ドルフィーの“ラスト”

2021-08-21 | 【断想】音楽

 エリック・ドルフィーの「UNREALIZED TAPES」と言うCDを入手した。のちに改題され、「Last Recordings:ラスト・レコーディングス」の名でリリースされたアルバムである。
 ジャケットに、「The Very Last Recording 1964」とあり、「RECORDING MADE IN PARIS,JUNE 11,1964」と表記されている。
 ドルフィーが亡くなったのは6月29日で、その18日前の録音である。死後、WEST WINDから、1988年に世に出た。
 これのもともとの録音は、日本のNHKにあたるフランス放送協会(ORTF)のラジオ番組のためのものである。ORTFが録音していた他の曲も加えたりした「ネイマ:Naima」と言うLP,CDがある。参考に記しておく。
 エリック・ドルフィーの主なアルバムのほとんどを聞いているが、この「Last Recordings」には接していなかった。
 先日、エリック・ドルフィーのディスコグラフィーを見ていて、改めてそのことを思い、CDなりを見つけたら入手しようと思っていた。
 このアルバムの演奏に加わっているのは、以下の7名である。
 Eric Dolphy(as,bcl)
 Donald Byrd(tp)
 Nathan Davis(ts)
 Jack Diéval(p)
 Jacques Hess(b)
 Franco Monzecci(ds)
 Jacky Bambou(congas)
 収録曲は、以下の4曲。
 1.Springtime:スプリングタイム
 2.245
 3.GW
 4.Serene:シリーン
 「スプリングタイム」は、演奏時間が19分を超える。
 3ホーンで、ドラム、コンガが響き、勇壮で、エキゾチックな感じがする。
 小川隆夫氏は、「イン・ヨーロッパ Vol.2」の解説で、次のように述べていた。
 「・・・6月2日に録音された『ラスト・デイト』(フォンタナ)、あるいは後年になって発見された6月11日のパリ録音(『ラスト・レコーディングス』としてDIWより発売)に耳を傾けると、“馬のいななき"と形容されたドルフィーの独特の咆哮が静寂さの中に溶け込み、それまで彼が示してきた異様な緊張感とはうって変わった世界が表出されているのがわかる。」
 確かにそうなのだ。全体に整然としたおもむきがあり、ドルフィーの“いななき"に魅力を感じていた者を「アレッ」と思わせる。
 何か、心境面でも、変化があったのだろうかと思わせる。


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