「酔郷譚」の桜

2009-08-23 | 読書
 久しぶりに倉橋由美子の小説を読む。
 「酔郷譚」の七話。
 倉橋由美子は、四年前に亡くなっており、生前に書いていたものである。
 去年の七月に河出書房新社から出版されていたが、気づかずにいた。
 倉橋由美子は、好きな作家のひとりである。
 その身と心の置き方が好きなのだ。
 「酔郷譚」は、確か「シュンポシオン」以降の作品の流れのなかにある。
 いつものスタイルでの、いつもの話である。
 倉橋由美子は、「慧君」のような「少年」が好きなのだと思う。
 利発で教養があって、ちゃちな道徳にとらわれず、夢とうつつのさかいめで遊ぶような。 改めて思うに、いささかその儒教文化が色濃く出るところが気にはなるが。
 第一話には、「桜花変化」というタイトルが示すように、さなざまな桜の名が出てくる。染井吉野、山桜、鬱金、大島桜、白妙、普賢象、関山・・・・・・。記憶にとどめておきたい。
 写真は、夏の山桜の幹。

青いどんぐり

2009-08-23 | 【樹木】ETC
 ワライカワセミの丘。
 青いドングリを拾う。
 こうしてあることに感謝する。

 西脇順三郎の詩集「旅人かへらず」に、ところどころ「どんぐり」が出てくる。
 50に、
  どんぐりの実のやさしき
 35に
  青いどんぐりの先が
  少し銅色になりかけた
  やるせない思ひに迷う  

夢よりうつつ

2009-08-23 | 【断想】ETC
 夢路にはあしもやすめず通へどもうつつに一目見しごとはあらず(小野小町)
 夢での逢瀬には足繁く通っています。
 でも、実際にお逢いしたときのようなよろこびはありません。
 現実の一目は、幾多の夢にまさります。