ニュートンは言わずと知れた偉大な科学者だ。おかげで僕はこの人を使ってよく話をした。特にPTAでの子供たちの前で挨拶をするときは、重宝した。それというのもニュートンには有名な逸話が多く、特に「巨人の肩の上」は引用しやすい。ニュートンは万有引力をはじめ多くの法則を見出し、天文や数学、物理の世界において様々な発見をした。しかしそれらの功績の陰に多くの科学者の果たした役割については本当に認めていたようで、「私が人より遠くまで先を見通せているとしたら、それは私が巨人たちの肩の上にのっていたから」と述べていたという。多くの人の功績があるからこそ、その功績に上に自分の成果を積み上げることが出来たのである。
しかしそのような背景は正しいとはいえ、実は当時のニュートンには強力なライバルがいた。バネの法則で有名なロバート・フックである。この言葉は、当時ライバルとして毛嫌いしていたフックに向けた嫌味だったという説もある。実際にこの言葉はフックにあてた手紙にも書かれているという。どういう意味かというと、フックという人はたいそう背が低かったらしい。要するに、お前は遠くまで見通すことは出来ないだろう、ということを暗に言いたかっただけなのだと。偉大な人が性格まで良かったとは、必ずしも言えることでは無い。まあ、そのほうが人間らしくていいと、あえて思うことにしよう。