「宵待草のやるせなさ」

2009-08-02 | 【草花】ETC
  待てど暮らせど 来ぬひとを
  宵待草の やるせなさ
  今宵は月も 出ぬそうな
  暮れて河原に 星一つ
  宵待草の 花の露
  更けては風も 泣くそうな
 竹久夢二作詞、西条八十補作の「宵待草」である。
 歌では、宵待草とされたが、植物分類上は、待宵草(マツヨイグサ)である。
 淡黄色の花がやさしげな、夜に咲く花のひとつ。
 日が落ち、暗くなる頃に花ひらき、日の光を浴びてしぼむ。
 月見草とも呼ばれる。
 ただ、月見草という場合は、近縁の花が白いものを指すそうだ。
 アカバナ科マツヨイグサ属の草本で、明治のはじめに、アメリカ大陸からヨーロッパを経て、日本に渡来したと言われる。
 同じ仲間に、オオマツヨイグサ(大待宵草)、メマツヨイグサ(雌待宵草)、コマツヨイグサ(小待宵草)、ハママツヨイグサ(浜待宵草)、アレチマツヨイグサ(荒地待宵草)などがある。
 今、アレチマツヨイグサの勢力が拡大しており、先に渡来していたいわゆるマツヨイグサやオオマツヨイグサを追いやっていると言う。オオマツヨイグサの花は、直径8センチくらいで大きい。
 写真は、アレチマツヨイグサで、濡れてしおれていた花に息を吹きかけて撮った。  

なびく煙あらば

2009-08-02 | 【断想】ETC
 「式き内親王全歌集」(錦仁編、出版:おうふう)をぺらぺらめくった。
 二首選んでみた。はじめの一首は、前にもこのブログでとりあげた。
 「はじめなき夢を夢ともしらずしてこのをはりにやさめはてぬべき」
 「恋ひ恋ひてそなたになびく煙あらばいひしちぎりのはてとながめよ」
 一首目の「をはり」は、生の終わりのことだ。
 夢うつつ、迷妄の道を歩く人の姿がある。
 二首目の「煙」と「はて」だが、「煙」を荼毘の煙、「はて」を死後まで広がるものと解せぬかと思ったが、・・・・。そこまでは、・・・・とも思う。しかし、式子内親王の歌には、幽明の境をこえるものがある。