙に色が入り混じったマーブル模様が美しく、





周りの花部分もマーブル模様入りの色ガラスが深みのある色合い。


バラの葉も同じ緑でもさまざまな色味のガラスが使われてる。


旧事務所の床は寄木貼り。


旧事務所照明。


展示物がいくつか。
洋館に使用されていたというスレート瓦。


洋館2階に使用されていた壁紙のオリジナル。
川島織物のもので、現在でも同じ版木で修復に使用されているそう。


そしてメインの2階の応接室へ。
アールヌーヴォーの家具や建具が目に飛び込んでくる。
大正3年改修時に彫刻家の相原雲楽により手掛けられたもの。


鏡の入ったマントルピースの両脇には一見キャビネットのような家具。



天井の装飾も凝ったもの。


このキャビネットのような家具は、
上のダミーの引き出しの引手をひくと、ベッドが出てくるというキャビネット兼収納式ベッドになっているのだ。



2011年の見学時に引き出してもらって撮った写真。


家具や建具のあちこちには、アールヌーヴォーの意匠が優雅。


中央のマントルピース上の鏡台部分の装飾。
コーナーにぴったり収まるようにデザインされた植物。




椅子の背もたれにも繊細な彫り物が。


花台も。
2段になっていて、脚のラインまでデザインが細やか。


鈴なりのどんぐりが可愛い扉。


テーブルの角には象嵌細工も。



あらゆる家具に手の込んだ彫刻が彫られていて、見どころがありすぎる。



こちらのカーテンはオリジナルのまま残っているものだそうで、
タッセルも美しく、重厚感がある。


天井四隅の換気口にもアールヌーヴォーデザインが。
廻り縁にも細かな彫刻が入ってる。


サンルームに通じる扉上部には、鳩がデザインされたステンドグラス。


サンルームは明るい光が差し込む空間に。


奥には洗面とお手洗いがある。


外国製の洗面ボウルかと思いきや、東洋陶器製の高級品のよう。





個室内にあった手洗い器はイギリス製のものだった。


階段にはサンルームからのやわらかい光が差し込むステンドグラスが入っていて、縁飾りも凝ったもの。


階段上のペンダント照明。
天井飾りとシンプルなデザインの照明がぴったり。
鎖もよいデザイン。



和館へ通じる扉。



扉を開けると、隣接する和館が見える。
和館の方が階高が低いので階段がつけられている。


和館の玄関。


台所の壁はタイル貼り。



土間の吹き抜けに通る梁。


1階和室の書院欄間は鶴の透かし彫り。





階段を上がると、階段手摺の柱の先端に小ぶりのかわいい狛犬の彫刻。
相原雲楽の銘が入ってる。
狛犬は皆に撫でられてぴかぴか。


ひときわ豪華な鳳凰の透かし彫りが入った欄間。





うまく撮れなかったが、こちらも鳳凰。





和室を取り囲む廊下にはガラス窓が張り巡らされ、見晴らしがいい。
「浜座敷」とよばれ、当時縁側の眼下には伝法川が流れていたそう。


ガラス窓は戸袋に収納することもでき、
その場合は欄干だけが残る。
欄干にも社章の「北」マークが。


最も格式が高い座敷の書院欄間。
組子細工が美しい


欄間には塗りの額が嵌められてた。


こちらの欄間の彫刻も浮き彫りになっていて、リアルで重厚感たっぷり。




襖の引手には裏にはひとつひとつに銘が入っているそう。





最後に、和館から見た洋館とのつなぎ目の階段。

50分があっという間の濃密な見学会だった。



最後には、孔雀のスタンドグラスのクリアファイルまでお土産に頂けるという至れり尽くせりの見学会、ありがとうございました!


ちなみに10年前の見学時には風呂場や1階廊下なども見れたみたい。→



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東窯工業(旧杉江製陶所)見学会 | トップ | 日本のタイル100年 美と用の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

建築巡り・街歩き【大阪】」カテゴリの最新記事