半世紀以上前からの友だが、仲良く頻繁に付き合っていたわけではない。どちらかと言うとシャイで口数が少なくMacchanとは反対の性格だが、たまに会って付き合うと心が落ち着き振り返ると駄洒落なんか一回も飛ばさないで話している。
今回は能登の帰りにもう少し大町に滞在する予定だったが、18切符の有効期限ぎりぎりの今週初め日月に会おうと約束して「遊び小屋」最寄の天竜浜名湖鉄道「都筑駅」に迎えに行った。鉄道でやってくる友を迎える場合時々使う駅だが、半世紀前のローカル線の雰囲気を残した旅情があふれていていいなと思っている。
H君はガサツではない文筆家で、Macchanが現役時代半年だけ勤務したY社が経営していた沖縄小浜島のリゾートに、30年前取材のためにやってきたことがあった。クラス会にも滅多に顔を出さないが友の安否には敏感なのだろう、この時も10年ぶりくらいに電話があって取材して記事にしてもいいかと言ってきた。
「遊び小屋」指名の訪問希望は、ちょうど10年前に建築DIYを始めたころ浜松駅前で近況を語ったことを思い出してくれたのだろう。二人きりで飲み語る機会は外飲みが多かった現役時代には時々あったが、リタイア後は稀になった。今回はまだ少し暑かったが、囲炉裏端で自作の野菜や浜名湖と近海の海の幸で素朴にもてなすことにした。ゴーヤと茄子のチャンプルに始まって、浜名湖のアサリ酒蒸しとバイ貝の煮物、メヒカリも焼いて夜遅くまでチビチビ飲みながら語った。
翌朝は自作の薪風呂に入ってもらい、そぼ降る雨の中近郊をドライブして昨年大河ドラマの舞台になった井伊家菩提寺の龍潭寺を案内し浜松駅まで見送った。別れ際に思わず「10年に一回のペースだともう会えないかもしれないからクラス会にも時々顔を出しなよ」と言ってしまったが、H君には異なる人生価値観があるのかもしれないと別れてから気がついた。こういう友人がいてもいい。