カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

観ていて恥ずかしくなるが、勇気を持とう   花とアリス殺人事件

2016-09-17 | 映画

花とアリス殺人事件/岩井俊二監督

 前作「花とアリス」も以前に観たが、だいたいの内容は普通に失念。設定は前日譚ということだが、独立してみても問題は無いだろう。さらになんでアニメなんだろうという思いも最後まで消えなかったし、そのアニメも実写をトレースしたような絵柄でそんなにアニメチックでないのだが、まあ、観終わってみると雰囲気としては分からないではない。アニメ系の声優でなく実演系の人が声を当てていて、これもなんとなくあっていない感じもあるが、岩井作品としては、それさえも雰囲気としてはいいということかもしれない。また、お話自体がちっとも不思議でないのに不思議な感じがあって、これはもう岩井作品なんだから正解ということだと思う。嫌な感じもあるが、ハマってみているとやられてしまう。僕は基本的にこのクサさがそんなに嫌いでないという部分があるようで、途中はかなりいいな、と、うかつにも思ってしまった。岩井監督さすがである。
 という変な映画だが中毒系ということである。だからあえて万人向けでは無い、と思う。
 しかしながらよく考えてみると、花とアリスは既に10年位前の映画であるというし、その前日譚であるので彼女らが中学生という設定で、声の担当は10年前の女優さん達である。必然的にアニメにならざるを得なかったということはこれだけでも言える。そうして昔の言葉づかいなのか現代のものかは不明だけれど、やはり一般の人にもある程度通じる言葉づかいでなければならないが、それでも若者言葉らしい感じも必要で、要するに科白自体がファンタジーでもあるようだ。彼女らが次々に勘違いの連鎖をしていって、謎の殺人事件が起きたようなことになってしまう。大人たちは何故かこれに付きあっていて、のどかなのだが、同時にこれも観ている人にはそれなりに違和感がある。あるが、それが時代だと言われたらそんな気もする。少女性それ自体は映画とは相性のいい題材だと思うけれど、だからこれは男の幻想の少女性なんだと思うのだが、どうだろう。このような感性を大人になっても持ち続けている監督さんが、そのことを十分に理解しつつ、さらに映像世界として表現できることが、作品として素晴らしいのかもしれない。気恥ずかしくて認めたくないが、面白かったです。
コメント
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